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そして笑い声があまりに近いので右を見ると、祐樹が眉根を寄せ上げて薄笑いだ。
ぶん殴りたい面をしてくれる。
しかもその面構えのままで言ってきやがる。
「真向はショックなんじゃない? 抜け駆けするからだぜーったく。おつむまで小学生かよ?」
「あれおっかしーな~」
「はぁ?」
「声がするのに姿がないよう」
「……はあ?」
そしてほぼ同時に後ろの真向が軽く吹き出した。
「それウチもフフ……ずずっと思ってた」
「思ってたの!? ずずっと!? ッハハーへったくそな冗談だなくそったれ」
「そんなこと言ったって……」と藤谷が、「ずっと勘で話してたんだしね」とも言った。
……それにしてもなんだか真向のいるあたりから聞こえてきた。どうも不思議である。僕は心の片隅くらいでそう思いながら、
「声がするもんな。話すしかないよな」と返しながら振り返ってみる。するとやっぱり藤谷も、真向と並んで追いかけてきていた。いつの間にである。
敵前逃亡しているような気分になってきた。
「へったくそったれ!」と必死に祐樹が「アホかよくそったれ! 顔合わせて話してたろ! あれが勘かい!」
「え、顔合ってたの!?」
「合ってたの!? じゃねぇんですけど!」と祐樹が真向へ必死に怒鳴ったようだ。チラッと祐樹を見てみると、また白目を剥いていやがる。
ちょーこえー。




