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「記憶と違うんだけどー」
「当たり前でしょ!」
「なんだって!?」
「でっち上げたんだから当たり前でしょっつってんのよ!」
「なーんでだー」
「だってカラオケボックス薄暗くしてたしー、卒業してからのこと、語り合ったじゃん!? 屋上っぽい!」
「エタノール臭かっただろ! 密室感もあったし! 酷いよお!!」
つーか屋上というよりも、最後の教室で、最終下校のチャイムまで語り明かした方だと思う。
「メタノール臭かったのが?」
「違うわ! なんでっ、……なんで幸生を省いたあ!」
「今ならウチと百合奈と櫻だけでもいいでしょ!?」
「今ならってなに! ガチで酷いわ!」本日幸生は鼻血が止まらなくて来れなかったとはいえ。
どうせ積みゲーの名作で時間を忘れているに違いないけれども! 見えないとこでも優しくしてあげてと思った。
それにしても真向からの返事がまだこない。
沈黙したのか。それとも、……沈没したのか。気持ち的に。
「確かに、」と真向の声が無事に聞こえてきたのだが、それからまた、言葉が途絶えた。
真面目に、冷静になってくれているのかもしれない。
「ウチ、酷いことした。……今もなにも、関係ないもんね。幸生がいなきゃ、ウチらじゃないもんね」
思った以上だ。
真向が、さっきとは打って変わって、深刻そうである。
しかし言おう。
「まだ甘いぜ」
「なんで?」
「悔しいけどさ、……油賀の祐樹こそいなかったら、そもそもカラオケするだけで終わってたかもしれなかった。やっぱ祐樹もいなきゃって思うんだよ」
「いやあいつはいいって」
「ちょっと!」
もう少しよく考えようよと思う。言い方も軽すぎじゃないか。
一方、祐樹のヒヒヒヒヒヒと笑う愉快な声が右の遠くから近づいてきやがった。
なんでだよと思う。
笑ってなんていられないだろ。今までの会話が聞こえていないはずがないのだ。
……思い出した。アホだからだ。




