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オーバーデイリー  作者: はるこたつ
第一章
7/7

第二話 魔術適性検査 (4)

目を瞑ると、あきらかに今までとは違う空気に変わったのが感じられる。

なんか全体的にふわふわした感じだ。

すると、頭の中ーーーーー要するにイメージによる視界が文字通り真っ白になる。

すげぇなこれ、目を瞑ってるのに目の前が真っ白に感じるよ。めっちゃ不思議な感じだ。恐らくそろそろさっき言っていた「映像」がこの視界を背景にして流れてくるんだろうな。

まあ魔術の系統にも色々系統があるって聞いたしどんなのが流れてもおかしくはないだろ。やっぱり炎系の魔術だとしたら火に関係する何かがながれてくるのかな。


「・・・・。」


・・・全然流れてこない。

もうそろそろ流れても良いんじゃないか?

いや、先生はすぐ終わるっぽいこと言ってた気がするけど、やっぱりなんだかんだ言って適性検査。

時間はかかるものなんだな。

きっとそうだ。

ローブ先生も話を少し盛っただけだろ。


そんな中、次第にふわふわしていた感覚が薄れていき身体に感覚が戻っていく。

そこで、ローブの先生から「もう目を開けても良いわよ」の声がかかる。.....え?もう終わり?最早、拍子抜けの話じゃない。だって、なにも流れてこなかったんだよ?

そんな俺の困惑をよそにローブ先生から質問が飛んでくる。


「これで終わりよー。じゃ、さっそく何を見たのか報告してくれる?」


「いやだなぁ先生。いくらなんでも嘘が解り易過ぎますよぉ。

確かに俺は遅刻をしてしまったちょっとお茶目な生徒ですけど、そこまでしなくて良いんじゃないですか?」


先生の解り易い嘘に華麗に対応する俺。

ふっ、流石の俺でもそれくらいはわかるさ。

そんな俺の言葉を聞いてローブ先生は、何言ってんだコイツみたいな顔をした。いや、ローブで顔は見えないから正確にはそんな雰囲気を醸し出していた。...あれ、何か違ったのか?


「ごめんねー、君のことは興味無くもないけどあとの生徒が支えるから冗談はまた今度にしてねえー。」


まじで?


「あの....。何も流れてこなかったんですけど....?」


「はいはい、分かったから。君が盛りに盛った少年で、お姉さんにその情熱の矛先を向けたいのは良くわかったから。」


「いや、全然わかってねぇですよ!?なんでこの学校の教員はどいつもこいつも教員らしからぬ発言をするんですか!」


「君、ホントにツッコミだけはキレッキレだねー。いけないって分かってるのに、お姉さん楽しくなってきちゃうよ。」


「全くもって嬉しくない!」


後が支えるって自分で言ってたのにボケにきてるじゃんか...。

最早何しに来たのかわからなくなってくる。

それに、まだ冗談に受け取られてるっぽいし。


「いや、先生。ホントに流れてこなかったんですよ!頭の中が真っ白のままで、なんにも無かったんです!」


「そうなんですか...? .......。」


俺の必死の訴えが伝わったのか、黙り混むローブ先生。そして何か心当たりがあったのだろうか、ハッと何かを思い付いた顔をした。と思ったらすぐに険しい顔になり、口を開く。え、何かヤバいのかな...?


「頭が空っぽだから...?」


「だれが馬鹿だ、俺の不安を返せこんちきしょう!」


「嘘うそ、冗談だって....八割位ね。」


「だからそれ、ほぼ本気じゃないですか!?」


「あっはっはー。」


「お茶濁すの下手くそか!」


俺の思考を綺麗に裏切っていくローブ先生だった。ていうか本気度八割のゴリ押しはなんなんだ。そこまでして本気だよって伝えたいの?


「ていうか水無瀬君。今はふざけてる場合じゃないよ?」


「え、俺が悪いの?」


「君、能無s...じゃないや、ホロウの可能性が高いよ。」


「今能無しって言おうとしましたよね!?なんでこの学校の教員はどいつもこいつも口が悪....って、え?能無し?ホロウ?」


少なくとも3年間は教員として関わるであろう生徒に対しての当たりの強さも問題だが、今の俺の思考の論点は別のことで一杯になった。


「そ、あくまでも可能性だけどね?」


即効で肯定された。

ホロウ。それは魔術的な才能である「魔力」が著しく乏しいまたは皆無に等しい人につけられる名称であり、この症状に対する医学的正式名称でもある。本来、魔力と言うものは一般的な人には備わっているもののため、それがない人は特殊だという事から病的症状として受け取られてるそうな。世間ではホロウが蔑称だとか、割と賛否両論らしいが現時点での正式名はこれだ。

とどのつまり、たった今俺は「魔術的な才能ゼロですプギャー」と、落ちこぼれの烙印を押されたのである。

俺、さっきから正大なブーメランかましすぎじゃない?


「ローブ先生....。何かの間違いとかですよね....?」


ぶっちゃけ、高校3年間はドン底を約束されたようなものだ。

いくらなんでも、俺だってすぐには信じられない。ほら、間違いでしたテヘペローみたいな可能性だって微レ存かもしれないし?


「ローブ先生て....。いや確かに私名乗ってないような気がするけど、君は私のことそんな風に呼んでたの...?あくまでも可能性だって言ってるでしょう?か・の・う・せ・い。アンダースタン?」


「でも俺、背景が真っ白のままで、映像なんか欠片も見えませんでしたよ...?」


「だから可能性だって言ってるのよ。いい?本来の正常に魔力のある子っていうのはさっきの検査で真っ白の背景の状態で、自分が使うことの出来る魔術が見えてくるものなの。例えば火を扱うにしても、周りを火の海にしてる映像だったり、マッチ棒に小さな火をつけてる映像とかね?」


「じゃあ、俺やっぱり...。」


「気持ちは分かるけど、少し落ち着きなさいな。せっかちな男の子はモテないぞ?」


不安になる俺に対して察してくれたのか、明るく雰囲気を変えようと茶化してくる。もしかしたらローブ先生って良い人なのかもしれない。

....ただ、ローブで顔が見えない分かなりシュールだけど。


「.....話を続けるけど、逆にねホロウの子っていうのは、さっきの検査では絶対に何も見えないものなのよ。それこそ、真っ白の背景(・・・・・・・・・)すらも、ね。」





はい、7話目になります。

6話から勢いで書いてますんで、すぐにまたペースダウンする気がします。

とりあえず何が言いたいかと言いますと、読んでくださってありがとうございます。ということです。

引き続き、感想や誤字脱字のご指摘等々お待ちしております。

...次はいつあげられるかなぁ。


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