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オーバーデイリー  作者: はるこたつ
第一章
5/7

第二話 魔術適性検査(2)

ざわざわ。


教室とはいっても会場は会場。その目的が魔検だと言うならなおさらのことで、会場はかなり広いのだが。


ざわざわ。


皆、魔検を前にて浮き足立っているのだろう。

話し声が止まず、騒がしかった。

さっきの教師もそれを察しているのか、その騒がしさを咎めはしない。


ふぅ・・・。どうやら、無事溶け込めたようだ。もう俺も元から居たクラスの一員も同然だな。


『おい、あんな奴朝から見かけたか?』


『ていうかそもそもオレらのクラスにいたか?』


・・・・・溶け込めたはずだ。

そうだよね? 俺に言ったんじゃないよね?


と、そこで馴染み深い声が。


「お? 天恭じゃないか。入学式に遅刻どころか欠席だなんてなかなかのクズっぷりだな。」


この、人を馬鹿にした声はもしかして。


俺が声のした方向に顔を向けると、そこには







お世辞にも決してフサフサとは言い難いような白毛を纏った、目の焦点が明らかに合って無いヤギがいた。


いや、マジで誰っ!?

つーかなんでヤギが居るのっ!?


皆が紺色の制服を着ている中でのそれは一際目立っていた。


いや、これ俺よりも確実に目立ってるだろっ!?

みんな俺のことよりもこのヤギを気にするべきだろっ!?


『おい、なんかいるぞ。』


『ってなんだ。ただの白ヤギか。』


『そんなことより、その隣の奴誰だよ。』


『となり死ねよ。』


だんだん自分のクラスが心配になってきた。

ホントに大丈夫かこのクラス。

ていうかさり気なく死ねって言った奴だれだっ!?

そこまで言われなくちゃいけないのっ!?俺はヤギ以下ですかっ!?


と、そこでヤギ(?)が


「何だよ、中学からの仲だってのに忘れちまったのかよ。」


勘違いしないで欲しい。

俺に得体の知れない白ヤギさんのお友達なんて居ないし、少なくとも俺のことを名前で呼ぶ白ヤギさんなんて俺は知らない。


「たぁくよぉ・・・。」


なおも俺が困惑した顔をしているとなぜか「なんで分かんないかなあ。」と呟きつつ白ヤギが自らの頭部を外す。

え? なにこれ、俺が悪いの?

ちゅーか頭・・・・まさか・・・。


「 着脱式だ・・・と・・・・?最近のヤギは進歩しているんだあ。」


驚いた。

ヤギのちからってスゲー。


「いやいや、何素直に受け入れてんだよ。普通に頭部が取り外しできるヤギがいたら怖えぇよ。」


するとそこには、パーマが少しかかった感じの短めの茶髪に黒縁眼鏡、鼻には目立たない程度のそばかす、少し吊り上った強気な感じの目をした男がいた。


俺の中学の悪友にしてアホ成分そのいち。伊田 祐兎《いだ ゆうと》だ。


「なんだ祐兎じゃんか。ってなんで祐兎がそんな謎の着ぐるみ着てんのさ。」


「ああ、コレか? コレな、この教室来る途中に落ちてたんだ。謎だろ?」


「それ答えになって無いからなっ!? 確かに落ちてることも謎だけど、それ以上にその着ぐるみを着ようとする祐兎の方が謎だよっ!!」


どうゆう思考をしてるんだコイツは。


「バカお前。俺だって魔検を前にして緊張してんだよ、言わせんな。」


「いや、緊張してるのは察するけどその奇行にに走るのはどうかと思うよっ!?」


「おい、お前らっ。少しは静かにしろっ!!」


さっきの先生が教室の騒がしさに耐えかねたのか、なかなかの大きさの声で怒鳴る。

やべ。流石に騒ぎすぎたか。

教室が静まり返る。


腐っても教師。先生もただ抜けてるわけじゃないようだ。

まあ、確かに結構な数のクラスがあるんだ。こんな事ずっと繰り返してたら間違える時だってあるよな。

何だかんだでこの先生もしっかりしてるんだろう。


「私が、パ〇ドラに集中できないじゃないかっ!!」


前言撤回。

この教師、〇ズドラに集中できなくてイライラしてただけだっ!!

魔検の最中にこの人何やってんのっ!?

それでいいのか教師!?


ギィ、バタン。


先生の発言によってなんだか残念な空気が漂ってる中で教室の奥の扉が開いて生徒が出てきた。

どうやら、こんなことをしている間に魔検の順番が進んでるみたいだ。


「あれ、天恭?やっと来たんだ。大分遅い入学だね。」


って出てきた生徒をよく見るとまたもや馴染み深い顔じゃんか。


前髪を真ん中で分け、片方をトレードマークとも言える十字のヘアピンで留めていて、全体的に肩までかかるゆったりとした髪型。

中性的に近い顔に高めの声。

俺らのグループで唯一モテるのにそこらへんのリア充より全然鼻につかない高スペック男。


中学の悪友にしてグループで俺抜きにしたら唯一まともな奴。神守 真夜《かみす しんや》だ。


「真夜か。・・・もしかしてそこのドアから出てきたって事は、もしかして」


「うん、そうだね。丁度、魔検をしてきたところだよ。」


「で、どうだったんだ?」


魔検が終わった真夜に祐兎が聞く。

確かにそれは気になる。

まあ、真夜ことだから魔術が使えないなんてことはないだろうけど。


「んー。なかなか面白い結果だったと思うよ?魔術自体は使えるっぽいしね。まあ今教えられるのはランクくらいかな。」


ランク。それはこの学校ならではのシステムであり、魔術科にとって魔検に次ぐもうひとつの重要な要素だ。

ランクの説明は中等部でも聞いてはいたのだけど、おそらく担任の教師辺りからもう一度詳しく説明があるだろう。


「そうか。魔術は使えるみたいで良かったじゃないか。」


「そうだね、これでひとまずは安心じゃん。」


「で、だ。ランク、どうだったんだ?」


祐兎も冷静を装いつつもランクが気になっているんだろう。真夜に聞く。


「87位だったよ。まあまあじゃないかな。」


「「はっ87位ぃ!?」」


ランク二桁っ!? 入学時点でのランクは魔術の種類・質=ランキングになってたと思うから、この大人数の中で100位を切るだなんてかなり良い方のはずだ。

それで二桁スタートって何でコイツはいつもこんな高スペックなんだよっ!?


「ははは、やっぱやべぇな真夜は。」


祐兎も苦笑いしか浮かべられていない。


「えーと、クラスがAからKまでだから・・・500人中87位っ!?」


「はぁ・・・。お前は数も数えらんねぇのか?」


「えっ?」


「AからKだと11クラスだから、一クラス50人で、550人だね。」


「・・・・。」


やめてっ!!そんな目で俺を見ないでっ!!

たった50人じゃないかっ!!

・・・・。


とっとりあえず教えられないって言ってたけど一体どんな魔術が使えるんだろう。

まあ、そのうちわかるか。


『次っ!!水無瀬 天恭っ!!』


む、ついに俺の番が来たらしい。

ヤッベー。緊張スルナー。

祐兎と真夜に残念な視線を送られつつ、呼ばれた声の方へ向かう。


そこにいるのはパズ〇ラの先生だ。

もしかしてこの先生がクラス担任なのか?

先生の前に立つ。


「ん?そういえば水無瀬の奴、朝はいなかったっけか。」


どうやらクラス担任で合ってるっぽいな。

そういえばここに着いてから先生に報告してなかったっけな。

そのせいもあってか俺に気づいて無いっぽい。


「はい、すいません先生。水無瀬です。遅れましたが出席してます。」


返事ついでに先生に出席の報告をする。


「んー。水無瀬の奴、魔検も欠席か。」


あれ?スルー?


「あっあの先生?俺いますよ?水無瀬 天恭いますよ?」


「ふう・・・。まったく、こんな日にさっそく欠席だなんて困った奴だな・・・。」


ゑ? ナニコレ。

総スルーですか?


「しかたないな。次の奴に回すか。次っ!!山し――――」


「いやいやっ、ちょっとまってぇえええっ!?」


全力で次の奴へ回されるのを阻止する。


「ん?誰だお前。」


今更気づいたようなそぶりを見せる先生。

いや、気づいてたよねっ!?

絶対わざとだったよねっ!?


「水無瀬ですよっ!!水無瀬 天恭っ!!」


「バカヤロウ。私はこのクラスの担任だぞ?自分のクラスの生徒の顔を覚えてないわけ無いだろうが。お前の顔なんか私はしらないぞ?」


いや、どうゆうことだよっ!!

あんたの知ってる水無瀬の顔はどうなってんだよっ!?


「水無瀬はもっとマシな顔をしていたはずだ。」


「どういう意味ですかそれっ!!」


誰が不細工だっ!!


「はっはっは。冗談だ、冗談。ちゃんと分かっているさ。ただ、入学式に出ないような奴にちょっとした制裁をな?」


いや、だいぶたち悪いわっ!!

でも確かに理由はどうであれ、遅刻したことは悪いしな。

仕方ないか。


「今後は気をつけろよ?水無・・・瀬・・・?」


「やっぱり覚えて無いじゃないですかぁああああああああああああああああっ!!」


クラスもクラスだけど、担任も担任だった。

ここまで読んでくださりありがとうございます。


引き続き、誤字脱字の御指摘や日本語の間違った使い方などの御指摘。

また、感想なんかもよろしくお願いします。

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