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<第五話>


暗く湿った世界になってしまった。そして雨が降っている。


「雨も良いものだね」

僕の横にいる坂城西都が言った。僕たちは一緒に下校している。


「匂いといい、音といい。晴れの日にはないものがあるよ」

傘にあたる雨の音の間から聞こえる坂城の声は澄んでいた。


「坂城は目的があってここに来たと言ったよね? その目的って一体なんなの?」

僕は傘で顔上半分が隠れている坂城に聞いた。

口元が決意したように動き、そして開いた。


「僕の目的はね、『影踏み遊び』さ」


よりいっそう雨の音が強くなったような気がした。

僕たちは歩みを緩めず一定速度で傘を手にもち坂を下っている。

もうすぐ傾斜0の駅前広場に続く歩道にでるところだった。

僕は『影踏み遊び』について考えた。

二歩歩く僅かな時間に思考する。

『影踏み遊び』は夕方、影ができる時に影を狙い合い、踏まれたほうが負けといった遊びだったような気がする。坂城はそれをしにきたのか? 誰と?


「影踏み、遊び? 遊ぶためにわざわざここへ?」

湿っぽさは最盛期になってきた。

吸い込む空気の水分含有量が異常だった。

そして僕は言葉を放ったのだった。坂城は傘をずらして僕を見上げて言った。


「『遊び』ではないけどね。でも、僕は来なければならなかった。『影踏み』をしなければ、」


真摯な表情で言葉を締めくくった坂城。

僕は気になることがたくさんあった。傘に落ちる雨粒よりももっと。


「誰の影を踏むの? もしくは何の? 」



「うん、」

間をおいて坂城が頷く。

「できれば、今から言うことは信じてくれ」

と坂城が言った。僕は頷く。坂城はそれを確認すると小さく頷いた。坂城が口を開く。

「誰とか、何のじゃなくて、踏むのは『影』そのものなんだよ」

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