<第二話>
「あの時傷を治してくれた男の子だよね」
僕はわかってた。
あの日の男の子だと、なんとなく。でも聞くのが普通かなと思って聞いた。
「傷? ああ、そういえば君はあの時、膝に擦り傷があったね。うん、確かに君の傷を治したよ。」
やっぱりだ。
あの時の男の子なんだ。
落陽とともに僕の前に突然現れた男の子。
僕は聞きたいことを全て、一息に聞いてみた。
「なんで君は突然僕の前に現れたのかが不思議なんだあの日から小学生の時から。そして、今もね。あの時どうやって僕の傷を治せたかも」
金髪男の子はあの日と同じ空を、あの日と同じように見ている。
少し成長した僕の目は男の子を思慮深い人のように思わせ見せた。男の子の口が動いた。
「僕にはやる事があるんだ。大切なことが。それと君が僕のことを思い出したからかな。これでなぜ僕が君の前に突然現れるかが説明できたね。もう一つの質問だけどそれはあの日に言ったとおりだよ。」
成長した僕はそんな抽象的なことを答えとして待っていたんじゃなくてもっと具体的であの日の出来事と今起こっていること--男の子が突然現れたこと--の核心を知りたかった。
「ごめん。今言えることはこれくらいしかないんだ。君はもっと具体的な核心を求めてるね。」
また僕の心を読んだかのような言動。顔に書いてしまうのだろうか、僕は。
「これも太陽の力さ。人の心が読めてしまう。太陽が出ている時だけね。」
謎の男の子なんだ。ああ、やっとわかった。
「僕は不思議な事に巻き込まれてるのかも」
僕は不意に言った。もう紫が勝っている空だ。
「そうだね。そうかもしれない。まあ折々話すよ君に、全てを。」
僕は紫の空を見ていた。たぶん謎の男の子も空を見ていたと思う。
「なんで僕なの」
と言おうと横を向くと、男の子はあの日と同じようにいなくなっていた。突然に。
小学生の頃に出会った男の子との奇跡的で不思議な再会を果たした僕は、公園から出て春の闇が覆い被さろうとしている勾配の激しい坂を登り、住宅地で一番新しい我が家に帰った。
僕は夕飯を食べ、風呂に入った。
湯船の温度は丁度よくて、風呂と一体化したような気分になる。
僕の体が気持ちよいと言うように身震いさせた時に、僕は気がついた。
公園で再会した男の子は僕と同じ高校の制服を着ていた。 僕は明日を思って溜め息をした。




