特訓開始!崖っぷちの黒クラス
序列戦の告知から一夜明けた。黒クラスの教室は、まるでお通夜のように沈んでいた。
「どうせまた最下位だろ……」
「紅や蒼に勝てるわけがねぇ」
弱気な声ばかりが飛び交う中、僕は居心地悪そうに椅子に座っていた。
代表に選ばれたはずなのに、期待どころかため息ばかりが突き刺さってくる。
(あーあ、暗ぇなぁ。お前がいるだけで空気悪化してんじゃねぇか、相棒)
「うるさい……僕だって好きで選ばれたんじゃない」
ネメシスの皮肉をかき消すように呟いた。
「静かに!」
教室に低い声が響いた。ヴォルフ教官だ。
「お前ら黒クラスは学園の最下層だ。それは紛れもない事実だ」
ビシッと言い放つ教官に、生徒たちの顔がさらに青ざめる。
「だが……最下層には最下層なりの戦い方がある。序列戦までの一週間、特訓を行う」
「と、特訓……?」
マルコが声を震わせる。
「まずは基礎体力だ。虚無がどうこう言う前に、戦場に立つ足腰を作れ」
◇
グラウンドに並ばされた僕たちは、ただひたすらに走らされた。
「ぜぇ、ぜぇ……む、無理……」
ブランが膝に手をつき、今にも倒れそうだ。
ティアは必死に隣を走りながら「がんばりましょう!」と声をかけている。
マルコは最初から泣きそうな顔で、もう半周遅れていた。
僕も息が切れて、視界がぐらぐら揺れる。
「はぁ、はぁ……僕、本当に戦えるようになるのかな」
(心配すんなって。倒れるなら派手に倒れろよ。そしたら笑いものになれて逆に目立つぜ)
「それ、全然励ましになってない!」
息を荒げていると、ヴォルフ教官の怒声が飛んだ。
「止まるな! 死ぬ気で走れ!」
「ひぃっ!」マルコが情けない声をあげる。
◇
夕方。汗だくになった僕らは演習場に集められた。
「ここからが本番だ」ヴォルフ教官が腕を組む。
「お前ら黒クラスは力不足だ。だからこそ、知恵と工夫で戦え」
魔導人形が数体召喚される。
「二人一組で挑め。ただしルカは一人だ」
「えっ、一人!?」
「お前の力を試す。虚無が本物なら、ここで証明してみせろ」
人形が迫る。火球が飛ぶ。
「くっ……!」
僕はネメシスを抜き、咄嗟に構えた。
黒い光が刃を包み、火球を飲み込む。鉄の腕が振り下ろされた瞬間、切っ先に触れた部分から霧散した。
「……っ!」
息を呑む生徒たち。ヴォルフ教官の目が細められる。
「だが制御不能だな。発動にムラがある」
確かに、すべてを消せたわけじゃなかった。動きが早いと反応できず、肩をかすめて火傷を負う。
「いっ……!」
熱さに顔を歪める。
ティアが駆け寄ろうとしたが、ヴォルフ教官が手で制した。
「手を出すな。これはあいつの試練だ」
「僕は……本当に、この力を扱えるようになるのか……」
震える手を見つめる僕に、ネメシスが囁いた。
(扱えるさ。お前が怖がらなきゃな)
「……僕が?」
火照る肩を押さえながら、胸の奥に小さな光が宿るのを感じた。
逃げたいけど、もう逃げられない。序列戦までの時間は刻一刻と迫っている。
今回は序列戦に向けて、黒クラスがようやく特訓を始める回でした。
最下位常連のクラスにとって、基礎体力すら足りない現実……。
それでもルカは虚無の力を再び発動させ、確かに存在することを証明しました。
ですが、制御不能であることも同時に露呈。
仲間の不安も募り、ヴォルフ教官からは「試練」と突き放される。
逃げ場のない状況の中で、ルカがどう成長していくか――。
次回からは、黒クラスそれぞれの想いが少しずつ描かれ、
序列戦に向けてチームとして動き始めます。
彼らがどうやって劣等生から一歩を踏み出すのか、ぜひ楽しみにしてください!
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それでは、また次回!




