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プロローグ

初めまして。

この作品は、魔力ゼロと烙印を押された少年が、古びた剣を見つける所から始まります。

気弱な主人公ですが、少しずつ成長していく姿を楽しんでいただけたら嬉しいです。

――十歳の「覚醒の儀」。

 それは、生まれながらの運命を突きつけられる瞬間だった。

 魔導水晶に手をかざし、光の大きさと色で魔力量と属性が判定される。

 貴族でも平民でも、誰も逃れられない絶対の通過儀礼。


 僕は、名門ヴォイド家の末裔としてその場に立っていた。

 祖父は火を操り、戦乱の時代に王国を救った英雄。父は雷を駆けて戦場を支配した騎士。


 ヴォイド家の人間は代々、強大な魔力を誇るのが当然だった。

 だから誰も疑わなかった。僕もまた強き光を示すはずだと。


 ――その時までは。


「……ゼロ」


 冷たい判定の声が広場に響いた。


「ルカ=ヴォイドが……ゼロだと?」


「名門の血も落ちぶれたな」


「これではヴォイド家の看板に泥を塗るだけだ」


 嘲笑と失望の声が一斉に浴びせられる。

 僕はただ立ち尽くし、視線を落とすことしかできなかった。


 ――どうして僕だけが。


 ――僕は、ただ普通でよかったのに。


 その日から僕は「ヴォイド家の恥」と呼ばれるようになった。

 魔力ゼロの烙印は、家の中でも外でも変わらず僕を追いかけた。



 五年後。十五歳。

 学園入学試験の日。再び魔導水晶の前に立った僕の手は震えていた。

 もう一度だけ奇跡が起きるかもしれない、そんな淡い期待を抱いて。


「……ゼロ。変わらず、か」


 教師が淡々と告げた。

 周囲では火花や水しぶき、雷光が踊り、受験生たちが歓声を上げていた。

 僕だけが、無。


「やっぱり無能だ」


「ヴォイド家の落ちこぼれだな」


「学園に来る意味あるのか?」


 胸に突き刺さる言葉。

 ……わかってるよ。僕が一番、痛いほど。


 けれど、それでも諦めたくなかった。

 筆記試験は上位に食い込み、体術もなんとか合格点。


 「珍しい例を観察したい」という学園側の思惑と、好奇心を持った教師の推薦で、僕はどうにか入学を許された。


 ――ただし、最下層クラス。

 ほとんど雑用係扱いだった。



 その日の放課後。

 掃除当番として立ち入った旧倉庫で、僕はそれを見つけた。


 黒く錆びつき、誰も近寄らない不気味な剣。

 けれど、なぜか目を離せなかった。


 吸い寄せられるように柄に触れた瞬間――。


 ゴォォン……


 鐘のような残響が頭の奥で鳴り響いた。

 次いで、声が聞こえた。


『――やっと来たか。虚無の器よ』


「…………え?」


 一瞬、頭が真っ白になる。

 声? 誰の? この倉庫には僕しかいないのに。


「………………」


 数秒遅れて、じわじわ理解が追いついてくる。

 まさか。いや、そんな……まさか。


「……い、今のって……剣が喋った!? えぇぇぇぇ!?」


 叫んだ拍子に手を離し、剣がガタンと床を打つ。

 僕は尻もちをつき、顔を真っ青にした。


「うそだろ……!? 僕、幻聴!? いや、違う……確かに剣から……! やだやだやだ!」


 心臓は暴れ馬みたいに跳ね、背中は冷たい汗でびっしょり。

 怖い。理解できない。

 でも一つだけ、はっきりしていた。


 ――あの声は、この剣から僕に語りかけてきた。


 震える唇で叫ぶ。


「……こ、ここから一刻も早く離れよう!!」


 半泣きのまま倉庫の扉を開け放ち、僕は全力で駆け出した。

 頭の奥に残る鐘の残響を、振り払うように。


ここまで読んでいただきありがとうございます!

主人公ルカが「無能」からどんな道を歩むのか、ぜひ見守ってやってください。

感想やブックマークをいただけると、とても励みになります。

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