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290.終末映画の始動、巨大英雄の退場

「カタストロフ・終末への挑戦」の企画は中々に難産だった。


 何しろ片方は誰も見たことが無い世界の終焉…を思わせる天変地異描写である。

 ショーキさんは似た現象の記録を求めて助監督たちを駆使し、王立学院の協力を求め、集めた記録を元に特撮スケッチを進めていた。


 また、北方、南方で撮影された、キリエリアではまず見る事のない雄大な気象の姿を見て、特撮イメージを膨らませる材料とした。


 リック社長も、息子のブライ君が探検中に撮影したフィルムを提供してイメージ固めに協力した。


 しかし、世間で喧伝されている「終末の予兆」とやらをどう並べて構成するか。


「こういうのは面白半分じゃダメだ、きちんと理詰めでどんな原因ならどんな異常現象が起きるのかを考えよう。

 それをどうしたら対処したらいいのか、映像でどこまで書けるか。


 まず、こんな不安キリエリアでは起きてない。

 大体がリッちゃんのお陰だけどなあ。


 じゃあ、他国でなら起きる?

 他国の王家はそんないい加減なもんなのか?

 そうじゃない。


 だとしたら、そういう問題はルールを破る奴がいて起きる。

 立派な王様が目を光らせている内はいい、だがそれがほころびたら?

 そこんとこをキチンと描こう」


 ショーキさんが大真面目に破滅の絵を論理だてていく。


 これに、本編のシンチェリ・モンスロトンド監督が意見し

「では100年後ではどうでしょう?

 社会が成熟し、リックさんの言う『立憲君主制』とともに、二世、三世貴族達が法をまげて利益確保に走った結果としては」

「100年だと長いですね、50年後位の方が現実味があるでしょう」

とリック社長。


 そして、海洋汚染、森林伐採による生態系の破壊。

 それによる地球規模の寒暖湿潤バランスの変化、異常気象。

 飢餓、物価高、社会不安。

 政治の無能がこれに拍車をかける。


 極大魔法を新たなる発電の熱源にするも、制御不能な故障により付近一帯を放射線被曝させ、膨大な難民を生み出す。


 更には高度高速な飛行機の爆発事故が「オゾンホール」を産み、赤外線が地上を襲い、灼熱地獄と化す。


 熱帯地方の大神殿遺跡が雪に埋もれる。大陸東西交通が分断。


 深刻化した各国の貧困を、戦争によって打開せんとするものが極大魔法をロケットに乗せて敵国へ撃つ。そして、反撃を受ける。


「この部分、『世界最終戦争』の流用、ってのは止しましょうね」

 あくまで過去のフィルム流用に頼るのを嫌うリック社長である。

「折角新しい作品だと思って劇場に来たら、昔の映画の見せ場をまた見せられたら詐欺だと思われちゃうでしょ」


「泣く泣く切ったカットや別アングルならどうだ?」

「百歩譲ってそれかなー」

「じゃあ使えそうなカットを集めておきます」

「え?」


 過去作品の未使用ネガとか、リック社長以外にもキッチリ抑えて、しかも覚えているドがつく特撮の虫がいた。

 ポリちゃんであった。

「いるもんだねえこういう人」

 どの口が言うか、と一同は思った。


******


 前作の「海広」と「マキナゴドラン」同様、極力流用出来る場面はそうしよう、という事で、大都会から脱出せんとする人々が自動車道路で大渋滞を起こし、無理に他社を押しのけて先へ進もうとした車が激突炎上、その爆発が延焼、都会の中央部に炎の柱が走る様に伸びていく場面が撮影された。


 カメラアングルを変えてビル街が爆発を巻き起こしているかの様にも撮影し、マキナゴドラン2号の破壊シーンに使う。


 異常な気圧差により竜巻が発生、都市を襲う場面も、深海怪獣トルネウスの竜巻攻撃の場面のため別アングルや未使用カットが使われる。


 撮影を終えた都市のミニチュアは翌日に組み直され、マキナゴドラン2号の虹色光線で連続破壊される予定だったのだが。


 やって来たのはレジオと古いゴドラン、未改造のマキナゴドラン、そして鱗がボッサボサになってしまったキメラヒドラ、鉤手の角、腕、回転ノコギリが胴体の真ん中縦一直線に生えている一つ目の星獣ジーガス。

 凶悪3星獣とレジオ・ゴドラン、5者の決闘だ。


「広いセットだからさー、使わせてもらうよー」

「ちょっと!映画の方はどうすんだよ!」

「予定通り明日には戻しとくからさー」


 リック社長がそう言うんならそうしちまうんだろうなあ、とショーキ監督は瞬時に理解した。


「はあ~~!!今日は終わり!じゃあとリッちゃん、元通りにヨロシクな!」

「明日のセットの仕込みもやっとくよ」


 それから0番スタジオは夜通し爆発音が絶えなかった。


******


 もう最後だ、と言わんばかりに物語は壮大に広げられてしまっていた。

 故郷を失い、宇宙の各地に第二の故郷を得ていたレジオファミリーの同郷たち、テラパシフィカ人たちはアルデバラン星人への逆襲を企てていた。


 他星侵略基地が爆破され、地球侵略基地にも反攻の手が迫っていた。

 焦った司令官アルデアウルムは地球への総攻撃を命じる。


 降り注ぐ星獣ロケットは地球軍の手で次々落とされ、レジオファミリーも迎撃に参加する。

 それでも過去の星獣が郊外に落下、群れを成し王都を目指す。

 多数の敵にレジオは苦戦、ついに祖父がレジオ・マグヌスに変身、必殺技マグナ・トニトで星獣軍団を倒す。


 レジオ・マグヌスはレジオ・ベラトルの頭を改造し色を変えたものだ。

 ゴムスーツは膝や肘がボロボロになったものを、銀の鎧で囲ってごまかしている。


 しかし一度の勝利もつかの間、飛来するマキナゴドラン、ジーガス、そして大地を割いて(野原のセットの地面を爆破して、床下から飛行用人形を引っ張り上げただけだが)登場するマキナゴドラン!


 最強星獣軍団を前に、力尽きたレジオ・マグヌスはなすすべもなく敗れ去り、ここで最終回3部の1部が終了!


「こういう改造をホイホイ出来るのはリッちゃんならではの反則技だなあ」

 試写でショーキ監督が嘆く。


 最終回2部では飛来したナヴィスペイの群れが敵を攻撃、レジオファミリーは撤退する。

 反抗軍の長はレジオファミリーに宇宙への退避を呼びかける。

 しかし瀕死の祖父は

「ここは我ら第二の故郷だ。守り切らねば。我らを迎えてくれた恩に報いる」

 ファミリーは戦いを決意する。

 反抗軍も地球侵略軍の粉砕に協力する。


 王都に迫る星獣軍団、父も戦いへの参加を訴える。

 父親の決意を感じ、変身の力を込めた腕輪を渡そうとする祖父。


 そこに突然アルデアウルムがダッシュしてきて腕輪を奪取する!

「唐突だな!」「親子の決意台無しだ!」


 だが妹がこれをブロック、腕輪の力を身に浴び、兄同様巨大変身の力を得た!


 防衛軍の攻撃を突破する星獣軍団、しかしナヴィスペイの船団の攻撃でアルデ宇宙基地は混乱に陥る。


 巨大化するレジオ、王都での深夜の戦いが始まる!

 マキナゴドランとキメラヒドラの遠距離攻撃に苦戦し、その隙にジーガスが王都を破壊する!


 レジオ・プリンシピが巨大化し、加勢する。

 これも予備スーツの改造で、手足がピンク、顔や体つきが優しくなっている。

 そしてゴドランも宿敵軍団に止めを刺すべく駆け付けた!


 ここで第2部終わり。

「定番だけどさ!」一同は頭を抱えた。

 殆ど過去の回想や、ファミリーと反抗軍のリーダーとの会話劇、そして進撃する星獣の描写、宇宙での戦闘で引っ張っているが、後半は怪獣や変身英雄が好きな要素を注ぎ込んでいる。


 非常に面倒臭いキメラヒドラの操演はデシアス監督配下の操演班の見習いだが、何とか形にはなっていた。


******


 そして最終回。

 レジオ兄妹、ゴドラン、そして三大星獣の王都決戦!


 何気にゴドランとジーガスが大規模商店や高層建築に倒れ込むシーンとかが挿入されているが

「これウチのスタジオなんで」

 後ろでは物凄く渋い顔でミーヒャー夫人が見ていた。


「パっと見『カタストロフィ』のセットだって解んないもんだなあ」

 映画では70mmの高感度フィルムで暗めに撮っているが、怪獣と英雄の戦いを見せる為明るめに、そして35mmフィルムで撮影しているせいか、雰囲気がかなり違う。


 宇宙ではアルデ基地が爆発寸前、ついにマキナゴドランの操縦装置が破壊された。

 停止したマキナゴドランをゴドランが粉砕!


 逃げ出すジーガスは弟のレジオ・ユーベンスが飛行自動車クルス・フォルティスで撃退、落下した所を兄妹のロケットマイトで粉砕!


 更にレジオがキメラヒドラを宇宙で捕まえ、アルデ基地へ投げつけた!

 この辺は下手に飛び人形を作る余裕も、質量感を持たせつつ撮影する事も出来ず、ひたすらカット割りで強引に見せるだけだった。


 大爆発するキメラヒドラの飛び人形とアルデ基地!

 大爆発シーンは『世界最終戦争』で使われた爆発素材だ。


「先に使われたー!」

 ポリちゃんが嘆いた。


 アルデバランの地球侵略の野望はついに打ち砕かれた!


 朝焼けの中、

「平和になった地球の朝焼けを見たい」

と祖父を車椅子で連れて、朝日を浴びる一同。

 祖父は静かに息を引き取った。


「僕たちはこれからもこの地球で生きていく」

 決意を語る主人公。


「いつかは第二のテラパシフィカを宇宙のどこかに築く。

 その時は、君達も来てくれ」

 地球を去る反抗軍のリーダー、ナヴィスペイ船団を見送る家族。


 学校に通い、友達と遊ぶ弟。

 一家の正体を薄々感じながら色々助けてくれた友人と、まんざらでもない妹。

 祖父を地球の土に葬り、新たな一歩を踏み出す主人公たち一家の姿で物語は終わった。


「これ、低予算な筈だよなあ」

 ショーキさんがウンザリした様な顔で聞く。

「今のスプラシリーズの半分チョイ、最初のスプラルジェントの1/4ってとこかな?」

「リッちゃんの器用さには敵わねえなあ」

「これは愛っていうか、執念っていうか」

「普通に考えれば新番組並みの予算規模の映像よね。

 これだけで1千万デナリ?それ位はするわね」


 試写の評価は好評…それを通り越して信じられないものを見た、という感じであった。


「それじゃ俺、スプラ新作の方があるから!」

 またしても瞬時に消えたリック社長。


「この次の番組。

 厳しい目で見られるわよ?!」


 セシリア社長は途方に暮れた。

 後番組が全く企画が出来ていなかったからだ。


 もし楽しんで頂けたら、またご感想等などお聞かせ頂けたら大変な励みとなりますのでよろしくお願いいたします。


 なお、活動報告・近況ノートにてモデルとなった実在の作品についての解説を行っていますので、ご興味をお持ちの方はご参照下さい。

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