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275.爆速完成マキナゴドラン!

 SF作家を標榜するフルクトゥ・フォルティナ氏の助言を得て、ゴドラン同士の対決、タイトルもそのまんま「ゴドラン対マキナゴドラン」の企画を書き上げて、リック嘱託はヨーホー映像を訪ねた。


 これには一同驚いた。

「俺も同じ事考えてたんで」


「じゃ特技監督はポリさんでお願いね」

「ちょっとちょっとリックさん!?」

「いいじゃねえか、頑張れ!」

「ちょっとショーキさん!」


 こうして「海広」製作中のチームからポリさん達が抜け、別班として「マキナゴドラン」チームが編成された。


「主な特美は俺がやるよ。

 新番組は若手がキューちゃん抜きで頑張ってくれてるから、俺しか手ぇ空いてるヤツいないし。


 折角のヨーホー映画創立30周年記念だ。

 恩返しって言うのも烏滸がましいけど、久々に思う存分やらせてもらっていいですかね?」


「いいわよ、やって頂戴!」

 実にありがたいリック嘱託の助け舟に、セシリア社長だけでなく特技部一同が喜んだ。


「してご予算は?」

「頑張って7千万デナリねえ」

「前作並みかあ。ま、何とかなるか!」


******


 検討用台本だが、舞台は半分ボウ帝国の東南部。

 世界各地にゴドランが出没。

 仲間だった怪獣アモルザスやプテロスをも倒してしまう。

 しかし大陸鉄道中央部で二匹目のゴドランが出現、ゴドラン同士の対決となる。


 その様子は、最新機器に包まれ、銀の制服に身を固めた謎の軍団の基地で監視されていた。


「ゴドランめ、マキナゴドランが貴様と同じ性能だと思ったら大間違いだぞ!」

 軍団の司令官がスイッチを入れると、一方のゴドランは表皮を閃光で焼き捨て、現れたのは銀の素材に虹色の輝きを放つ機械のゴドラン、マキナゴドラン!


 その場は相打ちとなり、マキナゴドランは足からロケットを噴射し空に消える。


 敵の基地はボウ帝国東南部にあり、麒麟を祭る古代王朝があった。

 その遺跡の地下でマキナゴドランは修理を受けていた。


 敵は地球人の学士を誘拐し修理を急がせる。敵の正体は宇宙人であった。

 そして周辺住民を奴隷として働かせるが、事件の捜査に来た諸国密使騎士団によって救助される。

 滅びた王朝の巫女が敵基地が古代の聖域を犯している、神獣ジーリンの怒りを買うと警告。


 巫女は廃墟の廟堂からジーリン像を掲げ、古謡を謡うと、朝日が像の目に映り込み、別の角度に光線を発射、断崖が爆発!その中からジーリンが目覚めた!

 再起動したマキナゴドランとジーリンの戦いの中、更にゴドランが出現。


 三怪獣激闘の末、マキナゴドランは首をへし折られ、更に騎士団の工作によって敵基地は破壊され、宇宙人の野望は粉砕された。


「本当に単純なお話しねえ」

「ま、現地の人は喜ぶでしょう」

「『海広』が現実的な話をやる以上、コッチは理屈抜きの活劇でいいんじゃないかなって」


 映像、本社両社長は一応は納得行った様だ。


「でも敵基地の下りはトルドーの話と似てるわね。

 もっとアッサリでいいかしら?」

「もしくは、強度テストでマキナカイエンと戦わせて、簡単に勝ってしまう強さをアピールするとか」

「スケジュールの許す限り、出来る事は何でもぶち込みますか!」


「後はロケの許可だけね」


******


「条件付きで許可します。

 現地に観光誘致できないかしら?」

 無電で早々に回答が来た。

 カチン外務卿、チャッカリしている。

 とは言え向こうも復興の最中、あらゆる手段で現地を支援したいのだろう。


 早速とボウ帝国に飛んだリック嘱託。


「えー、ヨーホー観光公社が現地の標高が高く眺望の良い場所に観光旅館を計画していますが」

「内々には話が来ているようだが」

「その話を加速しましょう」

「しかし鉄道が要るのう」

「全部じゃないけど手伝いますよ。映画も成功して欲しいし」

「ならば断わる理由はない。期待しておるぞリック殿」

「よっしゃ!」


 一行はロケ予定地へ。

 津波の到来を予報して避難へ導いた恩人、そして被災者支援にも協力した恩人として歓迎された。


 そして古刹を見学、撮影しミニチュア設計の素材とした。

 その奥に架空の遺跡を作り、マキナゴドランの地下基地にする予定だ。


 神殿の神官が付近を案内してくれるので、映画の内容について尋ねてみると。


『麒麟を怪獣にしてしまうのですか』

『やはり抵抗はありますか?』

『ゴドランの様な凶暴な破壊者にして欲しくはありません』


『今回の怪獣ジーリンは、この地の守護神です。ゴドランと一緒に宇宙人の機械怪獣と戦って勝つ役どころですよ』

『それならみんな喜ぶでしょう』


 これなら大丈夫かな、とリック嘱託は一安心。


 更に観光旅館の予定地に。

 多くの漁師が建設事務所に詰めかけていた。

「おお!リックさん!」

 かつて王国内の観光建設で協力していた監督が出迎えた。


『リック様?』『あのリック様か!』『『『ははーっ!!!』』』

 屈強な漁師たちがひれ伏した。


「なんかあったんですか?」

「いやあ、あの津波で港がやられて、当分漁に出られないんで雇って欲しい、って事だそうです」

「でもまだ旅館は調査段階でしょう?鉄道工事もこれからだし」

「それがさっき外務卿閣下からなるべく早く開業して欲しいって…」

(カチン閣下、俺がナントカすると思ってるな?)


「旅館、駅と鉄道の基礎工事は俺がなんとかしますんで、鉄道敷設や旅館建設でみんなを雇えないものですかねえ」

「相変わらず規格外だなあ」


「チャイヨ~っ!」

『『『おおーっ!!!』』』

 早速旅館、駅、その間の道、更に駅から延びる鉄道の基礎が出来て、リック嘱託はそのまま最寄りの鉄道終着駅まで途中の山に穴をあけて飛んで行ってしまった。


「…こりゃ半年もありゃ開業できちまうかもなあ」

 現場監督氏は呆然とし、王国の公社へ報告を急いだ。


******


「ただいまー」

「おかえり~、色々、溜まってるよお~」

「うへえ」

 新作テレビ映画2本と朝の帯番組の帳簿、買い込んだ資材の領収書やら制作に取り掛かる各話の予算表。


 彼はこれを難も無く秒速で処理していく。

「こういうの久々だねー」


「スプラステラの45回目と48回目、ルキスマキナAの12回目と13回目はセットが同じでいい。連続して撮影しよう。

 その分浮いた予算でスプラステラ最終回にスプラルジェントたちが迎えに来るシーンを撮影しよう。

 そのままスプラミティス1回目のスプラルジェント集合シーンを撮影してしまおう。

 明日監督に打診して納得して貰えれば数百万デナリ浮く。

 その分後続の回に予算が回せるし、帯番組の不足にも宛てられる」


「流石リックきゅんだねえ~」

「特撮はいくら金があっても足りるって事ないからね。

 節約できるところはしなきゃね」


 家族で食事を終えると、工房に籠って造形開始。

 粘度原型を練り上げ石膏型を取る。

 頭、首、胴、腕、手…

 見る見る工房は型だらけになっていく。


「リックさん、そろそろ日付が変わりますよ」

 久々に楽しそうなリック嘱託に、しっかり寝るようアイラ夫人が

「ありがとうアイラ。

 そうだね。そろそろ寝ないと社畜になっちゃうね」


 そういいつつも名残惜しそうに寝室に向かうのであった。


******


 翌日、昨夜考えた撮影プランの変更を監督に説明、承知して貰えた。

 そして上がって来た作品のチェックを行い、午後には再び工房でマキナゴドランの作業。

 型にグラスファイバーを貼り付け、樹脂を塗り込んで、乾燥させつつ腕や手、足、股に尻尾の原型を粘土で作り上げる。

 左右の歪みも無い見事な造形だ。


 そしてまた型取り。

 硬化した上半身各部を型から外し、電飾部分を切り取り表面を超高速で磨き上げ…

「夕飯だよ~」「えっもう?!」

「ってか!も~そこまで出来ちゃったんだ~!」

 工作の速さと正確さに呆れるアイディー夫人。


「明日には試着してセシリア社長に見せに行くよ」

「旅館と鉄道の話も、も~伝わってるでしょ?ビックリするよ?」


******


「…ビックリですよマッタク!」

 初期分の撮影が終わった「ルキスマキナA」のセットに、マキナゴドランを着込んだリック嘱託がやって来た。


 目が橙色に光り、全身銀色で、青や薄い金色、銅色も混じっている不思議な金属感のある、鉄のゴドラン。

 全身に鋲を打っているのが今となっては蒸気機関車の様でやや古めかしいが、その反面言い知れぬ機械感もある。

 型、膝、股、肘は方形の蛇腹で、これも古めかしく感じるが全体のまとまりとしてはこれ以上ないデザインだ。

 全身FRP製、軽く多少の柔軟性もある丈夫な素材だ。


 一方反対側からアックス演じるゴドラン!

「四大怪獣」以来6度目の登場とあって、都度修理されてはいるがくたびれた感じはある。

 検討用台本では両者の都市決闘は無いので、大商店に囲まれた両者の姿は、正に幻のシーンである!


 それを嬉々としてポリさんが勝手に撮影している。

 それに気づいて勝手に格闘を始める二大怪獣!


「はあ。もう止まらないわねえ」


 この時点でいい加減企画立ち上げの速さに唖然とするセシリア社長だったが、この後ボウ帝国での話を聞き、更に唖然とするセシリア社長であった。


「これは…ヒットしたら現地に協賛金でも出さないといけないわね」

「また港を作りにヒョイって行ってきますよ」

「ヨーホー公社にやらせます!あなたはちょっとは休みなさい!」

「はーい。怒られちったい」


******


 数日前に沸き上がったアイデアがイキナリラッシュフィルムになって上がってきたためマッツォ社長もビックリした。


 調子に乗ったポリさんが目から、胴から光線を放つシーン、指先からロケット弾を打つシーン、ゴドランが爆発の中を進むシーンまで撮影し、3分間の特報版みたいになってしまった。

 調子に乗って更にリック嘱託が光線作画し「スプラステラ」の必殺光線で使った虹色の素材で光線を焼き込み…

 準備日数2日、撮影期間1日、合成期間1日の特報である。


「リックさんが本気出すとこうなっちゃうのかあ…」

「いえまだ本気って訳じゃないんですけど」

「兎に角企画を纏めて下さい。

 私はこのフィルムで根回しを始めます。

 この出来なら、出来れば1億はかき集めたいなあ」


 本作の舞台がボウ帝国なので軍隊が登場しない、あくまで架空の密偵アクションものとなった。

 そのため本編監督はジュン・フェリチ監督が「ゴドラン南海大作戦」以来久々に起用され、音楽も同じく「南海」のヴィンチェ・グリチーナ師が担当。


 3分のパイロットフィルムにも、グリチーナ師の過去の戦記活劇から勇壮な(劇中では悲愴なラストシーンに反語的に使われた)マーチが当てられ、作品は明快な活劇スタイルで、という方向性を印象付けた。


 製作費9千万、製作期間は後半年弱。

 リック社長は自社作品3作、17th世紀プロ作品の助言もしつつ更に自社経理を兼任しての特撮協力だ。


 この半年はリック社長の正念場となった。

 もし楽しんで頂けたら、またご感想等などお聞かせ頂けたら大変な励みとなりますのでよろしくお願いいたします。


 なお、活動報告・近況ノートにてモデルとなった実在の作品についての解説を行っていますので、ご興味をお持ちの方はご参照下さい。

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