201.続・特撮千一夜
引き続き、異世界の特撮映画の記録です。
今回は他社作品も含めます。
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1512年
「マハラ」
天然色パノラマスコープ、4チャンネル立体音響作品。
キリエリア海軍の鋼鉄艦化、航続距離や電波探知機による遠距離察知能力の実用化により行われた南洋探索。
このため沸き起こった南洋ブームに乗った、幻想的な怪獣映画。
美女の小さな妖精、巨大な蝶の幼虫が完成したばかりのレイソン電波塔で羽化し、美麗な蝶へ変化する。
映画とタイアップして主役に双子の人気歌手を起用して、主題歌の音盤を発売する商法が広まっていた。
本作も怪獣マハラに助けを求める小妖精役に双子歌手の南国娘を起用、可憐な魅力と美声を振りまき、映画も音盤も大ヒットした。
製作費5千万デナリ、興行収入5億デナリ、音盤収入は何と1億デナリ。
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1513年
「世界最終戦争」
天然色パノラマスコープ、70mm6チャンネル立体音響作品。
南洋探索により極大魔法を引き起こした危険な鉱物ウラニウムの鉱脈が発見され、それを盗んで極大魔法を再現しようとした事件が発生。
このため世界は極大魔法の恐怖を思い出すことになり、「もし世界各国が極大魔法を兵器化したらどうなるか」という教訓と、平和への祈りを込めて製作された。
前年にショーウェイ商会がボウ帝国と合作で製作した超大作「ゴーダ」が70mm大画面で公開され大ヒットした影響で、本作も70mm撮影となった。
世界各国の王都が瞬時に爆散し、溶鉱炉の中の様に焼き尽くされる地獄絵図が観客に衝撃を与えた。
製作費1億デナリ、内70mm関連費3千万デナリ。
実質製作費は7千万デナリだがそこからも70mm6ch費用が出ていて、映画自体の製作費は「マハラ」と同じくらいであった。
これに対し興行収入は12億デナリ(キリエリア7億、北部諸国3億、ボウ帝国他2億)の二桁ヒットを飛ばした。
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1514年
「怪星バベル」
天然色パノラマスコープ、70mm6チャンネル立体音響作品。
進歩した特撮、上映施設、宇宙知識を駆使した空想科学宇宙映画としてリック監督が肝いりで企画したが、興行的には期待外れに終わった。
それでも大ヒットではあったがヨーホー映画はもっと上を行くと期待していた。
小さな天体が太陽系に侵入するが、その質量は地球の数千倍という黒色矮星であり、地球とすれ違うだけでも大災害を引き起こす事が判明。
地球を動かしバベルの重力災害を回避するため、世界が団結して南極に巨大なロケットエンジンを建設、地球を動かす。
その科学設定が理解されず、4億5億のヒットには届かなかった。
製作費5千万デナリ、興行収入3億7千万デナリ。
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1514年
「快猿王対ゴドラン」
ヨーホー映画創立20周年記念作品。
天然色パノラマスコープ、70mm6チャンネル立体音響作品。
前年ボウ帝国で製作された初の怪獣映画「快猿王」の技術指導の際リック監督がもぎ取った自由使用権を使って製作された、久々のゴドラン映画。
「快猿王」のボウ帝国始め西国の人気のため、製作費6千万に対し興行収入12億デナリの記録的ヒットを飛ばし、以後特撮映画の主軸はゴドランと敵怪獣という対決路線に決まってしまった。
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1515年
「大西洋の翼」
天然色パノラマスコープ、70mm6チャンネル立体音響作品。
近未来戦記シリーズ第二段。ヒノデ王国が敗戦寸前の逆境を挽回するため乗員を飛行機に乗せて体当たりさせていた中、生き残った精鋭を集めて制空権を奪回する物語。
しかし精鋭部隊の勝利に気を良くした上層部が一対三の戦力差で戦うよう命じ、精鋭たちは続々戦死し、ついに全員戦死を遂げたという、これまた失敗の物語。
精鋭部隊の部隊長三人を大人気の若手俳優が演じ、更に久々の近未来戦記の教訓物語とあって軍も賛同し、製作費6千万デナリが集まり、興行収入は7億デナリとなった。
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「マハラ対ゴドラン」
天然色パノラマスコープ、4チャンネル立体音響作品(以下特記無いもの以外は同じ仕様で製作・公開)。
「大西洋の翼」、そして初のテレビ特撮映画「スプラQ」の製作と重なったため35mm作品となった。
人気怪獣マハラとゴドラン、蝶と龍の戦いに苦心しつつ、製作費5千万デナリ、興行収入7億デナリのヒット作となった。
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「宇宙細胞メーバス」
不定形のクラゲ状の怪獣が空から都会や鋼鉄船を襲う、という企画だったが、よりインパクトある怪獣対決路線に押されて製作断念。
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「四大怪獣 グランテラ最大の決闘」
ヨーホー映画、世界の映画界の巨人、セプタニマ監督の超大作「民医王」の製作が伸びに伸び、その穴埋めとして急遽企画され、短期間で製作された作品。
全身金色、三つ首と巨大な翼を持つ宇宙大怪獣キメラヒドラ、初登場。
これにゴドラン、プテロス、マハラ幼虫が挑むという怪獣対決路線の決定版。
製作費5千万、興行収入9億デナリと穴埋め以上の成果を残した。
この時期からヨーホー特撮映画は年に特撮大作を2~3作製作する多忙な時期に突入する。
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1516年
「深山の怪物 大怪獣ベヒモド」
元はボウ帝国との合作、白黒テレビ映画。
しかしリック監督が契約破棄を予見して天然色ワイドで撮影した。
結果、ボウ帝国皇帝の自国保護のため、本当は側妃との結婚式典のため、合作は一方的に解消。
大陸西側諸国で劇場映画に編集され、製作費2千万デナリ、興行収入3億デナリとそこそこ怪我する事なく着地した。
報復のため本作は長らくボウ帝国への輸出はされず、一方的に破棄され支払われなかった製作費はリック監督が皇帝の私財からこっそり回収し、側妃との結婚式典は酷い結果に終わった。
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「セリコム王城物語」
嘗て滅びた王国の、豪華で知られた王城を舞台にした歴史活劇。
セリコム城の最盛期をリック社長、特美班が各種歴史資料を元にミニチュアで復元し撮影。
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「英雄のみ」
旧ゴルゴード王国とキリエリア王国の、海難兵の和解と決裂を描いた戦争悲劇。
漂流船が座礁する場面と、嵐の場面を特技部が担当。
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「海陸空戦艦」
近未来戦記に登場するヒノデ国が敗北した際、一部の反乱軍が南海の孤島で海陸空戦艦ルギトス号を建造し一矢報いんとするが、丁度地上世界征服を宣言した古代帝国サントリノから平和になった世界を救うため出撃する。
製作費5千万デナリ、興行成績7億デナリ。
未来兵器ルギトス号の樹脂製組み立て模型が大変に売れた。
また軍にとって国家への忠誠と世界との均衡について大いに考えさせる一作となり、大ヒットの一翼を担った。
本作を最後に、数年間空想科学映画は怪獣対決映画に席を譲ることになる。
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1517年
「怪獣大侵略」
ボウ帝国等東方市場に続き、アモルメ王国はじめ北方諸国からの収入も莫大になったため、アモルメ市場の意見を取り入れた一作。
宇宙科学映画と怪獣映画が合体した。
本作を以て特殊美術班長アール・ポン技師がヨーホー映画から独立、他社の技師達とともに「国際特撮映商会」を設立する。
製作費4千万デナリ、興行収入8億デナリ。
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1518年
「プロメテの子対地底怪獣」
これもアモルメ等北方の悲劇・ホラー嗜好を取り込んだ怪獣映画。
当初怪奇色が強く子供が怖がるかと懸念されたが、北方での大ヒットで製作費6千万デナリに対し興行収入9億デナリの大成功を収めた。
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「大西洋奇跡の脱出」
モノクロパノラマスコープ、70mm6チャンネル立体音響作品。
近未来戦記の三作目で、作戦の失敗により敵制空制海権の真っただ中に取り残された孤島を、凡庸な将として知られた司令官が無血撤退させる奇跡的作戦を描く。
天然色撮影で合成はモノクロで行い、高画質な仕上がりを実現した。
製作費7千万デナリ、興行収入11億デナリ。
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他社特撮映画
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1508年
「星空の英雄 フォルティ・ステラ 第一部・第二部」
35mmモノクロ・スタンダート映画。
ショーウェイ初の特撮英雄作品。英雄アックス初主演作品
製作費第一部1千万デナリ、第二部2百万デナリ。
第一部、二部各45分を分割公開。
興行収入第一部4千万デナリ、第二部5千万デナリと短期低予算の作品。
当初構想にリック監督が色々助言して製作された。
ショーウェイとしては大成功作。以後続編が続く。
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1509年
35mmモノクロ・スタンダート映画。
「フォルティ・ステラ 第三部 怪奇異星人の魔城」
「フォルティ・ステラ 第四部 地球の破滅か怪星人殲滅か」
製作費三部四部で一千5百万デナリ
興行収入第一部5千万デナリ、第二部7千万デナリ、主題歌音盤大ヒット。
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「フォルティ・ステラ 第五部 宇宙船発射の危機」
「フォルティ・ステラ 第六部 宇宙基地とロケットの激突」
35mmモノクロ・スタンダート映画。
宇宙ロケット、宇宙基地が舞台となるなど「宇宙迎撃戦」との共通項が多く、ヨーホー映画と協議の結果、公開を延期する事となった。
製作費2千万デナリ、興行収入第一部5千万デナリ、第二部7千万デナリ。
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1511年
「快猿伝」
35mm天然色・スタンダート映画。
ボウ帝国 チョウ兄弟商会との合作。英雄アックスが主役で、ボウ帝国で大人気の古典的英雄、快猿大聖をアクション込みで演じる。
製作費5千万デナリ、興行成績2億デナリ。
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1512年
「ゴーダ」
70mm天然色・パノラマスクリーン 4チャンネル立体音響
ボウ帝国 チョウ兄弟商会との合作。ボウ帝国、大陸東側で広く信仰されている無常教の開祖の人生を描く超大作。
誕生時に王城に一斉に開花するシーンや、無常の悟りを開眼する際悪鬼の放つ槍や矢がゴーダの手前で力を失って落ちるシーンはヨーホーを去って独立したウッコ技師のスタジオによるアニメ合成。
終盤の邪神像を中心とする大神殿が崩壊するスペクタクル場面を、実物大セットとミニチュア撮影でショーウェイの特撮陣が再現した。
また、内容が聖典から逸脱しているため、リック監督が宗教界と仲介し、問題の箇所を変更して公開するという一幕があった。
更に完成した作品の出来に感激した社長が「70mmの大画面で」と命じ、急遽リック監督の光学機器会社が設備を整え実現させ、世界初の70mm映画として公開された。
製作費5千万デナリ、70mm追加予算1千5百万デナリ。
興行成績・キリエリア他西側3億デナリ、ボウ帝国他東国7億デナリ(金7千万斤)。
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1513年
「世界最後の日 四十一日の恐怖」
35mm天然色・パノラマスクリーン・4チャンネル映画。
極大魔法再発が懸念された世情を反映して製作された。
しかしヨーホー映画の「世界最終戦争」の後に企画されたこともあり、時期を延期して公開された。
庶民の目線で描かれ観客の同情を誘った「世界最終戦争」と違い、軍事的な観点で製作されたため、また最終戦争の特撮もヨーホー映画に軍配が上がり、興行的に苦戦した。
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「快猿王」
35mm天然色・パノラマスクリーン・4チャンネル映画。
ボウ帝国チョウ兄弟商会単独製作、リック監督は「特殊効果助言」だが、撮影指導、怪獣ヌイグルミ製作等、更には終盤の構成や皇帝からの内容変更命令への対応、音楽指導まで活躍してしまっている。
製作費5千万デナリ興業成績、ボウ帝国、東側諸国で5億デナリ相当、西側諸国で2億デナリ。
契約を超えたリック監督の仕事への返礼として、ヨーホー映画での「快猿王」キャラクターの使用許可を得、後に「快猿王対ゴドラン」が製作される。
もし楽しんで頂けたら、またご感想等などお聞かせ頂けたら大変な励みとなりますのでよろしくお願いいたします。
なお、活動報告・近況ノートにてモデルとなった実在の作品についての解説を行っていますので、ご興味をお持ちの方はご参照下さい。




