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106.閑話 牢獄ぐちょむちょテクニック

※サブタイトルからお判りの通り、今回は成人向けっぽい?描写が超絶間接的に含まれますので、苦手な方は「さくしゃはじつにばかだな」と思ってやって下さい。


******


 旧帝国領は徐々に経済が廻り、連合国の統治政策が功を奏し工業化が始まり、人々に活気が戻りつつあった。

 キリエリアに10年遅れながらも復興の波がやって来た。


 ある意味この波を起こした責任者、元皇帝は未だ死刑に処されていなかった。

 他の皇族は、妻子や3親等男子は斬首され、女子は修道院送りとなったが、皇帝は牢獄で極寒の生活を送らされていた。


 何か帝国内で紛争があれば囚人服のまま連行され、紛争の当事者の前で「誰のせいでもありゃしねえ、みんな俺らが悪いのさ」と言わされる日々であった。

 かつて栄華と威厳を誇った皇帝の、ボロ雑巾の様な姿に誰もが戦慄し、紛争調停は滞りなく進んだ。


******


 皇室でもう一人の生き残りである皇女。例外的に生かされている。

 3m四方の石の牢屋で5人暮らしである。

 一人机に向かって魔法陣をああでもないこうでもないと書き連ねていたのだが。


「ズベタ、時間だ」

「ひい!」

「やあ~本日もご機嫌麗しゅう」


 数日おきにリック青年がやって来て、文字通り脳天に指を突き刺す!

「あばー!あばあばででぐりまで」

「ん~?違ったかな~」


 脳味噌から直接記憶を読み取り、この世界の害悪である勇者たちを元の世界に送還する魔法の出来を確認しているのだ。

 そして、本日もダメだった様だ。


「ぎっちぎっち~ん」

 脳から指を抜くと、皇女は失禁して白目むいて倒れ、すぐ後ろの女にぶつかった。


「ギャっ!毎度えげつねえなあヒト族はよお!」

 皇女を抱えた流石に魔王四天王であったマトグレラもドン引きであった。


「エラそうな事はお前の美しい伯母上様がお迎えに来てから言うが宜しいですよ?」

「え?何?迎えが来るの?」

「来ませんよ。極刑が望ましいって」

「うわーん!!ひでーよー!!」


「あぶりぶりばらばら」

 相変わらず元勇者ツヨイダは廃人状態のまま元聖女たちの膝枕の上であった。


「はっはっはー何この惨状」

 無茶苦茶な牢内を見てリック青年は他人事とシラを切り通した。


******


 そんなある夜。

 折り重なって寝ている一同を後目に、元聖女、勇者ツヨイダの幼馴染が起き上がった。


(もうこうなったらあのクソガキに情けを乞うしかないわ!

 勝太君と既成事実作って、妊婦になって特別待遇を受けるのよ!)


 そう言って脱ぎだした。

(待っててね勝太君!あなたのママになってあげるわー!)


「アッー!」


 夜空に謎の嬌声が響いた。なんか促音の場所違わないかと思わないでもない。


******


 次の夜。今度は元魔法使いが起きた。


(もうこうなったらあのクソガキに情けを乞うしかないよ!

 勝太君と既成事実作って、妊婦になって特別待遇を受ける!)


 そう言って脱ぎだした。

(待っててね勝太様!あなたのママになっちゃうよー!)


「アッー!」


******


 次の夜。今度は元賢者が

「アッー!」


******


 次の夜。元聖女以下…が起きて脱いでハチ合わせ、というかよく狭い牢獄で3日間気付かなかったものである。

「何よあんたー!」

「何って勝太様のママに私はなる!!」

「この泥棒猫ー!!」

「うるせえこのデカ乳!」

「「「ギャー!!!」」」


(全部聞こえてるっての!)

 元皇女は初日から気付いていたが無視していた。

(このエテ公共が!!気持ち悪いったらありゃしないわ!

 もう早く送還魔法作ってコイツラ追い出さなきゃ!)


「ぐがあああ~」

 元皇女の敷布団みたいになっていた元四天王はこの騒動にもかかわらず寝ていた。


******


「あばんだらかばんだら~」


「あれ?送還魔法陣、進化してね?」

 例によって元皇女の脳味噌に指を突っ込んだリック青年が驚いた。


「げはあ、がはあああ!

 こ、この地獄から!とっとと抜け出すためよ!」


 脳味噌直撃の苦痛を抑えつつ元皇女が叫んだ。

「このエテ公ども負い出したら、ちゃんとした部屋で寝起きさせなさい!」

「いや普通に裁判受けて死刑か終身刑でしょ?」


「いいいいい生きるも地獄死ぬも地獄ぐぐぐぐぐぐ」

 元皇女の金髪が、気のせいか色を失っていく。


「ある程度情報酌量を申し出ましょう」

「頑張るわ!!」


******


「アッー!アッー!」

 地獄は毎晩続いた。

「ぐがああああ~」

 元四天王は気にせず寝ていた。


「モ~~~~ムリ~~~~~!!」


 異世界の退職代行業社の名を叫んだ皇女、思わず魔法陣を魔力全快でブン殴った。

 この牢獄は魔力を封じる結界が何重にも張り巡らされていたが、それでも彼女達の目の前に魔法陣が現れた!


 そしてその向こうには。


「五~本~木~、黒十~字~軍~」


「監獄の鉄格子ブチ壊して回った~」


「忘れ始めたマ~イ説法流暢~」


 けたたましい音楽が聞えて来た。


「え?何この、街?箱?建物?」


「「「渋谷だー!!!」」」

 さっきまでアッーさせたりしてたりしてた娘達がヒドい有様も忘れて食い付いた。


「え?これ、異世界の街?」


「帰るー!」「おかーさーん!」「待ってよ私が先よ!」

 早速醜い争いをムチムチと繰り広げる女三人。

 だが、彼女達は後ろに引っ張り倒された。


「に、日本だ…」


 元勇者、ツヨイダが起き上がった。


「日本だー!俺は帰るぞー!帰るぞー!!」


 魔法陣の景色に手を伸ばすが、手は透けて向こうに抜けてしまう。


「チクショー!何で帰れねえんだ!こんなクソ世界もうゴメンだー!」

「そうよ!私は勝太君と日本に帰って結婚するのよ!」

「煩いわね泥棒猫!結婚するのは私よ!」

「やかましい!勝太様はあたしのものよ!」


(うわあ醜い連中ねえみんなまとめて帰って欲しいわ)

 心の中で密かに呆れる元皇女。


「うるせえお前ら!俺が連れてくのは皇女様だあ!

 こんだけマブい女いねえ!俺が連れてって、最強魔法で日本を征服してやる!」


(うわあこいつ返しちゃいけない奴かも、でも他人事他人事)

 そう言いながら魔法陣を観察する元皇女であったが。


「あ…」

 魔力が尽きて魔法陣を維持できなくなった。


「「「あ~!!!」」」元勇者御一行が、泣き叫んだ。


「何で消えちゃうんだよー!」「元に戻してよー!」「こんなとこもうヤダー!」「訴えてやるー!」


「うるせー!こっちもお前らなんかとっとと負い出したいんだよ役立たずの下衆どもがあ!」

「何だと?お前が俺たちを連れて来たんだろうが!」

「もっとマトモな奴が来るかと思ったんだよ!お前みたいな弱い奴には滅法強いが強い奴には滅法弱いゴミクズヘナチン野郎が来るなんて思ってなかったんだよ!!」


「何だとこのスカしやがって激マブ!ヘナチンかどうだか(以下略)」

「ただすけべー!」


 元皇女の絶叫に、牢番が駆け付けた。


******


「あんぶらび~~~びんびらんび~~~」

「おお、世界を繋げる事は出来てますねえ」


「お願いだからアイツと同じ場所に居させないでよお~!!」

「これは仕方ないなあ」


 こうして元皇女は独房へ移された。

「最初っからこうしてよお~~」

「だったらとっとと返還魔法を完成させればよかったのに」

「出来てたらこんな事にならなかったわよ!あんたチートでしょ?手伝ってよ!」

「知らないよ。

 あの畜生を野放しにしてたら、もっと多くの他の女性があんたと同じ目に遭ったんだ。

 自分がしでかした事に責任は負いなさい」


「ぐぐぐううう~~~~!!!」


 同じ牢にいる取り巻き達は、邪魔者が消えたとばかりに毎晩がんばっていた。


「ぐがあああ~」

 元四天王だけは毎晩豪快に石の上で寝ていた。


 元皇女が送還魔法を完成させるには、さらに時間を要した。


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