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新たな交流と橘家の秘密

神社に封じ込まれていた悪霊の封印に成功した美紀は、その後、オカルト研究部の田中に招かれ陰陽師の情報を得る機会を得る事になった。

 神社での怨霊封印から数日後、美紀は陰陽師に興味を持つオカルト研究部の田中と、交流を深めていくこととなった。夏休みに入ると、田中はさっそく美紀をオカルト研究部の部室に招待し、持っている陰陽師に関する資料や情報を見せてくれることになった。


オカルト研究部の部室は、学校の一角にひっそりと佇む古びた教室を利用していた。そこには古い書物や雑誌、インターネットから集めたプリントアウトが並んでおり、窓からは薄暗い光が差し込んでいた。壁には陰陽師や霊獣に関する図解やイメージ画像が貼られ、田中の熱意が感じられた。


「橘さん、ここが僕たちのオカルト研究部の部室です」と田中は誇らしげに案内しながら、テーブルの上にいくつかの資料を広げて見せた。「僕たちの部は5人ほどの小さなサークルなんだけど、インターネットを通じて他の研究部とも交流があるんだ。それで、陰陽師についての資料を探していたら、分家と本家についての記録や、霊獣についての伝承を集めることができたんだよ。橘さんの役に立てばと思って、これも全部持ってきたんだ。」


 田中は陰陽師についての質問と回答が書かれた資料や、霊獣のイメージが描かれた画像を一枚一枚見せながら説明してくれた。彼の熱心な姿勢に、美紀も思わず感謝の言葉を漏らした。「ありがとう、田中さん。こんなに丁寧に資料を集めてくれたなんて…すごく助かるわ。」


田中は笑顔で頷き、「少しでも橘さんの役に立てれば嬉しいよ。そうだ、橘さんのご先祖様は陰陽師だったって言ってたよね」と、改めて興味津々に尋ねた。


「ええ。私の家系は分家筋なんだけど、昔は橘家本家がこの地域で陰陽師として人々を守っていたらしいわ。でも、本家は何らかの原因で断絶してしまったと聞いているの」と、美紀は少しだけ複雑な表情で語った。


田中は真剣な眼差しで彼女の話を聞き、「その本家には、本来4つの霊獣が受け継がれていたって知ってる?青龍、白虎、玄武、そして朱雀。この4つの霊獣を従えることができたのは橘家本家の強大な霊力によるもので、特に朱雀は、橘家の象徴ともいえる霊獣だったらしい」と話し始めた。


美紀は驚いた表情で資料を眺めた。そこには、かつて橘家が封印を施した霊獣たちの詳細が記されており、各霊獣の能力や特徴についても詳しく解説されていた。朱雀のイメージ図には炎を纏った姿が描かれており、その姿が美紀がこれまでに召喚してきた朱雀と重なり、どこか親近感を覚える。


「残りの霊獣、青龍、白虎、玄武を従えるには、かなりの霊力が必要だったようだね。どうやら本家が断絶した際に、その霊力や術の一部は失われ、分家には朱雀だけが継承されたみたいだ」と田中が続けると、美紀は改めてその事実を噛みしめた。自分の家系には朱雀の力しか受け継がれていないことを知り、どこか残念な気持ちと、もっと自分も陰陽師として成長したいという思いが心の中に湧き上がった。


 田中は続けて、美紀にとってさらに重要な情報を提供した。「実は、橘家の本家がかつて使っていた青龍や白虎、玄武の力についての伝承も少しだけ見つけたんだ。それぞれの霊獣には特有の力があって、その霊獣を従えるためには、強い精神力と浄化の力、そして本来の継承者としての覚悟が必要だったみたいだ。橘さんがいつかその力を使えるようになったら、きっとさらに強力な陰陽師になれるはずだよ。」


 美紀は田中から借りた資料を手に取り、静かに頷いた。「ありがとう、田中さん。この資料、すごく参考になるわ。私もいつか、4つの霊獣を従えることができるほど強くなりたい。」


 田中はにっこりと微笑み、「橘さんなら、きっとその力を取り戻せるよ。僕もオカルト研究部として、これからも陰ながら応援しているから」と励ましの言葉をかけた。


 美紀は深く感謝し、田中から受け取った資料を抱きしめながら、さらに強くなりたいという決意を胸に秘めた。橘家の一族としての誇りと使命感が心に刻まれ、今後の修行に対する意欲が高まった。


 こうして、美紀は田中との新たな交流を通じて、橘家に秘められた謎や、4つの霊獣を操る陰陽師としての夢を抱き、さらなる鍛錬を重ねていくことを誓ったのだった。


***橘家の地を巡る浄化の旅***


田中から渡された地域の祠や封印伝承に関する資料を手にした美紀は、さっそくその内容を読み込んだ。そこには、橘家が代々守ってきた封印の場所や、かつて悪霊を封じ込めたという伝承のある場所が数多く記されていた。さらに、その中には、近年になって怪奇現象が発生しているという噂の場所もいくつか含まれていた。


「ありがとう、田中さん。この資料、すごく助かるわ。何か手がかりになる気がする」


田中は嬉しそうに笑顔を見せ、「少しでも役に立てたら何よりだよ、橘さん。どんな小さなことでも、陰陽師としての役に立てるなら僕も協力するから」と応援してくれた。


美紀は、資料に目を通しながら、橘家の陰陽師としてこの地に再び平穏を取り戻す決意を固めた。まずは、一つずつ封印の場所を確認し、不穏な気配があれば即座に浄化を行うつもりだった。


***封印の地を巡る浄化の旅***


最初に訪れたのは、街外れの森にひっそりと佇む古びた祠だった。そこはかつて橘家の本家が封印を施した場所と伝えられており、数年前から不気味な現象が起きていると噂されていた。美紀は霊符と浄化の術を準備し、祠の周囲を慎重に見回した。


祠の近くに足を踏み入れると、薄暗い空気が漂い、辺りに異様な冷気が立ちこめているのを感じた。美紀は深く呼吸を整え、霊力を高めて周囲の霊的な気配を感じ取った。「ここに、確かに怨霊が潜んでいる…」そう感じ取ると、手にした霊符をかざし、結界を張り巡らせて周囲を浄化し始めた。すると、木々の間から不気味な黒い影が現れ、美紀の結界にぶつかるようにして霧散していった。美紀は集中しながら霊符を掲げ、浄化の術を強化して悪霊を完全に封じ込めた。


こうして一つ目の祠での浄化を終えた美紀は、次なる場所へと向かった。資料に記されていた場所の中には、橋の下や、かつての処刑場跡地といった、不穏な過去を持つ場所も数多くあった。


***試練の重みと橘家の使命***


美紀は一か所ずつ封印の地を巡り、怪奇現象が生じている場所を浄化して回った。ある場所では悪霊が実体を持って現れ、激しい霊的な戦いが繰り広げられることもあったが、美紀は決して怯むことなく、霊力と術を駆使して封印と浄化を続けた。


数か所の封印を解いたことで、彼女の霊力はますます強化されていった。しかし、それと同時に、橘家の陰陽師としての使命の重さも強く感じるようになっていた。「この地には、まだ数多くの封印された霊が眠っている…そのすべてを鎮め、再び災厄がもたらされないようにするのが私の役目だ」と、自らに言い聞かせた。


***田中との再会と新たな情報***


ある日、彼女が町にある古い神社の祠を浄化し終えた帰り道、田中が走り寄ってきた。彼は興奮した様子で言った。「橘さん、最近また新たな資料を見つけたんだ!この地域の封印についてさらに詳しく調べたら、橘家と関わりのある古い書物の断片が出てきたんだよ」


田中は彼女にその資料を手渡しながら、「そこには、橘家の祖先がある強大な怨霊を封じた場所についての記録が載っていた。どうやらその怨霊は、朱雀だけでなく青龍、白虎、玄武の力も使って封じたらしいんだ。そのため、もしもその怨霊が封印から解かれたら、朱雀だけでは封印しきれない危険があるみたいだ…」と話した。


 美紀は資料を手にし、その封印の記録に目を通した。「田中さん、ありがとう。この情報があれば、きっと対処方法も考えられるはず。次の封印の浄化を行う前に、この記録をよく読んで備えを固めるわ」と田中に礼を言い、再び決意を新たにした。


こうして、美紀は田中との交流を通じて、橘家の祖先が封印した強大な怨霊の存在と、彼らの力の偉大さを知ることができた。これから先も、さらなる封印と浄化の旅が待ち受けていることを感じつつ、美紀は陰陽師としての使命を胸に抱き、日々の修行と祠の浄化に挑み続けていくのだった。

 購読、ありがとうございました。

少し涼しくなって来た事から調子が戻って来たので、更新しています。


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