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新たなる修行の始まり 天狗との再会

美紀は、河童の封印を行った後も修行を続け、より霊力を高めて行った。天狗から渡された巻物の内容も習得し、新たなる教えを乞う事を考えていた。

 河童の事件から数か月が経ち、美紀は天狗から授かった巻物に記された霊術の数々を修得し、実戦を重ねて少しずつ陰陽師としての力を高めていた。日々の鍛錬と浄化の経験を積むことで、彼女は霊的な気配に対する感覚も鋭敏になり、影や怨霊の気配をいち早く察知し、即座に対応できるようになっていた。


 普段の生活で不穏な気配を感じる場に対し

浄化を行ったり封印を行い、少しずつ経験を積み重ねて行った。


 彼女の内なる霊力は強まり、いつしか巻物に記された術も一通り使えるようになった。これまで幾度か天狗の言葉が心に浮かび、その言葉が彼女を鼓舞し、支え続けてきた。しかし同時に、さらなる試練への期待と不安も心に宿るようになっていた。今の自分がどこまで陰陽師として成長できているのかを確かめ、そして新たな教えを受けたいと考えた美紀は、再び天狗山へと向かう決意を固めた。


***天狗山での再会***


 週末の早朝、霧がかすかに立ち込める山道を電動アシスタント自転車で進み、美紀は再び天狗の祠を目指した。山の空気は澄んでおり、朝日が木漏れ日のように差し込み、彼女の決意を後押ししているかのようだった。数か月前とは違う自分、さらに力を増した自分を確かめるように、足取りは軽く、心は研ぎ澄まされていた。


やがて祠に辿り着くと、美紀はその場で静かに手を合わせた。そして心の中で天狗に語りかける。「天狗様、橘家の継承者として、さらなる力を授けてください。私は、より一層の修行を受ける覚悟を持ってここに参りました」その瞬間、辺りが静まり返り、微かな霊気が漂い始めた。


「…よく戻ってきたな、橘家の継承者よ。」


 その声とともに、霊的な力が周囲を包み、威厳に満ちた天狗の姿が霧の中から現れた。天狗は美紀をじっと見つめ、わずかに微笑んで言った。「数か月の間で、貴様の力がさらに高まったことがよくわかる。古文書の術を習得し、霊的な気配にも敏感になっているようだな。」天狗の眼差しには、美紀の成長を認めるような深い感慨が浮かんでいた。


美紀は姿勢を正し、「天狗様、私はさらに修行を積み、より強い霊力と術を習得したいと考えています。どうか次の試練をお与えください」と真剣な表情で告げた。天狗は彼女の目をしっかりと見つめ、静かに頷いた。


***天狗からの新たな教え***


「よかろう。今より、さらに深き霊術と封印の極意を教えるとしよう。」天狗は穏やかだが力強い声で告げた。「だが、この次の試練は、貴様のこれまで以上の覚悟と集中を必要とする。影の存在、邪気をまとった強力な霊は、ただ浄化するだけでは霧散せず、再び姿を現すこともある。そのためには、完全に影の存在を浄化し、根源から断ち切る術を使わねばならぬのだ。」


 天狗はそう言って、美紀に「古文書」の続編とも言える古い巻物を差し出した。その巻物には「大浄化の術」と呼ばれる術が記されており、悪霊や怨霊をその根源から完全に消滅させるための儀式が詳しく書かれていた。


「この術は、ただ力強く霊力を使うだけでは成し遂げられぬ。己の精神を無にし、浄化の炎を真の力として扱わねばならぬのだ。また、この術を行う際には、強大な霊的存在や負の力に自身が囚われぬよう、心の内に宿る不安や恐怖を完全に断ち切らねばならぬ。そうでなければ、浄化の術は己をも焼き尽くしてしまう」


 美紀はその言葉に強い決意を込めて頷きました。「私は、その術を習得し、より強い陰陽師になる覚悟を持っています。どのような困難があっても、必ずや成し遂げてみせます」


天狗は美紀の決意に満足げに頷き、「ならば、始めるとしよう」と言って、近くの清らかな霊水が流れる小川へと彼女を導いた。


***大浄化の術の修行***


 天狗は美紀に、「大浄化の術」を身に着けるための基本となる「霊水浄化の儀」を指導した。霊水の力を使い、自身の心と体を清め、浄化のための霊力を自身の内に宿す儀式であり、この浄化の儀を通して「浄化の炎」と呼ばれる力を引き出すのが目標だった。


 霊水に触れると、その冷たさが全身に染み渡るように広がり、霊力がさらに研ぎ澄まされていくのを感じられた。天狗は彼女に呼吸を整え、心を無にして霊水の力を感じ取るように指示する。「浄化の術は、ただ霊力を高めるだけでは足りぬ。己が清浄であり、霊水と一つになる心を持たねば、術の真髄には届かぬのだ。」


美紀は深い呼吸とともに、自分の心を静かに無にしていった。やがて、霊水が彼女の内なる霊力に同調し、霊的な清らかな流れが体内に宿り始めた。この感覚は初めてのものだったが、どこか懐かしさも感じじられた。天狗は彼女を見つめ、「よくやった。それが浄化の力を引き出すための第一歩だ」と告げた。


***新たな試練への予感***


こうして数日間の修行を重ね、美紀は「霊水浄化の儀」を通じて、次第に浄化の力を使いこなせるようになった。ある日、天狗が静かに美紀に告げました。「橘家の継承者よ、次なる試練が近づいている。この地に、かつて橘家が封印した怨霊の一族が再び動き出そうとしている。彼らは強大な怨念を持ち、その力はかつての封印を打ち破ろうとしているのだ。」


美紀はその言葉を聞き、内心に静かな決意を燃やしました。「この地を守り、人々を平穏に導くため、私はどんな試練にも立ち向かいます。」


 天狗は再び巻物を差し出し、「この巻物には、怨霊の一族を封じるための最も強力な術式が記されている。その術を完全に修得せよ。そして怨霊の一族が現れたとき、己の力と共にその浄化の術をもって対峙せよ」と告げた。


 美紀はその巻物を慎重に受け取り、天狗に深く頭を下げました。そして「必ずやこの試練を成し遂げ、陰陽師としての務めを果たしてみせます」と静かな決意で告げました。


 こうして、美紀は再び天狗山を後にし、

さらなる霊力の鍛錬と浄化の術の修行に励むことを心に誓った。


***古い神社の探索***


 翌日、楓と真子と学校で夏休みに入ったら、出掛ける場所の話をしていた。

楓「ねぇねぇ。今度、地元にある古い神社に行ってみない?かなり古い神社で、けっこう広い所なの」真子が「神社としては古い場所だけど廃れてしまっている所だけどね。ちょっとした探検には、良いかもね。」と付け加えた。


美紀が「でも、ちょっと不気味な感じがする場所ね。そこも、かつて封印した。話が残っているわ。。。。」と話した。


 楓が、閃いたように「そうだ、だったら、田中くん達を誘ってみない?」真子が「田中君はオカルト研究部だから、こういった所にも詳しそうだからね」


 翌日、同級生の田中が楓に誘われて美紀たちの話に参加した。

田中「あの神社は、以前、邪悪な魔物を封印して祀っている記録が残っています。神社の建てられた目的も、この地に現れる悪霊や妖怪を封印したり鎮める為だった記録もあります。」美紀は、田中の話を興味深く聞きながら、かつての橘家も封印に関わっていた可能性を想像した。「僕も丁度、研究課題に良さそうなので同行します」と付け加えた。


***古い神社の探索***


 美紀は楓や真子、そして同級生の田中と一緒に、地元の古い神社へ徒歩で向かうことになった。この神社にはかつて悪霊や妖怪が封じられたという伝説が残されていた。美紀にとっては修行の成果を試す絶好の場であると同時に、怨霊の気配を感じたことで一抹の緊張を覚える場所でもあった。


 夏休みが始まり、美紀たちは朝早くに集合して神社へ向かうことにした。田中が先導する形で、細い林道を歩きながら、みんなでわいわいと話しながら進んだが、美紀だけは神社に近づくほどに霊的な気配が重くなっていくのを感じていた。


「この神社はね、邪悪な霊を封じ込めるために建てられたと古い文献にあるんだ」と田中が語り始めた。「昔、地域の人々がこの地に現れる悪霊や妖怪を鎮めるために神社を造り、祠に封じ込めてきたらしいよ。でも今では参拝者も少なく、荒れ果ててしまったんだ。」


 道中の説明を聞きながら、楓が少し怖がりつつも興味津々で聞き入っている。「悪霊を封じる神社なんて、いかにもミステリアスでドキドキするよね。でも本当に何かが出てきたりしないよね…?」と不安そうに話す楓に、美紀は微笑んで「もし何か出てきたとしても大丈夫。ちゃんと私が対処するから」と励ましの言葉をかけた。


***神社の発見と祠の異変***


 山道を歩き続けること約30分、神社の鳥居が見えてきた。その鳥居は苔むしており、鳥居をくぐると、静寂が一層深まり、周囲の空気がひんやりと変わっていくのが分かる。奥には古びた本殿と、小さな祠が佇んでおり、その周りには草木が生い茂り、神社が長らく放置されていることが伺えた。


田中は周囲を観察しながら語った。「この祠には、特に強い封印が施されているとされていて、封印が崩れないように代々の祀りが行われていたらしいけど…今はそれも途絶えたみたいだね。」


 美紀は田中の説明に耳を傾けながら、祠から漂う禍々しい気配を感じ取った。祠の周囲に目を向けると、黒い霧のような影がうごめき、冷たい風が一瞬周囲を包み込むように吹き抜けた。祠からは怨霊の存在が強く感じられ、まるで美紀たちに近づくなと警告を発しているかのようだった。


「これは…封印が弱まっているのかも…」と美紀が呟くと、真子が緊張した面持ちで「何か怖いことが起きるの?」と不安そうに聞いた。美紀はしっかりと頷きながら「少し離れていて、私が結界を張るから」と言って、田中や楓、真子に注意を促した。


***結界の儀式と封印の兆し***


 美紀は祠の周囲に霊符を配置し、三重の結界を張るための儀式を始めた。祠の前に立ち、霊力を集中させると、霊符がほのかに光り始め、結界が形成されていく。結界が張られるにつれて、祠の周囲に漂っていた黒い霧が次第に押し戻され、祠の奥へと引き寄せられるように縮んでいく。


「この結界なら、怨霊の気配も抑えられるはず…」と安堵の息をついたその時、突然祠が震えだし、中から低いうなり声が響き渡った。その声はまるで、長い間抑え込まれていた怨霊が今にも解放されようとしているかのような叫び声だった。


「まさか…封印が完全に崩れかけているのかもしれない…」美紀はそう思い、さらに集中して結界を強化し、霊符に浄化の力を注ぎ込んだ。しかし、怨霊の力は強力で、美紀の結界を打ち破ろうと一層激しく揺らぎ始めた。


***怨霊との対峙と浄化の炎***


「この力を前に、私は屈するわけにはいかない!」美紀は心の中で強く念じ、天狗から教わった「大浄化の術」を行使することを決意した。自身の霊力をさらに引き上げ、霊符を祠に向けて掲げた。すると、霊符が朱色に燃え上がり、周囲に浄化の光が広がり始めた。


「この浄化の炎で、封印を完全に施し、怨霊を鎮める…!」美紀はその力強い決意とともに術を行使し、朱雀の力を借りるために心の中で語りかけた。


「朱雀よ、私に力を貸して!」彼女の言葉に応じるかのように、美紀の周囲に朱色の炎が立ち上がり、燃え盛る朱雀の姿が現れた。朱雀は祠から漏れ出す怨霊の影に向かって突進し、その炎で怨霊を焼き尽くし始めた。怨霊は苦しげな叫び声を上げながら、朱雀の炎に包まれて次第に消えていった。


***新たな決意と次なる試練***


 周囲が再び静寂に包まれ、怨霊の気配が完全に消え去ったのを感じた美紀は、安堵の息をついた。結界が浄化の光で満ちる中、美紀は己の力が一段と強化されたことを感じた。田中が美紀に駆け寄り、感嘆の眼差しで「美紀、君が本物の陰陽師だったなんて…僕らの期待以上の活躍をしてくれたね。本当にありがとう」と感謝の意を述べた。


楓と真子も驚きと感謝の表情を浮かべ、美紀に笑顔を向けた。「本当にありがとう、美紀。何かすごいことを見せてもらった気がするわ」と楓が話し、真子も「美紀のおかげで無事に探索できたね」と言った。


 美紀は微笑みながら二人に「こちらこそ、みんなが一緒にいてくれたから無事に封印を守ることができたんだよ」と答えた。しかし心の中では、橘家の使命として、これからも数々の試練が待ち受けていることを改めて感じていた。


***次なる試練への決意***


 この神社の封印が弱まりつつあることを実感した美紀は、さらなる修行が必要だと強く感じた。天狗から授けられた霊術を完全に習得し、怨霊や悪霊の脅威からこの地を守り抜くため、より一層の精進が必要だと心に誓った。


「今日の試練を乗り越えられたのは、みんなのおかげ。でも、これから先も、さらに多くの霊が目覚めるかもしれない。私はこの地を守る陰陽師として、より強い霊力を身につけていくわ。」


こうして、美紀は田中や楓、真子とともに神社を後にした。彼女の心には、さらなる成長と次なる試練に向けての強い決意が芽生え、新たな修行への意欲が高まっていた。


 ご購読、ありがとうございました。

少しずつ、美紀も陰陽師としての使命を果たし、力も身に付けています。

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