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16 ウィルver.

「3人揃ったけど……今日は俺はここで♪」


「「は⁉︎」」


「何で?ランスも一緒じゃないの?」


「ん~…今日はねぇ…やめとく。」


そう言うと、ランスが俺に近付いて耳打ちをした。


「結構頑張った君にご褒美。邪魔者はいなくなるから……存分にレイチェルにアピールしなね♪」


そう言うとランスはニッコリ微笑んだ。


「ってな訳だから。じゃあね♡」


ランスは笑いながら軽く手を振って去っていった。


「………さてと…じゃあ……行くか…」


「うん……」


気を取り直してレイに声を掛けて街を歩くと結構な人で溢れていた。



___ドンッ!___



「わぁっ!」

「レイッ!」



話に夢中になっていたレイが通行人にぶつかり、倒れそうになった所を抱き寄せた。


「ゴメン!俺、話に夢中で…君、怪我はない?」


身長があまり変わらないが体勢のせいで少し俺を見上げる潤んだ瞳と上気したピンクの頬……


「……あぁ、大丈夫だ。これからは…気を付けて歩いてくれ。」


レイの表情を見て男が腕を触ろうとしたが、俺は自分の方へと更に引き寄せて触らせずに睨んで返事をした。



……ったく……油断もスキもない…‥



「ねぇ……ウィル……」


「何だ……」


「腰……離して……」


「…………あぁあああっ!ゴメン!!」


男に触らせたくなくて、しっかりと抱き締めてたっ!


「ねぇ……今度さぁ………」


「おぅ、何だ?……あ、あの店良さそうだな。」


何とか誤魔化さなきゃなっ!


「お腹……見せて。」


「ん~……良いぞ……………いや……今…何てった?」



この更に潤んだ熱い瞳で……お腹…見せて……?

……俺の聞き違いか?



「ん、腹。今度、腹筋見せて。」


「嫌だっ。」


「何でぇっ!」


「お前っ………腹筋って……お前なぁぁぁ!」


腹って……っ!

筋肉だろ⁉︎服脱がなきゃ分かんねぇじゃん!

それって……それってぇぇぇ!!


「お前っ!俺っ!この前告白したよなぁっ!」


全っっっく俺を()として見てねぇって事じゃん!!


「したけどっ!これくらい友達でもするじゃん!私ランスと見せ合いっこするもんっ!!」


「ランスは幼馴染だからだろ⁉︎俺はしないのっ!!いやっ……そういう事じゃ………あぁぁぁあああっっ!もう良いっ!帰るっっ!!」


ランスと見せ合いっこ⁉︎

それもショックだが、俺を男として見てない方がもっとショックだ!

俺はあまりのショックにその場にいる事が辛すぎて、子どもみたいだと自覚はしていたが走って帰ってしまった。


……城に帰ってサシャに相談したら「子どもじゃあるまいし」と怒られ「女の子を1人で残して帰ってしまった謝罪をするまで帰って来るな」と城を追い出されてレイがいるランスの部屋に行き、扉を開けるとレイとランスがベッドの上で手を繋いで寝ていた。

問いただしたい気持ちを押さえてレイの元へと向かおうとしたら……思い切り突き飛ばされて気付いた時にはレイの姿は消えていた。


「あのさ……ウィルは…レイの事…本気で好きなの?」


「え?」


「俺は…好きだよ。」


「それは家族とし「家族でも……中途半端なヤツに取られるくらいなら俺がもらうから。レイだって……見て…分かるでしょ?」」


……本気の目だ……


それに……レイもランスと一緒のベッドで寝たり手を繋いだり……やっぱり…アイツ……ランスの事⁉︎


「……本気なら…もっと考えて行動しな。」


考えてるよ!

考えてるけど……分かんねぇんだよ!




___翌日___




「……おはよう…レイ……」


朝イチの客の相手をしているレイの元へ行った。


「お…おぅ…おはよ…ウィル…何…朝から剣術でも頑張ったの?」


コイツ…覚えてねぇのか?


「いやっ……これは昨日お前が……っ…あぁ…そんな事はどうでも良い……レイ…ちょっと来て。」


「あら、ウィルおはよ。」


「母上、レイをちょっと借りるぞっ!」


店の裏口へ連れて行った。


「……何……昨日の事なら…急に帰って…ゴメン…」


「それは良いんだよ……良いんだけどさ…お前…」


「……うん…」


「……お前ランスの事…好きなのか……?」


「………ん?」


「ランスから、俺が中途半端な気持ちならお前も嫌がってないしもらうって……俺はっ!中途半端じゃないからっ!!なんなら俺は………っ」


お前にキスするのだって……こんなに我慢してたのにっ……それなら………っ!


「……お前が…好きって…証明…して」

「ひゃあああああああ!!」



___ドコォッッ!!!___



「カッ…ハァッッ!!」


しまった!

コイツ…武術のセンスがかなりあったんだった!!


「……あ……その……あの……ゴメェェンッ!!」


蹲る俺のそばで狼狽えながらも、レイは逃げ出した。


「ゲホッ……逃げん……なぁ……っ!」


「ぴゃっ………!」


今度は………


「逃さねぇ……!」


「ひゃぁあぁあああ!」


街の中を掻い潜り、気付けば丘の上まで逃げていた。


「捕まえ……っ…たぁあああっ!!」


「わぁぁあっ!!」



___ドサッ!___



足を蹴って宙を飛びレイに飛び付く。

……しまった!怪我させる!!

そのまま一瞬で体勢を変えてレイを下にしない様に抱き締める。


「…ハッ…ァ……っ⁉︎…んんっ…っ…ハァ…やぁっ…!」


「…ハァ……ハァ…逃さ……ねぇ…ハァ…」


「…ハァ……離…し……っ。」


誰にも渡さねぇ!


「……レイ………………俺は……お前が……好きだ……」


「……ウィル……私は……」


潤んだ瞳…走って小さな口から吐き出される息……

白い肌に赤みがさして……何て………



…………ん………この首筋………これって……



「……………レイ………」


「………え……」


「これ………何だ……」


自分でも血の気が引いていくのが分かる……

これ……ウィルだよな……やっぱり……


「あっ!」


バッ!と、首元を隠そうとしたのでその手を掴んで上に固定する。

頭が真っ白で…いや…真っ赤か……分からねぇ……


「……誰にも渡さねぇ……」


「ウィ……んんぅっ!!」


ジュッ!っと、思わず音を立てて強く首元を吸った。

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