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「嫌だったでしょ?」


「嫌だったし…怖かったぁ……っ!」


「……ゴメン……チュッ。」


頬にキスをされて抱き締められたが、今は怖くなかった。

だって…雰囲気が違うから。


「でも、変な男に取られるくらいなら…ってのは本当だよ…それは覚えておいて。」


「好きな人いるのに……」


「……まぁ……それはそうなんだけどさ……でもね、俺に触られそうになった時…嫌だと思ったんでしょ?」


確かに。

転生前は特に気にもしてなかったけど……今の人格が融合してるせいなのかなぁ…


「いつもは大丈夫なのに……何で…」


「そりゃ……()()()()()()をする意識があったからだよ。」


ベッドから起き上がり、2人で並んで手を繋いで寝転がる。


「こうやって……手を繋いで…チュ…手にキスをしても…家族としてのスキンシップなら……慣れもあるよね?」


「……まぁ…過剰とは思うけどね。」


「フフッ…だからレイチェル以外にはしないってば。」


「でも…ランスだから大丈夫とは思ってたけど……違うのは分かった…」


「うん……でね、ウィルなら……どうだと思う?」


ウィルなら……あんな顔で……覆い被ってきて……


「…………恥ずかしい……気が……する……」


「フフフッ…その顔……アイツに見せるのは…お兄ちゃんとしてはまだ先が良いなぁ。」


あんな熱い顔をウィルが……想像したら顔が熱くなった。


「もう……ウィルの顔見れなくなるじゃ」



___コンコン___



「失礼するぞ……って、あぁぁああっ!またっっ!!」


「…………っ!!」


言ったそばから!!


「アハハ……タイミング悪かったなぁ…ウィル。」


「それってどういう」

「やあぁぁああああああっ!!ランスゥゥゥッ、また今度なぁあああっっ!」


___ドォォォンッッ‼︎___


今はウィルの顔が直視できない!

私はこちらに来たウィルを思い切り突き飛ばして脱兎の如く走って家に帰ってしまった。




___翌日___




ランスに何か入れ知恵をされたのか……ウィルの様子が…おかしい……


「……おはよう…レイ……」


朝イチの女の子のお客さんの相手に勤しんでいる時に、キラキラと格好を付けて来たつもりでいるんだろうが……何か…顔の擦り傷だらけで台無しだな。


「お…おぅ…おはよ…ウィル…何…朝から剣術でも頑張ったの?」


「いやっ……これは昨日お前が……っ…あぁ…そんな事はどうでも良い……レイ…ちょっと来て。」


「あら、ウィルおはよ。」


「母上、レイをちょっと借りるぞっ!」


「あらあら、早めに返してね~。」


女の子達はウィルに連れて行く私を何故か止めずに頬を染めて見送っていく。

イヤンっ!腐女子視線かぁ⁉︎

仲間!なっか~まっ!!それなら私をそっちに入れてくれっ!!


店の裏口へ連れて行かれるとそのまま壁に押し付けられて前にはウィルが腕を伸ばして俗に言う壁ドンで逃げ道を塞がれる。


「……何……昨日の事なら…急に帰って…ゴメン…」


「それは良いんだよ……良いんだけどさ…お前…」


「……うん…」


「……お前ランスの事…好きなのか……?」


「………ん?」


はい?今…何と言いました?


「ランスから、俺が中途半端な気持ちならお前も嫌がってないしもらうって……俺はっ!中途半端じゃないからっ!!なんなら俺は………っ」


片手で腰を引き寄せながら、もう片方は私の顎を上げて顔が近付いてくる。


「……お前が…好きって…証明…して」

「ひゃあああああああ!!」



___ドコォッッ!!!___



「カッ…ハァッッ!!」


見事な腹パン……言い方可愛いな……この場合はボディブローの方が正しいか……それはそれは雄々しくワザが決まった。

ウィル、ちょっと身体浮いたしな。


「……あ……その……あの……ゴメェェンッ!!」


再びその場から逃げ出した。


………逃げたんだけど………


「ゲホッ……逃げん……なぁ……っ!」


「ぴゃっ………!」


私、転生してから結構運動はチートなかんじなんですけど⁉︎

全力で逃げたら同じく運動神経に長けたランスでも追いつけないのに、同等に走れる……だと⁉︎


「逃さねぇ……!」


「ひゃぁあぁあああ!」


街の中を掻い潜り、気付けば丘の上まで逃げていた。


「捕まえ……っ…たぁあああっ!!」


「わぁぁあっ!!」



___ドサッ!___



ウィルにタックルするように腰を掴まれて宙に浮き、顔から落ちると硬く目を瞑ったが……あれ?思ったより痛くない……

薄っすらと目を開けると、私はウィルに抱き締められていた。


「…ハッ…ァ……っ⁉︎…んんっ…っ…ハァ…やぁっ…!」


「…ハァ……ハァ…逃さ……ねぇ…ハァ…」


強く抱き締められて顔がドンドン赤くなるしドキドキも止まらない。

思い切り走って急に止まったから?


………違う……もう……理由は分かっている……


「…ハァ……離…し……っ。」


「……レイ……」


その熱い瞳……ランスと同じ……でも…違う……


「……俺は……お前が……好きだ……」


「……ウィル……私は……」


今……ハッキリと分かった……私……


「……………レイ………」


「………え……」


「これ………何だ……」


()()………?

ウィルの顔がドンドン怖い顔になっていく。

その視線の先は顔……じゃないな……その下……首………くび……



………首⁉︎



「あっ!」


バッ!と、首元を隠そうとしたらその手を掴まれて上に固定された。


「……誰にも渡さねぇ……」


「ウィ……んんぅっ!!」


ジュッ!っと、音を立てて強く首元を吸われる。

この全身を巡る甘い疼きは……転生前にも感じた事のない快感だった。

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