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お母さんの言葉に甘えて、ゆっくりとランスとウィルの3人で朝食を済ませ、出店は他より遅めに開いた。

今回はウィルも一緒だ。


「いいい…いらっ…しゃい…ませっ……!」


「ブフッ…ウィル…目が怖い…」


「フフフッ…確かに……」


イケメンが必死になったら…ちょっと怖いのねぇ…面白っ。


「お前ら…楽しんでるだろっ!」


「「うん。」」


「お前らなぁっ!ほらっ‼︎俺はデコレーション出来ねぇんだからっ!やってくれよなっ!」


3人で売り子をしたせいか、いつも以上にお客がやってきてあっという間に限定商品も用意していたカップケーキすらも完売してしまった。


「あらあら…完売……」


「うん……完売……」


交代でやって来た母に報告をした。


「………ウィルくん……明日も来れる?」


ウィルの手を両手で握って母がギラリと目を輝かせて聞いた。


「……母上……申し訳ないが……明日は……難しいかと……」


「えぇ~、そうなのぉ?残念…」


母よ……本気で残念そうだな。


「じゃぁ、今日はそのまま店仕舞いしてみんな自由時間ね。私はケリー達に伝えてくるから。あなた達は好きになさい♪」


私達は今日の売上の一部をアルバイト代としてもらい、3人で回ることにした。


「……で、どうだった?初めてのお店体験は。」


「……商売は楽しいけど…難しいもんだな…」


嬉しそうにウィルが話す。


「みんなこうやって生活をしているんだな。」


「そうだよ~、その上で税を王宮に納めてんだからっ。感謝してよ~。」


納めてんのは親だから私はまだだけどなっ!


「フフッ…まぁ…そうだな。」


私達はあちこちと食べ歩き…ランスはこっそり酒を飲み……



___夕方___



花火を見に沢山の人が丘の上に集まり始めている。


「楽しみだね。」


「あぁ、今回は結構苦労したからな。」


「あ、もうすぐ上がるんじゃないかな?」


丁度3人が座れそうな場所を確保出来たので座って改めてあちこち見ると……おぉ…カップルだらけ。

オホッ♡あそこのカップルイイ感じぃっ!


「お前………やっぱり俺に告白された自覚…ねぇよな……」


「…え?ゴメン……何?」


「…ハァ……いや…いい…」


「フッ…もう少し頑張んなきゃねぇ。」


何か隣でゴチャゴチャ話されてる気もするが……ゴメン…今はあっちのカップルに集中したいんだよねっ!


「あ、そろそろ上がりそうだよ?」



___ド――――――ンッ‼︎___



___ワァァァァ!___



暗闇に大輪の華が咲く。

本物の煌めく星には負けるけどキラキラと光り、宝石の様に辺りに散っていく。


「ウワァ………凄いね………ッッ…」



___ウッヒャァァァァアアアッ!!!___



た~~~まやぁぁあああっっ!

さっき愛でてた向こうのカップルがキスしてるぅぅぅ!

いやぁぁぁん!神様っ!ありがとうございますぅぅぅ‼︎

心のスクショに撮って、当面これでご飯食えそう!


「………チェル…レイチェル?」


「……ハッ!何っ⁉︎」


「ゴメン…流石にウィルが可哀想になってきたから…上に集中してくれるかな?」


ランスが苦笑いで上を指差す。

横を見るとウィルがしょげていた。


「あっ、ゴメンゴメン!見てた見てたっ!いやぁ…凄いね。大輪の花みたいでっ!」


いやぁ…凄かった♡

向こうのカップルがキスしちゃう程だもん!



___ド――――――ンッ___



花火は次々と上がっていく。

大小様々で……あれ……この色珍しいな……


「…今の色…レイチェルの髪の色?」


「……分かったか?」


「うん。あ……今上がったのは…レイチェルの瞳の色だね。」


今上がったのも途中で色が変わるんだ。


赤や黄色で彩られた花火はここでも見た事はある。

こちらの世界に花火はあまりないので大体はこの色だ。

でも、ラベンダーの色や紫に黄色が所々と散りばめられてるのは初めて見たかも。



………ん?さっき何て言った?………

私の……色……?



バッと、横を見るとウィルが満足そうに言った。


「頑張った甲斐があったな………この瞳の色は結構難しかったんだぞ?」


「え?じゃぁ…色々花火でやってたのって…」


「…まぁ……そんな所だ。俺………俺は…お前の事本当に」


___ド――――――ンッ___


「えっ?何てっっ?」


今、何か重要な事言ってた顔だよね?


「……………いぃ…………」


「………そうだね……また…今度かな。」


「え⁉︎ランス、聞こえてたの?」


「いや…何となくね。でも、今は…止めてあげなね…」


そう言うと、ランスがウィルの肩を優しく置いた。

花火は大盛況で終わり、祭りも無事に終了した。



___祭り翌日___




「はぁぁ………祭りが終わると何~か寂しさが残るよね~」


今日は久々パン屋の手伝いのみ。

朝にお客さん(主に女の子)の相手をし、何故かウィルがやってきたのでお店の裏で遅めのお昼を食べている。


「まぁな………あっ、でもこんな時だからこそ相手が必要なんじゃないのか?」


「いや…ないかなぁ…」


「じゃあ、こんな時に寄り添って一緒にお茶を……とかさっ!」


「いやぁ~…ないかなぁ…」


「なら、何なら良いんだ馬鹿野郎っっ‼︎」


「何なんだ急にっ!喧嘩なら買うぞコラァッ‼︎」


「フフフッ……面白い事になってるねぇ。」


「「ランス!」」


「ディナー用のパンを取りに来たらウィルもいるって聞いたから来たけど……ウィル、後で反省会ね。」


「………分かった…」


ウィルがガックリしながら頷いた。

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