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「とにかく!俺はランスが好きとかじゃね~から!俺が好きなのは……いや……今度…言う………」


「うん、そうだね。今は部屋に入ろうか?」


ん?今の間は何だ?

ま、良いか。


「今度聞かせてくれるんだ♪楽しみにしてる!」


「……あぁっ!たたた楽しみにしとけよなっ‼︎」


ウィルが好きな人はランスじゃないのかぁ……誰だ誰だぁ…♪

楽しみすぎて妄想止まんなくなるわっ。


「そうそう、今レイチェルと話してたんだけど…」


ウィルに祭りの時に出す出店の話をした。


「あぁ、それなら好都合だ。俺も午後からこっちに来る予定だったし。下手をしたら1日目は無理かも。」


「花火、2日目に上がるって母さん達に聞いたよ。」


「そうなんだが…まだ花火の色を試行錯誤中でな。あと少しなんだが…」


花火の色……確か転生前の知識では化学反応で色を出した様な気がするけど……ここではどうなんだろ?


「魔法省が取り仕切ってるんだっけ?」


「へぇ、魔法で飛ばすの?」


「魔法玉を作って中に光の魔法を込めるんだよ。ただ今までがハッキリした色ばかりだから…今年はちょっと志向を代えたいんだけどなぁ…」


あ、前に先生が水晶玉みたいなのに温かくなる魔法を込めた…みたいなヤツか。


「空に飛ばして弾かせるんだ。魔法球自体は光となって消えるし、光の魔法も弾けたら消えるから問題は無いんだけど……」


「あぁ…光の色を自在に操れる魔法使いがいないのか。」


「そんな感じだ。」


ふ~ん…

先生は軽くしていた感じだったけど…結構難しいんだね。


「そう言えば魔法省から聞いたぞ。ランスなら出来るんじゃないか?」


「俺?……俺は学園を退学した身だよ?出来るわけないじゃん。」


「そうなのか?…そうか…いや…変な事を言って申し訳なかった。」


「良いよ、気にしてないし。でも、それなら魔法省の長とかに頼んだら良いんじゃないの?俺の記憶じゃ長は結構話しやすかったよ?」


「確かにそうだな。この話をしていたのは今回の祭りの担当の者だったし。帰ったら長にも聞いてみるよ。ありがとう、ランス。」


2人でウフフ…と、笑い合う姿……

これ…これだよ……はぁ…画になるねぇ……


「…レイ…やっぱり俺の事誤解してるだろ…?」


「……ん?何が?」


「お前、『無自覚』とか『罪作り』とか言われた事ないか?」


「え?ないよ。それはランスなんじゃない?」


「え⁉︎俺??違うでしょ?」


「え~、私よく聞くよ~。」


幼馴染のジェレミーとかクリスとか……アンドリューとか……あ、みんな男だ☆


「………俺も…聞くけどねぇ……」


「え?何か言った?」


ランスが何か言った気がするけどボソッとした声で聞こえなかった。


「うぅん、俺は違うもんって言ったんだよ。」


ウィルがランスの服の裾を掴んで言った。


「ランス…今の…今度聞かせて……」


何をっ⁉︎

いやぁぁぁ!ウィルの上目遣いぃ!

どこがランスは好きじゃないだぁ!

喧嘩売ってんのかぁっ‼︎


「あぁ…()()()()の事…ね。また今度ね。」


……と、ランスがウィルに微笑んだ。

はぁぁぁん。

これだよ…これ……ほのぼの日常BL……尊い……


珍しくサシャが来る前にウィルが城に戻ったので、私も家に帰る事にした。


___カランカラン___


「ただいま~。」


もうすぐ閉店だから店の後片付けを手伝おうと店の入口から入ったら母とお客がまだ1人残っていた。


「あ、レイ。お帰りなさい。」


「お帰り、レイ♪今日は食堂のお手伝いだったのよね?」


「うん。こんな時間に女の子が…大丈夫?」


「大丈夫よ!だってお祭りも近いし日も高くなっているから人も多いもの。」


「気を付けて帰って……あ、それとも私が送ろうか?」


日の高いとはいえ夕方の女の子の帰り道…いくら治安の良いこの街でもなぁ…


「……じゃぁ…甘えようかな。」


「良いよ、送ってくよ!」


「それが良いわね。気を付けて帰ってね。」


私はドアを開けて女の子を誘導し、女の子の家まで送っていった。

女の子の家はウチのパン屋から徒歩15分程…と言った所か。


「ありゃ……暗くなっちゃったかぁ……」


女の子の家で少し話したつもりが結構話し込んでしまった。

いやぁ……街灯とかほぼないから星が綺麗だねぇ……


「ファイア。」


ポゥ……と、手の平に小さな火が灯る。

ランスに比べて魔力が少ない私には生活魔法がせいぜいだ。

ま、懐中電灯くらいにはなるかなぁ…

てくてく歩いていると向こうから走ってくる怪しい人影が現れた。


___モンスター⁉︎___


いや、この街にはここ100年出ていないと聞くし……まさか……野盗⁉︎

フフッ…幽霊の類は苦手だけど…野盗ならゴリラガールな私にはエセ武術でも十分……さぁっ……来いやぁぁぁ!


「………あれ…ランス?」


「ハァ……ハァ……レイチェル………何っ……その格好……」


いや…武術の構えってこうじゃね?的な構えだったんだけどさ。

ウルト○マンとかの構えみたいになってたのは……認める……


「…ハァ…女の子が1人……こんな時間に出歩くなよっ……ハァ。」


「え~、だって女の子送ってただけだし。私みたいなの襲う方がどうかしてるよ。」

「そんな事はないっ!」


おぅ、食いつくな。


「ランスみたいなヤツならともかく、私みたいなのに襲う気も起きないよ。」


「そんな事ないってばっ!」


グッと、手を掴まれた。


「俺が心配なのっ!ほらっ、帰るよ!」


ランスが手の平に魔法玉を出してその中に炎を灯す。

そうする事で数倍の光が辺りに照らされる。

呪文を言わないでも出来るランス。

やっぱり魔力は凄いんだろうなぁ。

そういや…こうやってランスと手を繋ぐのって何年振りだろう?

結構抱きついたりとかはされてるけど…フフッ、ランスの手…大きくなったなぁ。

すっかり大人の手だ。

私達は空の星を見ながら手を繋いで歩いて帰っていった。

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