ドンの過去
優舞は、ドンの身体に埋めながら、ドンと初めて会った時のことを思い出すーーーーー
優舞が、まだ結婚する前の事、初めて牧場に来て何日か経ったとき、ドンは、他の牛と違い、優舞に寄り添っていた。
牛は、人見知りが、激しくて、優舞には、近づかなかったが、ドンだけは、優舞のそばにいた。
初めて、乳を吹いた日、ドンは、脚も上げず、ずっと終わるで優舞をチラチラと見ていた。
「あなた、変な牛だね。
ドンって構えてて、牛乳もこんなに出て、稼ぎ頭だね。
そうだ!
ドンって構えてて、稼ぎ頭だから『ドン』
あなたの名前は、ドンだよ。ドンちゃんこれから、よろしくね。
ドンちゃん」
首を傾げるドンは、ただただ優舞を見つめる。
それから結婚し、二年の月日が、たった。
ドンの最後の出産は、大変だった。
数日前から起き上がることが、できなくなったドンは、D型ハウスへ連れて行かれ、ドンの世話を他の仕事をしながら、見守る優舞ーーーー
やっとの思いで、ドンが出産するとメスーーーー
メスは、牧場に残り、将来親牛になっていく。
それに、対し優舞が喜ぶが、その反面、ドンの体調が、気がかりだった。
トラクターで、釣り上げても、何をしても起き上がることが、できなくなり、薬を飲む事に失敗した、ドンは、誤嚥性肺炎を起こした。
しまいには、首も起きれなくなり、草のロールで枕を作ってあげて、水や草を食べれる様にする。
「ドンちゃん、きっと大丈夫だよ。
元気になるから、大丈夫だよ。
今日の分の配合だよ」
手のひら分の配合を、優舞は、ドンの口に入れる。
むしゃむしゃと弱々しく食べる。
「今度は、夕方だよ。待っててね」
夕方ーーーー
「ドンちゃん、来たよ。夕方の分だよ・・・・
ドンちゃん・・・?
ドンちゃん!!!!」
口もとに手を持っていく優舞ーーーー
ドンが、身動きもせず、ただ瞳孔が開いていた。
ーー死んだ目だーーー
心の中で、呟いていると、優舞の旦那が、D型ハウスに入ってくる。
「ドンちゃんが、ドンちゃんが!?
生きてるよね?息してるよね?ねぇ!」
泣きながら、ドンに抱きつき、落ち着くまで、側を離れなかったーーーーー
ドンちゃんが、亡くなる数日前の写真です。
亡くなったあと、気が動転してたのか、写真を一切撮っていなくて、気づいたら遺体も運ばれていった後でした。




