オーラスタム伯爵へ献上?いえこっちは貸し出しです
朝起きると、ベットの上で寝ていた優舞は、飛び跳ねるようにベットから飛び降りた。
「ユウさん?おはよーございます。大丈夫ですか?」
「えっ?なんでベットにいるの?」
「あぁ、ここのご主人さんに運んでもらいました」
「でも、だって…カードも出してないのに…どうなってるの?」
「昨日、ドンさんと一緒に帰ってきましたよそれで…」
昨日の話を聞いた優舞は、従魔小屋に急いで行き、ドンに抱きついた。
「ドンちゃんごめんね、あの後の事、全部任しちゃって」
「よいのですよ、主、ドンさんは、主を疲れさせるまで、連れ歩いたんですから、謝る必要はありませんよ」
「そうだよ、ママ僕はママに絞ってもらいたかったんだから!ママは謝らなくていいの!」
「カド…パンちゃん…」
「主殿、謝らないでほしいのじゃ…妾のせいなのじゃから」
「ううん、私が、カラーシープ見たいとおもったから、好奇心で行ったから、ドンちゃんに甘えてた。ごめんねドンちゃん後で、みんなのところへ、謝りに行くね」
3頭の搾乳が終わると、ドンを連れてまずは、孤児院へと向かった。
シスターに鍋を渡しながら、昨日の謝罪をして、お酒をシスターに預けた。
「大丈夫ですよ。オーナーのおかげで今日から北の門通行可能になったそうですよ。これもちゃんと預かっておきます。もう時期ガンゴさんも来ますし、また会ったら挨拶でもしてください」
「うん。じゃあまた、お昼の分と夜の分置いて行くよ、料理担当の子に預けておいて冷めたらこのコンロで温めて、今日来れるか、わからないし」
「はい、ありがとうございます。いってらっしゃいませ」
ドンのロープを持つと、次は、オーラスタム伯爵家に、牛乳とレシピを届け、またリアに会ってはいけないと思い足早屋敷を後にした。
その後、ギルドの配達を終えると、冒険者ギルドのカウンターへやってきた。
「すみません、昨日は…」
「大丈夫ですよ。昨日、あなたの従魔から全て聞きましたから、とりあえず、他の依頼合わせて報酬も出さないといけませんので、まず、昨日の依頼、コミングの方をお願いします」
さっとアイテムボックスからコミング出して、次にアリアとストローなどを出して行く。
「コミングが、依頼では20本でしたが、40本、アリアが40本、ストローも40本、セージ草30本、コリアン草25本、シービ草20本で終わりですね?
では、コミング、依頼分は銀貨1枚、残り20本は銅貨7枚、アリアが、40本で銀貨1枚、ストローが、40本で銀貨5枚、セージは30本で銅貨2枚、コリアンは25本で銅貨2枚、これで銀貨8枚と銅貨1枚です。次は、カラーシープの羊毛お願いします」
「うーんっと逆にどれくらい出したらいいですか?」
「えーっとどれくらいと言いますと?」
あたりをチラチラと見て、受付嬢の耳元で囁く。
「ざっと100頭分の羊毛ですけど」
「うえぇぇー!!」
大きな声をあげた受付嬢は、すぐさま口を手で塞ぎ、周りをキョロキョロと見渡す。
朝もあってか、結構な人数が、受付嬢を見ていた。
その声が、聞こえたのか、ギルマスが急いでカウンターへやってきた。
「どうした?えっ?おい、リナ!何があった?お前が声上げるなんて」
「………うですって…100頭ですって無理ですよ」
「100頭…?あー昨日あれか…、引き続きは、こっちでやるからお前は通常業務に戻れ」
「あっ…はい…ではユウさん銀貨8と銅貨1枚を先にお渡ししますね」
お金を受け取ると、ギルマスへ奥の会議室へ案内された。
ギルマスは、テーブルの真ん中にある魔道具のスイッチを入れると、椅子に座るように促した。
「んで、100頭分って1頭あたりどれくらいなんだ?」
「うーん(ドンをちらりと見て)ドンちゃんの体積の5つ分くらいかな?もうちょい多いかも」
「はぁ〜マジかよ…国庫でも全部は、払えねぇーよ…とりあえず、2頭…3頭分が限界かな?それ以上出したらギルドが、破綻してしまう。お前、オーラスタム伯爵と知り合いじゃないのか?」
「あー毎日通うくらいには、知り合いかな?」
「いや、それもう知り合いじゃねーだろ、友達かなんかかよ、とりあえず、伯爵様に少し献上してみたらどうだ?王様の分と一緒にな、とりあえず、ここに3頭分出してくれ」
「色はどうします?赤、青、紫、オレンジ、黄色、緑、水色にピンク、後は、黒と白、この10種類かな」
「…………黒と白1頭分ずつで、赤と青を半頭ずつくれ」
出された羊毛をギルマスは、自分のアイテムバックに詰めていく。
「明日には清算しとくから、また明日来てくれ」
頭を抱えながら、魔道具のスイッチを明日と手をひらひらとさせ部屋から出ていくように促された。
優舞は、カウンターにいる受付嬢に声をかけて、ギルドを後にした。
その足で、オーラスタム伯爵の屋敷に向かい、ドンを門番に預けて、中の応接間に案内してもらった。
「…して今日はどうした?配達は、朝に終わらせてあるだろ?また、ミアが呼んだなら私に用が無いのでは?」
「いえ、伯爵でいいんですけど…………何色がいいですかね?とりあえず、10色あるんですけど…なんかギルマスは、伯爵に王様の分まで預けておけって……やっぱり夫人の方がいいですかね?」
「…色……?王様……?なんのことだ?私にわかるように説明してくれ」
「わかりました…実はですね…」
昨日起きたことを、伯爵に話すといつのまにかやってきた、ミアが、優舞の真後ろに立ってゆっくりと優舞の肩に手を置いた。
びっくりした優舞は、慌てて後ろを振り向くと、ミアの顔があり、じーっと優舞を見ていた。
「あの…夫人?あのこれは不倫とかそんなんじゃなくて、献上したくてきたので、相引きとかと違うんです!!」
恐ろしい顔をしていたので、優舞は、思わず弁解をして許しを求めるように言い訳を並べた。
「……私は、青がいいわ、そしてリアには水色でお願い」
「相引きとか…えっ?あっはい……どうぞ!」
急いでアイテムボックスから2頭分の羊毛を出すと、応接間は、羊毛で半分以上埋め尽くされてしまった。
「爺や!羊毛を頼む……」
「王家には、黒と白がいいと思うわ、後、赤も…サーシャ…王妃は赤が好みなのそれでお願いね。私は忙しいから、あなた、後はよろしくね」
嵐の前の静けさの様に現れて、嵐のように去っていった夫人が、見えなくなるまで目で追っていく。
「こっほん!すまいな黒と白、赤もここに出して爺やに渡してくれ……カラーシープのことは、領主として礼をさせてくれ爺や、あれを」
爺やと呼ばれた老執事は、アイテムバックから白色の巾着袋を取り出し伯爵へと渡す。
「これはカラーシープを群れまで連れて行ってくれた謝礼金だ、受け取ってくれ」
「そんな!ギルドから出ますし、二重には…」
「よいのだ。ミアがあんなんだし、受け取って貰いたい」
「わかりました…」
お金を受け取った優舞は、アイテムボックスに入れて、代わりにカラーシープの黒の羊毛1頭を出した。
「これは、伯爵様用にお使いください。せっかく献上しにきたのに、お金をいただいてしまったので」
「よいのか…?ありがとう、ありがたくいただくよ」
その後、領主館を出ると、サイルのいる屋台通りに向かった。
「サイルどう?」
「もう時期売り切れるよ、チーズももうすぐマーサお姉ちゃんがきて、絞ってくれたら、また増えるけど、いつもこんな感じだよ」
「そう…あら?ポケットの中も景気がいいのね(笑)」
「あっ…これは、そのごめんなさい…」
「別にいいよ…もらったチップは全部、サイルのものよ…でもクッキーくれるなんて気前のいい客がいるのね、砂糖高いのに」
「なんかね、商人さんの奥さんだから砂糖いっぱい持ってるんだってそれでここ最近くれるようになったの美味しんだよ、サクサクで柔らかいの」
サイルの頭を撫でると、向こうから、マーサとパンダとコパンが、屋台通りに入ってきた。
マーサが着くと、乳搾りを初め、終わるとマーサはチーズをサイルに渡して、宿へ戻って行った。
次の日、オーラスタム領主館には、サイルとコパンがやってきて、優舞の様に、勝手口へ案内され、ピッチャーを置いて出てくると、小さな女の子が、コパンの周りをクルクルと回っている。
「あれ?君誰?」
「私?私は、リアだよリアーナリス・フォン・オーラスタムよ。リアと呼んで」
「リアちゃん?」
「そうよねぇこの子は?小さいのね、この子がいいわ」
「ボクはコパンだよ。リアちゃんよろしくね」
首を可愛く傾げるコパンを見てリアは思わず、コパンを抱きしめる。
「かわいー!コパンあなた暖かいのねずっとそばにいたい……」
「リアちゃんごめんもう行かないと、仕事の時間なんだじゃあね」
急いでコパンを連れて屋台通りに来ると、パンダが、いつもの場所でのんびりと目を閉じて寝ていた。
すぐに屋台を出して、開店準備を始める。
数日後の夜、優舞は、サイルとマーサに後、1週間程でこの街を出て王都に向かう事を告げた。
「そっか、もう1ヶ月以上いたんだね僕はいいよ。王都楽しみ」
「私もそれでいいですよ。でも孤児院は大丈夫なんですか?」
「うん後、2日程で建て終わるし、それを見届けてからね」
「わかりました。近くなったら準備しておきます。屋台はいつまでするんですか?」
「うーん、ギリギリまだやってもいいんだけど、準備は、ほとんどないし…とりあえず、後4日してやめようか」
そして、次の日サイルはコパンを連れてオーラスタム邸へ、優舞は、ギルドと教会に向い、後1週間程で王都に向かうこと、伝えてきた。
屋台通りで、マーサと優舞がサイルを待っていると、サイルは1人で屋台通りにやってきた。
「…?サイル?コパンちゃんは?どこに置いてきたの!?」
「えっーと…うーっんと…」
モジモジして何も言いたくないのか、言葉を濁して、困ったように笑う。
「サイル!?コパンちゃんは、ユウさんの所有物なんだよ!無くしたじゃ済まされないのよ!どこに置いてきたの!?さっさと連れてきなさい!」
サイルが、マーサに怒られてる後ろで、優舞は、サイルをじーっと見て、パンダに話しかける。
「パンちゃん、悪いんだけど」
「いいよ、ママの思うようにして」
「ありがとうパンちゃんちょっと行ってくるね」
「どうして、どこに置いて…ユウさん!?」
立ち去ろうとする優舞を呼び止めるマーサ。
「ちょっと行くところあるから、2人で店やっててコパンのことは気にしなくていいよ」
と言って足早に去っていく。
「ユウさん!?ユウさん………なんで3頭とも置いて行ってるの?ユウさん……」
優舞が、向かった先は、オーラスタムの邸…応接間にやってきた。
紅茶を飲みながら、優雅に伯爵が、くるのを待った。
汗をかきながら急いでやってきたオーラスタム伯爵は、ハンカチで汗を拭いて、ソファーに座った。
「今日は、どうしたのだ?また何かあったのか?カラーシープなら」
「いえそれではなくて、とりあえず、出していきますね」
はじめに粉ミルクを2袋と配合を粉ミルクが入っていた袋にいれた物を2袋と乾草を束で2束出してから説明を始めた。
「まず、これは粉ミルクです。お湯1リットルに対して500g程、初めは2リットルくらいからあげてください。
こっちは同じ袋だけど、中に配合が、入ってますから、初めは一握りからだんだんと増やしていってください。それら入れるバケツも置いていきますね。後乾草は」
優舞の話を遮るように伯爵が、叫ぶ。
「なっなんだねこれは、さっきからよくわからない物を出して、なんの説明だね?」
優舞は、ゆっくりと首を傾げ、伯爵が何故叫ぶのかが、わからなかった。
「こんなものをもらっても使い道がわからんではないか」
「ん?あれ?知らないんですか?」
と言うと、応接間の扉が、勢いよく開き、ミアと泣き腫らしたリアが立っていた。
「リア!お父様とユウさんに謝りなさい。そしてお返ししなさい!」
「どっどうしたのだ?リアも泣いて…なにがあったのだ?みんな、私にわかるように説明してくれ!」
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「…なるほどそういうことか…リア、よく聞きなさい。動物を飼うのいいが、ちゃんと世話が出来るのか?中途半端に世話をするだけではダメなんだぞ?生半可な気持ちじゃ動物は育たない。お前だってもう時期お姉ちゃんになるんだ。よく考えなさい」
「お父様…私ちゃんとコパンちゃんを世話をするわ!だから私にコパンちゃんをください!」
ペコリと頭を優舞に下げて、涙を目に溜める。
優舞は、飲んでいた紅茶をテーブルに置いてリアを見る。
「悪いけどあげることはできない」
「えっ!?お前さっき育成キット渡してきただろ!?」
「あげることは、出来ないけど、預ける事はできるよ。青の稲妻にも1頭貸し出してるから、大人になるまでだけど、それでいいなら貸し出すけど」
「まったく、紛らわしいこと言いやがって…リアそれでいいか?」
「うん!私責任持って私が、育てる!」
優舞は、にっこり笑いリアの頭を撫でた。
「…大人になって返したら乳飲めないじゃない」
ぽそりと呟いたミアの言葉に、戸惑いながらも優舞が、口を開いた。
「実は、搾乳機が、一台しかなくて、こればかりは、譲れないんです。複製や或いは作れるところを探せば、コパンを半永久的に貸し出すと言うか、譲渡できるんですけど、それができなくて、ごめんなさい」
「これ!ミア…全くすまないな、とりあえず預けてくれるだけで構わない」
「では、1週間程、連れて帰りますね」
「えっ?今すぐはダメなの!?」
「うんごめんね、まだあの子に乳を飲ませてるから、粉ミルクに変わるまで後1週間なの、それとあの子は土魔法が使えるからそれも教えないと、後、伯爵に伝えたいことが」
「なんだ?」
「もし何か、危険なことや危ない事が、起きたらまず、コパンの半径5メートル以内にいてください。あの子達の周りには、常に結界が張られています。それは、普段は、何も感じませんが、悪意や危険だと察知したら無条件でそれを弾きます。後は、伯爵と夫人だけにコパンの魔法を使うことを指示できるよう言っておきます。それでよろしいですか?」
「あぁ構わない…私たちは後2週間後に王都に向かう予定だ。お前達は、どうするのだ?」
「私たちは、コパンを預け次第、王都へ向かいます。約1週間後くらいですね。じゃあコパンを、連れて帰ります」
優舞が、立ち上がるとリアが近づいてきて優舞の作業着をぎゅっと握りしめて優舞を見上げる。
「ありがとうございます…1週間後お待ちしております」
その目には涙が、溢れていて、頬を流れていった。




