番外編 オーラスタム夫人のその後
優舞が帰ったあと、サラサにレシピのクッキーを作る様に指示をして、食堂へ向かった。
そこには、オーラスタム伯爵と5歳の娘が、着席していた。
「今日は、遅かったな、爺や運んでくれ」
爺やと呼ばれて白髪の老人は、手を挙げると、他の使用人達が、料理を運んでくる。
「ミア、今日はいつもよりキレイに見えるが、何か新しいものでも買ったのかい?」
「えぇ髪につける薬液を少々…あと色々と」
「そうか、髪がとてもキレイだ。リアにも必要だろ?もう少し買い付けなさい」
「そうね、孤児院の方へ連絡しておくわ」
「孤児院?最近建て替えたあの教会か?」
「えぇあそこの、新しいオーナーが、作ってくれたものよ。
サラサあれもできてるかしら?」
「焼き上げてるみたいなので食事が終わる頃には、おもちできます」
「まだ、なにかあるのかい?」
「えぇお楽しみに」
にっこりと笑い、夕食のステーキを切り、口の中に入れる。
ーもしかして、食事も作れるのかしら?ステーキばかりも飽きるのよね、この薄いスープも飽き飽きだわ、でも旦那も我慢して食べているのだから私も我慢しないと……いやでも他も食べたいー
気づくとフォークとナイフが止まっていて、宙を見ていていた。
「…?ミアどうした?」
「あっ…いえ考え事を……あなた、またその者を屋敷へ連れてきていいかしら?」
「構わないが、どうした?」
「お菓子も色々知っているみたいなので、料理の方も知っているのではと思い、ステーキばかりでは、最近飽きてしまって」
「そうだな、明日にでも呼びなさい。私も色々食べてみたいからな」
食事が終わると、使用人達が、空になった皿を引き上げて、代わりに、出来立てのクッキーを3人の前に並べる。
夫人は、躊躇なく手を伸ばして、クッキーを頬張る。
「クッキーか…パサパサしてあまり好きではないが……!?なんだこれは、味もいい、今度陛下にも献上しなくては」
「そうね、来月王都で開くパーティで出してもいいかもしれませんね。あのケーキも出せるかしら…バターもたくさん貰って置かないと」
「明日、必ず呼びなさい。いいな、他の物も必要なら買う予定だから、爺やお金をたくさん用意しといてくれ」
「承知いたしました」
次の日、孤児院から出た優舞を使用人を乗せた馬車が近づいて行き、事情を話、また伯爵邸に連行されることとなった。
「えっ?料理ですか?別に構いませんけど、何か希望とかありますか。煮物とか揚げ物とか」
「作れる物全て作ってちょうだい」
「わかりました」
厨房に連れて行かれた優舞は、ある程度作り、シェフ達が見ていない時に、生成魔法で何品か作り、とりあえずアイテムボックス中へと入れていった。
昼になり、昼食の時間になったので、食堂へ向かうと、すでに3人が椅子に鎮座していた。
「では、一品ずつ出していきますね、まず初めに、ハンバーグからどうぞ」
3人の前にハンバーグを並べると、フォークとナイフもって食べ始める。
「なにこれおいしいーお母様これジューシーでいつもの肉と違う」
「そうね美味しいわね」
「この様なステーキは初めてだ。また食べたい。レシピをシェフに教えてくれぬか?」
「構いませんよ、後で用意しときますね。では次唐揚げを出しますね」
唐揚げや豚カツやポテトサラダなど、沢山出していくとリアはお腹いっぱいになって眠たくなったのか、目を擦りはじめた。
大人2人は、まだ入るのか、出てくる料理を少し食べて使用人に下げさせていた。
最後に、デザートと5品程出して昼食は幕を閉じた。
「とても美味しいわありがとう」
「君をシェフとして雇いたいのだが、ダメか?」
「すみません。一応旅をしているので、あと1、2週間すればこの街も出て王都へ向かうつもりですので」
「そうか、孤児院はどうするんだ?」
「一応、オーナーですが、お金を出すだけのオーナーなので、後はシスターがしてくれるので」
「そうか…その孤児院はお主がいない間、オーラスタム家で責任を持って見ることにするから、今日作ったやつ全部、レシピをシェフに渡してくれないか?」
「えっ?そんなんで後ろ盾になってくれるんですか?」
「当たり前だろ、お主が作った料理は全て初めてで、どれも美味かった。これから、ステーキや味の薄いスープより断然お主が作ったものの方がいい。ましてまだ誰も知らないレシピなのだから」
そういうことならといい、別室に案内された優舞は、今日作った料理のレシピを書き、作らなかった料理のレシピも大量にかいた。
それが終わると、シャンプーやリンスなどのソープ類を作り、夕方になる頃に解放されて孤児院へと足を向けた。
優舞が帰ったあと、夕食は、優舞の書いたレシピからシェフが比較的簡単なレシピを選びつくった。
「うん美味しいが少しかの者が作ったよりは劣るな、まぁ精進せい
ミア、あとは何を買ったのだ?」
「リア用の薬液とバターも買いましたし、ミルクも料理用の分、あと調味料などを買いましたわ。あとは、お酒を少々、初めて聞くお酒ばかりでしたが、どれも美味しかったですわ。あっ爺やなんでもいいから1つ持ってきてくれるかしら」
「承知いたしました」
爺やは、足早に食堂を出ると、貯蔵庫に向かい、ウイスキーを一本手に取ると急足で食堂へ戻った。
「こちらで宜しかったでしょうか?」
「えぇ構わないわ…あなたこれを度数はキツイですが、お味の方は美味しく、料理にも合いますわよ」
グラスに入れられたウイスキーを持ち上げ、色味を見たり、匂いを嗅いでクルクルと液体を回し、口をつけた。
「!?なんと、これは素晴らしい、これもぜひ、陛下に献上したいな、そういえば、王都に行くと言っていたな、来月の王都邸で開くパーティでこれを出したい。他の酒も試して、出したいな。爺や、あの者に手紙を出しておいてくれ、王都に行ったら我が王都邸を訪ねよと」
「承知いたしました、王都邸にも連絡しておきますね」
深々と頭を下げると、食堂を出ていく爺や。
ウイスキーを片手に、
「ミア、今夜も行ってもいいか?」
「あら、昨日も来たのに…?構いませんわ」




