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異世界で牛飼い生活の旅  作者: リベロ
24/33

オーラスタム伯爵家へ拉致

とある日、優舞は、カドから出してもらった水を生成しシャンプー、リンス、コンディショナー、それからボーディソープを作っていった。


「作ったのはいいけど、水じゃあな〜…せめてお湯が出せる子来ないかなぁ〜」

「主、温度さえ言ってくだされば、お湯も出せますが?」


と言い、カドは、ウォーターボールを宙に漂わせる。

ウォーターボールからは、少し湯気がたっている。


「なんだ早く言ってよ!あとは、浴槽だね」

「聞かれなかったので…すみません」

「いいよじゃあ買い物行こ

パンちゃん、ちゃんと休んでてねコパンと一緒に」


コパンと名付けられたパンダの子は、ゆっくり優舞を見上げてこくりと頷くと、身体を丸めて目を閉じた。

「ママー行ってらっしゃい」


パンダに手を振って、宿屋を後にして、商店街へと向かった。

商店街に行く途中に屋台通りを見ると、ドンとサイルが見えた。後ろにマーサが、チーズを作っているのも見える。

それをみた後、商店街でめぼしい物をみて回る。


「どうしよ?浴槽ってどこに売ってるの?もしかしてお風呂の文化ないのかな?」

「主、もう少し探してみましょうか?私は、ついていきますよ」


数時間歩いていると、ラズとコカドが、向こうから歩いて来るのが見えた。


「あっユウさんこんにちは、こんなところでどうしたんですか?」

「ラズさん…実は探している物があって…こっちってお風呂の文化って…」

「あるよ?」

「じゃあ浴槽ってどこで買えます?」

「えっと確か…着いてきて」


ラズに腕を引っ張られながら数分歩くと大きな家の前で止まった。


「ここは?」

「ここ、貴族とかお金持ち御用達なの。だから一般は、入れないんだ。でも!私が、いるから大丈夫!」


と言い、ドアをノックする。


「…何ようか?」

ドアは、開かなかったが、中から声が聞こえた。


「入浴です」


そう、ラズが、答えるとドアが、開き中からガタイのいい男が顔を覗かせた。

「どうぞ中へ」


カドとコカドには、外で待ってもらい、大きな家の中に入っていく。

中に入ると、所狭しに浴槽やタライや入浴セットが置かれていた。

奥から中年の紳士がやってくると、「何をお求めですか?」と問いかけられた。


「浴槽が欲しくて…肩まで浸かれて、足を伸ばせるやつを」

「ふむ…では、奥の方へ……こちらから貴族御用達で少々値段は張りますが、お客様のご要望に添えると思いますが」


丸い浴槽で、近くで見るとキラキラと光っている。

幅も広いので肩まで余裕で浸かれる品となっていた。

「このキラキラってなんですか?」

「こちらは、細かく砕いた魔石で、保温効果があります」

ーどうせ、買えないのに何を聞いて…まぁ客だから仕方ないかー


「そうですか、じゃああの色でお願いします。おいくらですか?」

オレンジに輝くバスタブを指さして、紳士の方へ振り向く。


「へ?あっすみませんあちらは、金貨230枚となっています」


アイテムボックスから巾着袋を取り出し、中に金貨を入れていく。

入れ終わると、巾着袋を紳士に渡し、紳士が受け取ると、テーブルがある場所へ移動して1枚1枚確かめていく。




お金を確認している間、他の商品を見て回っていると、別の客が、ガタイのいい男と一緒に奥までやってきた。

それに気づいた、紳士は、すぐにこちらにやってきた。


「これこれは、伯爵夫人ごきげんよう、今日は、何をお求めですか?」

「ごきげんよう、こちらのお客様が、まだ、終わっていませんよね?先に終わらせてからで結構」

「ありがとうございます伯爵夫人…

確かに、230枚ありました。どちらにお運びすればよろしいですか?」

「自分で持ってかえるから大丈夫です」

と言い、手を触れると、パッと消えてアイテムボックスの中に収納された。


「アイテムボックスですか…では、他の付属品はいかがですか?水掬いと体拭き、そして石鹸などがありますが」


「うーん水掬いと体拭き見せて……うーんこのタオル、ザ・布じゃんこれも桶とは言い難い…自分で作った方がいいかも……石鹸の泡立ちはどんな感じですか?」

「水につけて、手で擦ると少しの泡が手できてそれを体や髪の毛へ何度も泡立てて洗います」


「えっ!?石鹸で頭洗うの?シャンプーとかリンスは?やばっ、泡立ちも悪そうだからいらない…」


「さっさようですか…ではまたのご来店をお待ちしています」


外に出るとカドとコカドをの頭を撫でると2頭を連れて商店街の方へと歩いて行く。


「すごいねー即金で全額払うなんて、ローンも組めたのに、私たちは、ローンで買ったんだよ」

「そうなんだ、まぁあれくらい大したことないよ」

「流石、オーナーは違うね、毎日売り切れで私たちも買えない日もあるんだから、それに孤児院の事も聞いたわもう教会の方は、建て替え終わったんだよね?外観だけでもキレイだったから、今度中に入ってみようと思うの」

「そう…孤児院の方が建て替えが、終わったら見に行ってくださいね」

「うん!コカドちゃんと一緒に行く!

あっそうだ来週ね王都に行くの護衛依頼受けて護衛対象と一緒に…でもユウさん達も王都に行くだよね?そっちでまた会えたら嬉しいな」

「うんそうだね、コカドも迷惑かけない様にしっかりね」

「うん!大丈夫だよ!お母さんと主に心配かけない様に頑張る!」

ふんふんと鼻息を荒くしながら歩くコカドを見ながらため息を吐くと、頭を少しキツく撫で回す。


「いっといでコカド、大きくなるのよ、旅の途中で会うかもしれない。でも大人になるまでラズさん達と旅を続けて大きくなりなさい」

「はーい」


元気よく返事をするコカドを哀愁漂わせながら、見つめラズとコカドと商店街で別れた。



屋台通りに向かうと、マーサ達が売り終わり、片付けを始めている。

「マーサ、サイルお疲れ様」

「ユウさん!ミルクは完売、チーズも在庫ほとんどありませんあと2、3人で無くなるくらいです。今日できた分も出てしまってもう少し、売る分のミルクをチーズに回せませんか?」

「うーん…考えとくよ…もう一頭増えてくれたらなぁ〜」



屋台通りから出るとマーサ達とは、別れ孤児院へ向かう。

夕食を作り、最近やっと料理ができる子が3人程名乗りを上げてきたため、生成魔法を使わずに、料理をしていた。

3人には、商業ギルドから買ったアイテムカバンを渡して、その中に牛肉や野菜などの材料を入れ、持たせている。

最近は、後ろで見ていることも多く、手際よく3人は、料理をしていく。

初めは、簡単なモノしか作れなかったが、最近は、煮込みなどを練習をしていて今日は、肉じゃがを作っている。

茶色おかずに初めは難色をつけていたが、今では、どれも美味しそうに食べている。

煮込み終わると、手際よく、テーブルに並べて行く3人、すぐに、みんなが集まり、食べる時間になった。


それを見届けた、優舞は帰路へとつく。

帰り道を歩いていると、優舞の横にある1台の馬車が止まり馬車のドアが開いた瞬間優舞は中に引きずり込まれた。


「えっ!?なっ何?」

「失礼あなたに危害を加えるつもりは、ありませんわ。ただ頼みたいことというか、先刻あなたの言っていたモノに興味がありますの。私に譲っていただけませんか?あと使い方を、ですから、お屋敷にご招待したいのですがいいですね?」


圧のすごい伯爵夫人は、優舞ににじり寄り、口元に広げていた扇子を閉じる。


「はっはい大丈夫ですけど…まぁカドの結界が反応してないみたいなのであなたは、大丈夫だと思いますが、後ろにカドを縛って一緒に連れて行ってくれますか?そうすれば、ついていきますよ」

「…アーロンこの者の従魔を馬車の後ろに繋げて」

「御意」



アーロンと呼ばれた御者は、後手に周りカドの頭絡のロープを馬車の後ろに結びつけ、御者席へ戻って行く。

ゆっくり動き出した、馬車は、オーラスタム伯爵の屋敷へと向かっていく。



門を潜り抜けると、噴水と色とりどりの花が植えられていた。

「キレイ…」

「庭師が毎日お手入れしてくれてるの。それでいつまでもいい状態なのよ」

「そう…そういえば私は、何を渡したらいいんですか?」

「石鹸のことよ、シャンプーとかリンスーとか言ってなかった?それを試してみていいならいただきたいのよ。さぁ玄関着いたわ降りて」


馬車から降りると、大きな玄関が、あり執事やメイド達がこちらに頭を下げてお出迎えをしている。

「「奥様おかえりなさいませ」」

「えぇただいま、今すぐ湯殿を用意してくださる?」

「よろしいですが、1時間程かかりますが?」

「そんなにかかるの?どうしようかしら?あなた、1時間も待ってくださる?」

「えっと…カドを中に入れていただけるなら、すぐに用意できますが?」

「えぇいいわアーロン、従魔を連れてきてちょうだい」


アーロンに連れられて中に入ってきたカドの頭絡のロープを受け取り、奥へと進んでいく。

2階に奥の部屋にある、伯爵夫人の部屋に入ると隣の浴室へ案内される。

バスタブの中にカドが、お湯を張り巡らせる。

「まぁ便利な従魔ね早速入るから着水したら呼ぶのでお部屋で待っていてくださいね」


言われた通りカドと一緒に浴室を出ると、お茶が用意されていて、優舞は、ゆっくりとお茶を飲み干した。


数十分後、呼ばれた優舞は、またカドと浴室に入った。


バスタブに浸かってる伯爵夫人は、急がせる様に、早くする様に命じた。


優舞は、夫人の髪を濡らしてシャンプー液をたっぷり手に出して泡立てていく。それを夫人の髪につけ、髪を揉む様に洗う。

泡立ちが悪い為、カドに頼みお湯のウォーターボールを出してもらい、シャンプーを一度流した。そして、もう一度シャンプー液を手に出して、泡立てていく。


「どうですか?シャンプーだけスッキリしたでしょ?今から、艶を出すトリートメントをつけますね」


トリートメントもたっぷりつけて、長い髪を束ねて貝殻の様にくるくると巻き形を整えた。


「髪は数分置いてから流して終わりです。その間に、体を洗うので一度バスタブから出ていただいても?」

「えぇ」


そういうと、夫人は、バスタブから出て木の小さな腰掛けに座った。


今度は、ボディーソープを取り出すと、背中の隅々まで洗い、前はメイドに頼んだ。


身体を洗い流すと、またバスタブに戻り、そこでトリートメントをカドのウォーターボールで洗い流した。


「まぁこれで終わりですけど…顔も洗います?」

「えぇそうしてちょうだい」


カドに水を出してもらうとそこで生成魔法を誰かに見られない様に洗顔を作った。

それを顔に塗り、数分後に洗い流した。

「すごいわ、肌がつっぱってる感じがするわ。若返ったみたい」

「これで一通り終わりです。じゃあ部屋で待ってるので」


浴室を出ると、部屋のソファに座り、誰もいない事を確認し、カドの水で化粧水を作った。



着替えが、終わった夫人は、部屋に入ってきて、優舞の真正面にあるソファに座る。

優舞は、先ほど作った化粧水をテーブルに置き、

「寝る前と、お化粧の前、それから洗顔後につけてお使いください」

「これはどういう効果があるの?シャンプーやトリートメントだけで髪がいつも以上にに艶やかでキレイだしこれはどういう…」

「これをつけることで、肌荒れや乾燥を防ぐ効果があり、肌がきめ細かくなり、なめらかになります。10代の頃の肌も夢じゃありませんよ」

「まぁそんな効果が!?じゃあ毎日つけないとね。」


夫人は、化粧水を手に取ると蓋をあげて顔に塗り込む。

それが終わると、メイド達に何かを伝えて、下がらせた。

不思議に思っていると、一度出て行ったメイドが、お盆の上に純白の巾着袋を持って戻ってきた。


夫人は、巾着を取ると優舞の前へ差し出した。

「これは、今日のお礼とシャンプーとやらの薬液の代金です。まだ余剰分があるなら、それも予備に置いておきたいから、くださらない?その分上乗せするわ」


はぁと小さいため息をついた優舞は、使用人達を下がらせる様に伝えて、みんなが出ていくのを確認して、口を開いた。


「私、生成魔法持ちで今からたくさん作るので、それでいいですか?あんまりこの魔法持ってるの知られたくないので」

「そうわかったわ作ってちょうだい」






1時間後、テーブルの上には、たくさんのシャンプーやトリートメントなどが鎮座していた。

夫人は、メイドを呼び寄せるとまたお盆に純白の巾着を3袋乗せて入ってきた。


「これで足りるかしら?」

「逆にもらい過ぎかと…」

「これには、それだけの価値があります。受け取りなさい」

「わっわかりました」

夫人の圧に負けて巾着を受け取るとアイテムボックスに入れていく。


「そういうば、あなた、この従魔の乳を売ってるそうね。一杯いただけないかしら?」

「えぇいいですよ」


アイテムボックスからピッチャーを取り出すと先ほど飲んでいたお茶のカップに注ぐ。

「因みに、飲んだ紅茶に混ぜても美味しいですよ」

「そうなの?サラサお茶のおかわりを」

メイドにそういと、サラサと呼ばれたメイドが、お茶を入れ直してくれた。

「本当は、温めて、お茶と同じ温度にするといいんですが、今日はそのまま入れますね」


紅茶に牛乳を入れると、キレイに混ざりミルクティーになっていた。

「こちらはミルクティーと言います。どうぞお召し上がりください」


夫人は、カップに口をつけると、目を見開く。

「美味しいわ。でも何か物足りない……砂糖だわサラサ、砂糖を用意してちょうだい」


サラサは、言われた通り、厨房から砂糖を持ってきて、テーブルの上にのせる。

夫人は、ティースプーンで砂糖を掬いミルクティーの中に入れて混ぜ、口をつける。


「まぁ最高だわ、オーラスタムにいる間、配達できて?」

「大丈夫ですよ。毎朝門のところに届けたらいいですか?」

「えぇそうしてちょうだい」



優舞は、ゆっくりミルクティーを飲みながら、砂糖の入れ物をじーっと見つめる。


「…あぁ砂糖は、一般では手に入りにくいのよ。必要なら持って帰るかしら?」

「いいんですか?お菓子作りに使えると思って…もっと欲しいのでどこかで買えないですか?」

「伯爵家が、ご懇意にしている商会で売ってるわ、紹介所をお渡ししますからそれで大丈夫でしょう、ところでお菓子とは、あのパサパサしたクッキーだけかしら?」

「いえ、砂糖があればケーキでも和菓子でもつけれますが、クッキーってパサパサしてるんですか?」


夫人は、サラサにクッキーを持ってくる様に伝え、サラサが持ってきたクッキーを口にすると、優舞の顔が歪んだ。

「これは…私の知ってるクッキーと程遠いですね…」

夫人は、サラサに出ていく様にいい、お菓子を作って欲しいと、優舞に懇願する。


優舞は、今ある砂糖を使って柔らかいクッキーと苺のショートケーキを生成する。


クッキーを手に取った夫人は、ゆっくりと口の中に入れていく。

「!?さっくりしているのにやわらかで、パサパサしてないわ。

こちらはどうかしら…?

なにこれ?これがケーキですの!?こんな美味しいお菓子初めてですわ。毎日食べたいわ」

「レシピを書きますのでここのシェフに…」

「まぁありがとう」


優舞は、スマホを見ながら、ケーキとクッキーのレシピを書いて夫人に渡し、牛乳から作った1キロ程のバターをテーブルの上に置いた。


「ケーキもクッキーもこれがあればできますよ。他の料理やお菓子作りにも使えて便利なので」


また、サラサを呼ぶとバターとレシピを渡し、厨房へ持って行く様に伝える。


「あなたには、感謝しかないわ、ありがとう」

「いえ、今は時間的にクッキーとケーキだけでしたけど、他のレシピも書いたらミルクを届ける時に一緒に渡しますね」

「そうありがとう」


それを聞いた優舞は、ソファから立ち上がり、カドを連れてお暇することにした。


門を出て、少し歩くとぐったりとカドにもたれかかる。

「カド、悪いけど鞍出していい?」

「大丈夫ですよ」


カドに鞍をつけると上にまたがり、ゆっくり歩いてくれて、気づいたら、優舞は、眠りについていた。



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