オーラスタム領へ
その夜、オズが警護をすると言いみんなが寝静まった後、1人焚き火の前で火の番をしていた。
「おぬし寝ないのか?妾達が、いれば何も心配することはなかろう」
「まぁ結界は、ありがたいが、これも冒険者として嗜みでな、これに慣れて仕舞えば、次の疎遠の時が大変になる、」
「そういうもんかのう・・・何かが来たようじゃカドよろしく頼む」
目を閉じていたカドは、チラリと目を開け、対象物を捉えると水の球を出し、相手にぶつける。
相手は、蠍の魔獣で一瞬で消え去る。
それを確認することもなく、また目を閉じる。
「これは・・・レッドスコーピオンを一撃で倒すとはすごいな
レッドスコーピオンはBランクなんだかな、それが一撃とはな、驚きを通り越して呆れてしまうわ」
「これでわかったじゃろ妾達だけで夜を乗り越えられるのじゃ
それに、慣れても良かろう、きっと一緒に行くのじゃから」
そう、意味深げに呟くと、ドンも目を閉じる。
「一緒に・・・?まさか・・・こんなゆったりした野営に慣れたら大変だよ・・・」
棒を持って火の中に投げ込むと一瞬でどこかへ消える様をぼーっと眺め、交代まで火を見つめていた。
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朝になると、マサラが警護をしていた。
優舞は、マサラにマグカップを渡して、マーサが乳搾りできるように、準備を始める。
優舞は、また食事の用意をして、先にマサラに食べるように促す。
順番に起きてきたオズ達も、朝食を摂り始める。
「ユウさん、オーラスタムまでここから、我々の足で2日程だが、大丈夫か?まぁゆっくりでも良いんだが」
「私たちも大丈夫なんだけど、カドの子がねどうかな?」
「じゃあ一応、様子見でゆっくり行って、いけそうならペースを上げていくようにするよ」
「じゃあそれでお願い」
オズ達の後を追いかけるように、ドンの上に跨りついていく。
「いいなー歩くの楽そう・・・お兄!私も乗れる従魔が欲しい!」
「アホ抜かせ、誰がお前みたいなやつを主人に迎えてくれる魔獣がいるんだよ。寝言は寝て言え」
ほっぺたを膨らませてオズを睨みつけるが、オズは気にせず、前を進んで行く。
「ラズさん疲れたのなら乗りますか?ラズさんくらいなら多分私の後ろで大丈夫だと思いますが」
「ほんとー!?わーいありがとう!」
早速後ろを振り向き、ドンの側までやってくると、ピョンっと跳ねて、優舞の後ろに座る。
「ラズ!?ユウさん、すまない・・・全くラズの奴は」
「まぁまぁ、オズが甘やかしたんだろ」
「そりゃそうだけど」
「マサラの言う通り、親がいないからって甘やかしたのはオズだろ、それは小さい頃から一緒にいるオレ達も見てきてるからな」
ガックリと項垂れるオズを見てマサラとカイトが、オズの頭をガシガシと撫でる。
その後ろでは、子牛が、ラズを見上げてながら歩いている。
「お姉ちゃん、もう少し、ボクがおおきくなったらね、ボクがね、乗せてあげる」
「ほんと!!カド子ちゃんの上に早く乗りたいね!」
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次の日、道なりに進んでいると、10人程の盗賊が現れた。
青の稲妻は臨戦体制で盗賊と睨み合っているが、優舞はのほほんとそれを見ていた。
「お姉ちゃん大丈夫なの?マーサお姉ちゃん?」
「だっ大丈夫よ。冒険者の方もいるんだし、カドさん達もいるんだから」
マーサは、弟のサイルに抱きついて盗賊達を震えながら見ている。
「ボクも戦うーー!」
オズが、剣をぎゅっと握り締め、一歩前に出ようとしたが、子牛の声で、踏みとどまる。
水球を生み出すと、その場でふよふよさせて、臨戦体制に入る。
「あの子ってば・・・ラズさん!その子に魔法使わせて上げて、後の指示はラズさんに任せます。カドの子、ラズさんの言うことを聞いて」
「はーいお姉ちゃんお願いね」
「うん!」
ラズも水の球体を作ると、子牛に声をかける。
「カドの子ちゃん!もう長いからコカドちゃん、一緒にぶつけるよ!あの悪い奴らに、ドンッとぶつけて!」
「うん!いっけー!!」
2個の水の球体が、盗賊へ向かって行き、勢いよくぶつかる。
盗賊は、生きているものの、戦闘不能になった。オズ達が、持っていたロープで盗賊達を縛り上げる。
「よし!明日、オーラスタムに着いたら、警備隊につき出そう、報償金も出るだろう」
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夜、皆が、寝静まった後、ラズの見張りの時、こくりこくりとするラズを見た、盗賊達が、ロープを外そうと、モゾモゾ動くが、そこに水の球体が飛んでくる。
小さいもので顔を包む時、ボコボコと音がなり、苦しそうに顔を歪める死ぬ直前で水から解放すると、肩で息をしてる盗賊をチラリと見て、カドは目を閉じる。
翌朝、げっそりしている盗賊達を、不思議そうに首を傾げるオズ達、チラッとラズを見ると子牛と一緒に寝ていた。
「ラズ、あいつまた寝てたのか・・・でもコイツらは・・・濡れてるってことはカドさんか、抜け出そうとしてたから溺れさせたのか、なるほどな、こえーな」
疲れ切っている、盗賊達を無理やり引っ張り、やっとの思いで、オーラスタムへ着いた。
着いた頃に、お昼を回っていて、門を通りすぎると、近くにある警備隊の建物に盗賊達を連行する。
「なるほど、赤き修羅とか名乗る盗賊か、青の稲妻報償金あっちで貰ってくれ」
警備隊の隊長が、そういうと、受付の窓口を指差した。
オズは、代表で窓口に行くと、お金の入った袋を渡され、足早にみんなの元へ戻ってくる。
「ラズ、マサラ、カイト、この報償金だが、ユウさんたちに譲ろうと思うのだが、いいか?」
「うん私は、いいよ。だってコカドちゃんが、戦ってくれたもん」
カイトはマサラを見ると頷いていたので、
「俺たちも構わない」と告げた。
オズは、少し離れて待機していた優舞達の方へ向かうと、袋を突き出す。
「これ、コカドが倒してくれたから、ユウさんたちが、貰ってくれるか?夜もラズが寝ていたから、カドさんが、やってくれたみたいだから」
優舞は、チラッとカドを見るが、カドは子牛をみている。
「うーん・・・あの全部もらうの忍びないから、半分こにしませんか?この子だけが、戦ったわけでもないし、それがいいと思います」
一度、袋を受け取ると、近くにあったテーブルにお金を広げる。
金貨が20枚入っていたので、10枚ずつに分けて、オズに渡す。
「これで、同等ですね」
「いいのか・・・すまない、こっちはずっと迷惑かけて報償金も分けてもらって」
「別に、構いませんよ、あの子もいい経験なっただろうし、これからもいい経験になるだろうしね」
それから、青の稲妻は拠点があるため、優舞達をギルドへ案内すると、拠点へ帰って行った。
優舞達は、ギルド直営店の宿を紹介してもらい、そこへ向かう。




