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異世界で牛飼い生活の旅  作者: リベロ
16/33

突進娘と冒険者

あれから2、3日その場に留まり、子牛の様子を見ていた。

下痢もする事もなく、元気にはしゃぎ回り、サイルと周りを散歩するほどになっていた。


「カド、もうそろそろ旅を再開しようと思うんだけど、あの子大丈夫?」

「少し、お転婆なところがありますが、大丈夫だと思います。私と同じく水を出す事もできますが、攻撃魔法まだ教えていません」

「まだ、教えない方が、いいと思う・・まだあれはダメだわ」


この2日、カドの子は、岩に突進はする、サイルやマーサにも頭突きはする、カドやドンにも反抗的だが、すごく甘えん坊で優舞もほとほと困り果てていた。

それでもなんとか、優舞の話は聞くようなので、いつも優舞に叱られていた。


そして、この子牛を連れてほんとうに旅ができるのか、不安でしかないが、ここまで進んでる以上進まないと、行けなかった。

食料に困っているわけでも、水に困っているわけでもないが、道中何もないので、魔獣に遭遇したり、盗賊に遭遇したりすると厄介であるため。


実際のところ、どちらも出会っていないと思っていた優舞だが、いつかは、出会うと思うと気がきではなかった。


実のところ、夜寝静まった後に、盗賊が、一度襲ってきたが、ドンとカドの結界により優舞達に近づけず、ましてやカドに攻撃魔法を撃たれて、しっぽを巻いて逃げて行ったのであった。


そんなことが、あったが、ドンもカドも何も言わずに、夜の警護をしている。

そして、次の日乳搾りが、終わると朝食をとり、旅を出る準備を始める。





「よし、これで終わりだね。ドンちゃん、カドまたよろしくね。カドの子が、ドンちゃんとカドの間を進むようにするよ。後、今までよりゆっくりね。この子がついてこれなくなったら大変だから」

「大丈夫だもん!!ボク、ちゃんと着いていくもん!!」

「わかったわかった、さぁドンちゃん行くよ」


ドンの上に跨ると、後ろを見て、マーサとサイルが乗り終わるの確認すると、ドンの脇腹に足をトントンとする。





ーーーーーーーーーーーーーーーーー

「こら、ちゃん前を向いてドンさんの後ろをついていきなさい。わが子よいい加減にしなさい」


カドの子は、ドンの後ろをジグザグ歩いたり、ドンに突進したり、する度に、カドに注意を受けていた。


「カドの子、ちゃんと着いてこなかったらミルク飲めないよ。迷子になったらどうやって生き行くの?嫌ならちゃんと着いておいで」

「はーい」


不貞腐れたように、返事をしてドンの後ろをついていく。




歩いていくと、太陽が傾き、暗くなり始めていた。

「もう少しでオアシスみたいなの見えるからあそこで野営しようか、ドンちゃんもうちょっと頑張って」

「はい、主殿・・・

!?主殿、その先のオアシスに悪き存在があるようじゃ、何かを襲っているようなのじゃ」

「それほんと!?じゃあちょっと急ぐよ!カド!カドの子と一緒にゆっくりきて、私たちは、先に安全確保しに行くから!」


ドンが、少し速度を早めて、オアシスへと向かう。

見えるとこで、一旦止まり、様子を伺う。


オアシスには、4人の冒険者と蠍のような魔獣が戦っていた。


「ドンちゃん助けに行こ!」

と言い、進もうとしていると、後ろからドタドタと足音が聞こえ振り返ると、カドの子が、ドンの横を通り抜け、冒険者の方へと向かって行った。

「ボクが行くー!!」


「待ちなさーい!!主申し訳ありません。わが子が!」

「とりあえず、行くよ。マーサ達も、気をつけて」






「ボクの水!くらえー!」


「だめー!危なーい!」


水を纏うと、蠍の魔獣に突進して、ぶっ飛ばした。

魔獣は、ひっくり返り、ぴくりとも動かなかった。


優舞は、ドンから飛び降りると子牛を抱きしめた。


「ばか!死んだらどうするの!?もう死ぬの見たくないの!こんな無茶しないで!お願いだから!」

「ごめんなしゃい・・・」

「もういいよ・・カドの所に行っておいで」


子牛は、こくんと頷くと、カドの元へ向かった。

「おかしゃん、ボク・・ごめんしゃい」

「主の言うことを聞くのであれば、母は、怒りません。もう2度としないように」

「はーい」




一方、優舞は、冒険者に歩み寄った。

「すみません、もしかして、討伐最中でしたか?

うちの子が、勝手に倒してしまって」


固まって動かなかった、冒険者達は、そう優舞に問いかけられ、慌てて答える。

「いや、こっちこそ助けてくれてありがとう、実は、俺たちCランクで、今のポイズンスコーピオンは、Aランクで俺たちには倒せる自信がなくて、もう無理だと思ったんだが、いきなり突っ込んできてくれて、助かったぜ。俺たちは、Cランクの青い稲妻、オズだ。女が、ラズで俺の妹で、後はカイトとマサラだ」


女性1人と、3人の男のパーティで、王都へ向かう途中だと教えてくれた。

「お兄、あの子可愛い!撫でたい!ダメ?」

ラズが、兄のオズに上目遣いで見るが、オズは、気にせず、答えた。

「俺に聞くな。この人に聞いてくれ」


「別にいいよ。私ユウ、一応冒険者もしてるまだ低ランクだけどね。カドの子おいで」


そう呼ばれて、ポテポテも歩いてきた子牛は、優舞の前で止まり、首を傾げる。


「まだ、名前は、決まってないんだけど、よぶときは、カドの子って言えば今のところ来ますよ」

「そうなんだー!あなた、まだ名前ないのね。でも可愛い仲良くしてね」

「・・うん!」

ラズは、子牛の頭を撫でて、ぎゅっと抱きしめた。





「オーラスタム行くならオーラスタムまで道案内お願いしたいんですけど、いいですか?」

「あぁどうせ行くところだ。助けてもらった恩もある。護衛くらいは・・・まぁ大丈夫だろうけどするよ」


野営の準備をして、マーサが、乳搾りしている間に、夕食の準備を始める。


いつもより、4つ多く用意して、青い稲妻のみんなにも振る舞う。


「これは・・初めて見る食い物だな」

「チーズって言います。ホルスタイン種の乳を加工したものです。パンに挟んで食べると美味しいですよ」


出された、パンとチーズを交互に並べ、齧り付く。

「うっまーい!ユウさんユウさん、このチーズまだありますか!?」

チーズだけを食い尽くすと、優舞に催促する。

優舞は、アイテムボックスからチーズの塊を出して、薄切りにしていく。

「チーズおいしすぎる・・・ねぇこれって売りに出さないの?」

「オーラスタムでは、乳と一緒に売ろうと思いますよとりあえず、塊を4等分で銀貨1枚くらいで売ろかと」

「銀貨1枚・・安すぎない?こんなに美味いんだよ!?それにこの乳だっておかわりしたいもん!」


ラズが、前のめりになりながら、優舞に問いかけるが、優舞は苦笑いをして答えに困っていたが、それをオズが割ってはいってくる。

「ラズ、いい加減にしろ。黙って食べれないのか?助けてもらった分際で、ご厚意で食事も出してくれてるんだぞ」

「だっておいしんだもん!お兄のいけず!」

チーズをこれみよがしにたくさん口に詰め込むと、ラズは、席を立ち子牛の方へ向かう。


「カドの子ちゃん!慰めて!お兄にいじめられた!」

ぎゅっと抱きつくと、子牛は、首を傾げる。

「お姉しゃん大丈夫?いじめはダメだにぇー大丈夫ボクが守るよ

ボク強いよ!水でピュッピュって」

「カドの子ちゃんは、水魔法が、使えるんだねー」

「うん!いつも飲むだけでもピュッピュの方がたのしちぃ」

「じゃあね水球ウォーターボールって言ってみて」

子牛は、首を傾げながら、水球ウォーターボールと言うと、水の球体が、現れた。

「それをね、動かして木に当ててみて」

「うん!いっけー!」

水の球体は、子牛の掛け声に合わせて、勢いよく、動き、オアシスの木に直撃して、木が粉砕する。





「なんの、音だ!?」

爆発音がして、オズが飛ぶように立ち上がり、辺りを見渡すと木の一部から煙と水溜りが出ていた。

「ラズか・・?ラズ!お前は何をやってる!?魔法で遊ぶな!いつ何が、襲ってくるかわからないんだぞ!」

「・・・私じゃないよ・・・カドの子ちゃんの魔法・・・すごい威力だった」

「えっ!?その子に攻撃魔法教えたの!?あちゃー」

少し離れて草を食べていた、ドンとカドもやってきたが、子牛の魔法だと知ると頭をかかえるように、下に下げて首を振った。

「悪い・・またラズが」

「いや、こっちが、言ってなかったから悪いだ・・わかるように、あの子お転婆だから攻撃魔法は、まだ教えないようにしようとカドと話してたんだけど」


そんな話をしている最中に子牛は、また水球ウォーターボールを出して、木に当てている。

頭を抑えて、下を向く優舞にオズ、頭を下げる。

「すまない!・・・ラズ!いい加減にしろ!」

「いやまぁいつかは、教えるつもりでいたんだけど、あれだから」

優舞は、子牛の近くに行くと、魔法を使う前に抱きしめた。


「ダメだよ。覚えたのはいいけど、私か、カドが良いと言うまでそれは使わないこと!他の人に当たったらどうするの?カドの子だってもしかして当たったら痛いよ?いいの?」

「ごめんなしゃい・・・」

「もういいよ・・・カドのところにいっといで」

最後に力強い抱きしめると放して子牛の顔をみて鼻にキスをしてカドの方へ導く。


カドのそばに行くと子牛は、恐る恐るカドの顔を伺う。

「いい?もう飲み水以外で魔法は使わないこと!あなたの事だから、さっきみたいに遊ぶことがあると思い、わざと教えませんでした。今回不可抗力で知られてしまった以上攻撃魔法は、危険です。母からは以上です。主の言うことを聞いてお利口にしていなさい」


はーいと言うと、子牛はラズの側に近寄り、頭を擦りつけた。

「ボクのせいでごめんなしゃい」

「ううん事情があったなんて知らなくてこっちこそごめんね」

ラズは子牛を抱きしめると同じように頭を擦りつけた。




それを見ている優舞は、寂しそうに顔を歪めるとカドが頭を擦り付けてくる。

「主、わかっております。オーラスタムに着いた時には」

「うん、あの子も成長するかもね」











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