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29話 運営回3 前日の大人たち 前編

 テスト開始7日目金曜日、夕方17時半。

ぺんおん運営の専用ルームでは明日に迫ったセントラル開放に向けての最終ミーティングが行われていた。

可能な限り時間を作らせ朝担当も夜担当も集めての話し合い。参加者だけで数十人にのぼる。


「はいみなさん。時間になりました! 本日は、明日の種族間移動解禁に伴う情報共有と起こりうるトラブルなどを事前に予測しようという会になります。司会はいつもの通り私ササキです」


 青々とした藁人形がいつもより気持ち元気よく開会の宣言を行う。

先週土曜日にユーザーテストが始まって以降ササキは家に帰らず会社の仮眠室で暮らしていた。その生活も今日で丸一週間。

明日からの後半八日間のため、今日はこのミーティング後に帰宅することになっている。

40代も中盤に差し掛かった男の体にその無理のつけがじわじわとのしかかる。

そんな状況だからこそ彼はリーダーとして声を張り上げていた。


「それでは、えーっと明日のための進捗状況を聞きましょうか。今日はどこから行きます? ……じゃあアトランティスの準備状況から。カイダさんお願いします」

「あっはい。僕からですか? 少々お待ちを」


 ササキに指名されたのは黒い皮膚に赤いラインの入った人型カエルの男性カイダ。

彼は海底都市アトランティス担当GMのチーフを任されている。

カエルの短い指でペタペタとウィンドウを操作し、資料を全員が見ることの出来るルーム中央に表示させる。


「アトランティスは海の中なので空気があまり有りませんがまあそれはゲームなのでどうでもよいですよね。一応他種族が街へ来た場合頭部装備を強制的に海中用へ変更するようにしてあります。シュノーケルみたいな見た目の物ですね。

それと登山道ですが、今は全プレイヤー海底の道を歩くように制限をかけています。完全に海の中なんですが、肌情報として感じる者は地上と同じです。

しかし他種族が来ることへの差別化として、解放後は水中に適応した種族は道から一定距離まで上空、いや上水? を泳ぐことの許可を与えます。他プレイヤーの頭上を泳げることで自身のホームグラウンドであるという認識を強く持てるでしょう。

そして、他種族プレイヤーへは戦闘に影響の無い範囲で圧迫感を付与します。デバイスの生命保護に触れない程度の微弱なものです。

ちょっと動きづらいかな? くらいな感じですね。ユーザーの方が水中へくるのはその窮屈さも期待されていると思いますので。

まあ僕たちの準備状況は以上ですね」


 カイダが一息に説明をし周囲の反応を待つ。

今彼が説明したものは何か月も前に会議で決めた物。実際にゲームへ落とし込む際に少し形が変わった物もあるがほぼほぼそのままだ。


「はい。カイダさんありがとうございます。疑問点やその他何か聞きたいことがある方」

「はーい。頭装備を強制的に変更とおっしゃってましたが、頭装備が付けられない人ってどうなります? どうぶつ系とか、あと人形系も無理ですよね」

「おお、良い疑問ですね。カイダさんそこら辺はどうなっていますか?」


「ええ。そこら辺も考えてあります。頭装備を解除と言いました。ですが代わりに付く物は装備品ではなくアバターアイテムとなっています。

少々見てくれを弄ってしまいますが、人形系は造形パーツ・口を変換。動物も同じく口の位置を基準に飾りとして付きます。

飾りの方に効果が有るのではなく、その飾りを付けているプレイヤーへの負荷を軽減とフィールド側に設定してあります」

「対策済み、と。この回答でよろしいですか?」

「はい。理解できました。ありがとうございます」

「では他に──」

 

 その後いくつか質問や提案があり、次の種族担当者の番になった。


「海底都市はこれくらいで良いですかね。では次、聖樹担当のイノウエさん」

「はぁい。ではこちらを~」


 赤い花が咲き乱れる木のモンスター。およそ人側の存在とは思えない見るからに化け物。

聖樹とそれを守る集団・セントガード担当チーフイノウエ。


「では私イノウエがお話させていただきます。まず、聖樹では今回の種族交流解禁に伴い交易クエストが発行されます。各街固有アイテムの納品になりますがテスト期間中に全ての達成は想定しておりません。理由はクエストが一つクリアされる度に残されたクエストの難易度が上昇していくからです。……クエストはただ開催承認を押すだけなのでどうでもよいですね。


続きましてマップの変更です。現在聖樹五十階層のうち50階の一部イベントエリア、20階の一部イベントエリア、10階訓練場、2階居住区画、1階エントランスのみがユーザー様立ち入り可能エリアとなっています。

交易クエスト発行に際し3階倉庫区画。他種族入場可と同時に10階外殻・監視の足場、及び11階会議室へのイベント侵入が可能となります。

こちらは元々のセントガードのみが対象となっております。カイダさんがおっしゃっていたように元のユーザー様への特別感を出すための措置です。大きな変更点は以上となります」


「うん。イノウエさんありがとう。じゃあ質問など有る方ー」

「新しく入れるようになる場所はイベント用で見る事が目的ということですか? 例えば新たなアーツや必殺技用要素が貰えるわけではなく?」

「いえ、3階倉庫では商人NPCが5体おりそれぞれのクエスト報酬としてアーツやアイテムを設定してあります。

10階11階は情報を仕入れていただくのが目的です。10階外殻で森を見下ろしているとたまに現在戦闘用では実装していないモンスターの映像データが得られます。11階の会議室では、10階の映像もそうですがユーザー様が手に入れた情報データを元にしたひらめきを提供いたします」

「なるほど。ありがとうございました」


 聖樹についても色々と盛り上がって話は次へ。


「えーっとでは次。ドールズ担当のカタシロさん。ファクトリーについてお願いします」

 次に話を振られたのはピンク一色のつるりとしたマネキン人形。

指もない一本の棒が生えただけの腕を顔の横に上げ一言。


「明日からマザーの制限を解除します」


後半に続きます


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