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14話 第一回定時連絡会 後

 画面に表示される現在のルーリーのステータス。HPなどの数字はレベル相当の物であり特筆する点が無かった。

GM達の目を引いたのは彼女のアーツ構成だった。



コンバットアーツ


【蹴術:Lv3】

蹴り攻撃に補正がかかる


【装甲化:Lv2】

甲殻を隆起させ攻撃を防ぐ


【受け流し:Lv4】

敵の攻撃判定に失敗を与える


【指揮官:Lv1】

自身の指示を遂行しようとする者にプラス補正を与える


【急所の一撃】

敵の弱点もしくは傷への攻撃にプラス補正を与える


クラフト アーツ


【ブレイクダンス:LvMAX】

アクロバットな動きを補正する


【気分昂揚:LvMAX】

注目状態にある場合、成功判定が上昇する


RPアーツ


【任侠竜人】

か弱き人々を助け醜き悪を挫く。それが真なる龍へと至る道と確信している竜人。


己の義侠心に沿った行動を行うとステータス上昇。


【畏怖の竜人】

長い年月を掛け積み上げた実績は他者に畏怖の念を抱かせる。

加齢によって記憶が薄れている。


推奨一人称『わし』


必殺アーツ

名称:【エアシュート】

属性:風

補正:威力減 弾速上昇 エフェクトオフ 



 表示された画面の前に全GMが集まり各々が感想を語る。

あれがすごいこれが変だ、などと本人が聞いたら苦笑いしそうな状況だ。


「いやーすごい。パッシブスキルばっかりですねえ」

「アーツね、アーツ。それにしても素であそこまで動けるなら攻撃のアーツはいらないだろうね。魔法とかはそもそも撃っても意味無さそうだし」

「必殺技ここまで捨ててるのも凄いですね。というかRPがなんか変じゃないですか?」

「あー確かに。なんで二つあるんですか?」


 RPなんか変じゃない? 一人がそんなことを言った。

その瞬間ギクリと体を震わせた一人の女性。そして呆れたように彼女を見るレプティリアン担当チームメンバー。

それに気づかない他種族担当のGM達。


「彼女が二つRPを持っている理由はわたし達が話ます。フア、説明しなさい」


 上司のアオイに命令され壁の前に立たされたフア。彼女へ室内にいる全員の注目が集まる。


「……はい。えーっとですね。はい? まずは自己紹介? ああすいません。フアと申します。レプティリアン班に所属しています。

えー彼女が二つRPを持っている訳はですね……そのぉ」 


「当該人物にはテスト後半に投入されるものも含めキャラ数種のモーション担当をしてもらってる。フアはその管理担当もしていたの。

それの繋がりで彼女をCBテストに誘いユーザーIDを入手した。今日は彼女がゲームを始めるのを監視してRP付与に干渉したらしいわ」

「ええ……とんでもない不祥事なんですけど。特定人物の優遇はNGって散々言ったじゃないですか」


 中々本題へ入ろうとしないフア。埒が明かないとアオイがさっさと状況を全部バラしてしまった。

『うわっ……』それを聞いたGM達にドン引きのため息が広がる。一番の責任者であるササキだけはテスト早々に起こった大問題に頭を抱えていた。


「い、いえ! 優遇というほどではないと思います! よく二つ目のRPを見てください! プラスの能力は何もありませんよ! フレーバーだけです!」

「一人一個しか持てない物を二つ得ている時点で優遇でしょうが! この馬鹿」

「というか何なんですか? 推奨一人称ってこれフアさんの趣味ですか?」


「ひぇ!? しゅ、趣味だなんてそんな! そりゃあクイーンのような方が少し年老いた喋り方をするということに喜びを得ないわけではありません。ですが! だからと言って! だからと言ってそんなウチみたいなやつがそんな指定するだなんて恐れ多いですって。ウチはただ遠くから見れればそれだけで良いってファンなんで!」

「積極的に関わっておいて何を言ってるのアナタ……二つ目のRPの詳細データを出してちょうだい」

「あ゛っ! ちょっ! 何もないですってば!」


【畏怖の竜人】

好感度補正1:対象NPC グループ24 グループ33

脅威度判定3



「プラス補正! やってるじゃないですか! フアさん!?」

「あっ脅威補正あるからランク9神託出ちゃってるんですねー」

「グループ24と33ってどこの奴でしたっけ?」

「24はあれだよ。あのーナーガの……蛇姫だっけ? そこら辺のナーガ系NPCの上役」


「33は……全体的な未実装名前有NPCグループですか? フアさんなんでそんなところを?」

「う、ウチは関係ない……」

「諦めて話しなさい。罰が重くなるだけよ」

「えっとぉクイーンが担当したキャラが居るのでその絡みが見たくって……」


照れたように頭を掻くフアに周りのGM達が騒ぐ。


「私欲しかない! この人自分の事しか考えてないぞ!」

「影から見守るどころか積極的に操ろうとしてやがる……」


「それでササキさん、結局どうします? RP消したとしても当該プレイヤーにはなんで消したか説明しなきゃいけないと思いますが」

「うーーーーーーん。まあテストですし続行で。ただしフアさんは担当を外れてください。レプティリアンチームはフアさんが当該プレイヤーに接触しないよう監視をしてください」


 ササキが指示を出していると一人がモニターを指さし叫んだ。


「あっ! みなさん見てください! ダイアモンド出てきましたよ」

「は? ダイアが出るのはランク5だろ」

「だから脅威3のせいだろ」「ああそうだ! そのせいだ」


 半ばパニックになるGM達。

神託が上位へと派生する条件は一定以上のクリアスコアとプレイヤー達の脅威度を足した確立。

今回はルーリーがほぼ無傷でアクアマリンとレッドベリルを倒し、RPアーツで脅威度を増やされていたせいだった。


「……今ダイアなんて倒せますかね?」

「「「無理だろ」」」


 声が再び揃った。

現在のプレイヤーのレベル上限は20。ダイアモンドマーマンのレベルは50。

しかも初期配布の装備を使っているプレイヤーがほとんどだ。


「あーほらどんどん倒されますよ。イエローで復活しても無意味ですね。攻撃が通らないんで」

「まあ初日にランク5をクリアされたら、そっちはそっちで困るんだけどね」

「でもどうします? これ全滅したらレイド化しますよね?」

「そしたらテスト開始直後に主要都市が一つ落ちる? そうなったらもうやり直した方がいいでしょ」


 ボスモンスターが登場する一定以上のランクの神託クエストは失敗すると、ボスモンスターがレイドモンスターへと強化される。

そしてレイドモンスターは全滅したプレイヤーがしに戻りした近くの街へと進撃する。

 本来の手順であればレイドモンスター到着までの時間でプレイヤー達は街へと集まる事が出来る。

レイドモンスターは複数のルームでHPを共有するので、プレイヤーが集まればそこまで苦戦しないだろう。


 だが今はテスト開始直後で種族間通路も閉じられている。そもそも全プレイヤーが集まっても今はダイアモンドモンスターは倒せない。

モンスターを放置することはできない。だからと言ってプレイヤーに不必要な介入はできない。

GM達が頭を悩ませているとフアが手を上げた。


「はい! はい! ウチにアイデアが有ります! 待機モードの姫を送りましょう! 神託飛ばしましょう!」

「待機中の……? 蛇姫は公務についているでしょ。あっ! 姫ってもしかしてノト姫!? あなたもしかしてここまで狙ってたの!?」

「い、いえ? さすがにそこまでは知りませんでしたよ?」


 フアとアオイが話し合っている最中も画面を見ていた人からの報告は続く。


「プレイヤーほぼ全滅。参加者のイエローが尽きました」

「一人、例のプレイヤーが攻撃を避け続けていますが与えるダメージがゼロなのでどうしようもないかと」

「ササキさーんこれどうしますかー? 運営からのメッセージ飛ばしちゃうとピンポイントで見てるのバレますけど」


「うーーーーーーーーーーーん……ノトリス開放ですか……いや早すぎでしょ……しかし出さないとテスト的に大失敗? 

いやむしろホームが壊滅した時の動きなどを見るテストになるのでは? ……うーーーん」


「ササキ部長! 特別NPCの姫がどのような反応をするかのテストの方が大事だと思います!」

「いやーーーーーそれもそうなんですがねえ……あっじゃあ多数決にしますか! 

レイド化は起こらなかったということで処理した方がいい派は私からみて右に。

姫を派遣して事態収拾を図るのがいいと思う派は左に。はいよーいスタート」


 ルーリーが一人で巨大なマーマンと戦う映像の前でGM達が左右に分かれる。

7:3の割合で姫を派遣させるが多かった。


「いやったあああああああ! クイーンと姫の絡みきたあああああああああ」

「アオイさん、フアさんを大人しくさせてください。……はい。では決定です。ノトリスの待機モードを解除。彼女には神託を与えダイアモンド討伐へ向かわせます。

現場に着くまで時間がかかると思うので、その間残りの報告を聞きます」

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