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12話 緊急、急襲

 

 マーマンアクアマリン十体を討伐し、全員に一体分の経験値が入った。

 それと大量のエメラルドマーマンによって、後から参加したレベル1だったプレイヤーも既に10レベル近くにまで育っている。

 既に全プレイヤーがエメラルドマーマンには苦戦しない状態だ。


 そこから程なくして。


【マーマンアクアマリン 20/100 マーマンレッドベリル 20/100】


 もはやレベルアップ中毒といってもよい状態のプレイヤーたちは止まらない。

 次のグループが現れようが殲滅速度は加速度的に上昇していく。


【マーマンアクアマリン 60/100 マーマンレッドベリル 60/100】


 すぐに次のグループも壊滅し最終グループもすぐに減らされていく。


【マーマンアクアマリン 64/100 マーマンレッドベリル 70/100】

【マーマンアクアマリン 66/100 マーマンレッドベリル 78/100】

【マーマンアクアマリン 71/100 マーマンレッドベリル 83/100】

【マーマンアクアマリン 74/100 マーマンレッドベリル 87/100】

【マーマンアクアマリン 80/100 マーマンレッドベリル 90/100】


【マーマンアクアマリン 85/100 マーマンレッドベリル 98/100】

【マーマンアクアマリン 91/100 マーマンレッドベリル100/100】

【マーマンアクアマリン 95/100 マーマンレッドベリル100/100】

【マーマンアクアマリン 97/100 マーマンレッドベリル100/100】

【マーマンアクアマリン100/100 マーマンレッドベリル100/100】


 クエストが始まって数十分後、両方の討伐数が100になった。

 集まったプレイヤーたちは喜びの雄たけびをあげ、手に入ったドロップアイテムと自分のレベルに酔いしれる。


「一生分マーマン狩ったわー」「おっアクアマリンの槍入ってる! 大盾もだ!」「初期装備の何倍の強さだよこの装備w」

「今の段階じゃ何が欲しいのかもわかんねー」「ベリルの杖! ベリルの杖落ちた人トレードさせてください!」


 このテスト期間は2週間でレベルの上限は40。しかし最初の1週間は20が上限になっている。

 そして、ここにいる参加者は全てレベルが20になっていた。

 テストプレイ開始2時間弱での出来事である


「うーん。レベル上がりすぎじゃろ……レベルキャプ100とかなら序盤のレベリング作業としてちょうど良いのかもしれんが」

「溢れた経験値キープとかある系なのかなー?」

「このペースじゃとキープしてたら上限開放の瞬間にカンストじゃな。はっはっはっ」

「……経験値無駄はとても損な気がして嫌」


 ピロリン!


 フレンド登録やアイテムトレード雑談など賑やかな空気が流れる中、あのシステム音が鳴る。

 最後のアクアマリンを倒してから5分ほどが経った頃だった。


「おっ? やっとクリア通知か?」


【限定神託・決死の覚悟のマーマン軍! その秘密兵器を討伐せよ!】


「「「え!?」」」

 その表示を見た全員の声が重なった。


「まだ続くのか……」「次のマーマンってなんだっけ?」「シトリンかサファイアじゃね?」

「── ッ!? 何かおるぞ!? 沼を見るのじゃ!」


 先ほどまでマーマン達の大軍団が湧き出ていた地点に大きな岩のような物が浮いている。

 陽光を受けてキラキラと輝いている透明のそれは生き物の様には見えない。少なくともマーマン達とは違っていた。


「ねえあれってもしかしてさ、ダイア?」

「……さすがに違うと思う。こんなところで出して来たら馬鹿」


 その岩を見てキュータルが外れてほしそうな声音である名前をあげた。

 カノエは首を振ってそれ否定するが、彼女の声も同じく願望の色が強い。

 そして彼女らの願いもむなしく、ゴゴゴとその岩と同じ固まりがいくつも浮上してきた。


「ダイアモンド、じゃな認めるしかない……初期の狩場でこんなものを出してくるとはな」


 ルーリーが諦めたように呆れ顔で呟く。

 その間も岩は動く。4本の長方形の岩が並列に並び、沼にプレイヤー達側の先端を食い込ませる。

 まるでプールから上がる直前の人の手の様だ。


 ッザバーーーーーン!


 大きな音と一緒に沼から濁った水が飛び散る。

 泥水でプレイヤーたちの視界が遮られた一瞬、その間に沼に浮いていた岩が消えた。

 消えた岩はどこへ行ったのか。キョロキョロと視線を左右に振る者が多い中、空を見上げたルーリーが叫ぶ。


「来るぞ! 戦闘── ッ防御じゃ!」


 ヒューーー…………ダンッ!

 大きな塊がプレイヤー達へと落ちた。落下地点にいたプレイヤーは全滅。復活可能を示す黄色のマーカーだけが無数表示されていた。

 その塊は一目でわかるボスモンスターだった。その証拠に落下と同時に緊迫感のあるBGMが流れ出す。

 形状だけは辛うじてマーマンに似ている、鉱石で作られた巨人。


【ダイアモンド☆マーマン Lv50】


「いや馬鹿じゃろ……開始数時間でこんなの」

「……でっかいでござる」


 ギリギリ落下地点から外れたルーリーとカノエはその巨体を見上げ呆然としていた。

 ダイアモンドマーマンの体は10mを超えている。背が高い方のルーリーでさえスネの半分も届かない。

 しかも登場しただけでフィールドにいたプレイヤーの大半が死亡。絶望的状況だ。


「キュータルはどうしたのじゃ? 見当たらんが」

「キューちゃんは……星になったでござる」

「……そうか。おしい奴を亡くしたな」

『死んでないってば! いや死んではいる? 死んでるけど死んでないからはーやーくーおーこーしーてー』


 比較的身軽なルーリー達は生き残れたがカメなキュータルはダイアモンドの登場に巻き込まれていた。

 二人の会話に混ざるように死亡マーカーの一つが点滅する。

 回復アイテムであるエーテルの一つ、黄色いエーテルをこの死亡マーカーに使うと効果範囲のプレイヤーを復活させることができる。


(カメちゃんを復活させるのはいい。だけど他の人はどうしようか)

 エーテルを構えながらルーリーはその他大勢のプレイヤーについて考えていた。

 黄色エーテルの効果範囲は半径3mほど。それなりの範囲に散らばったプレイヤー達を全員復活させるには複数個のエーテルが必要になる。


「悩んでも無意味じゃな。一度イエローを使うぞ! 起きたら回避をしつつ他を起こしてやれ」

 戦闘中にエーテル補充はできない。そして黄色エーテルの所持上限は3。

 ルーリーがいくら悩もうがそれはもう変わらない。だったら誰かにやってもらおう。

(人助けロールに引っ張られ過ぎだな)と考えることをやめたルーリーは黄色エーテルを投擲した。



昼過ぎくらいにも投稿予定です


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