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9話 稼ぎ時

 

 三人で役割分担をして狩りを続ける。基本的にはキュータルが遠距離攻撃を当て、外れたものの対処をあとの二人で。

 途中エーテルの補充などをしながら狩りを続けていると、今までと少し違ったマーマンが現れた。

 すらりとした体型に表情のない魚顔は同じだ。だが、そいつは手に大きなほら貝の様な物を持っていた。


『プェーーーーーー』


 ルーリー達を視認したそのマーマンがほら貝を思い切り吹いた。


「笛持ちか! 運が良い! やれるとこまでやるぞ」

「……HPMPSP全部最大。エーテルも大丈夫。……でござる」

「わたしもだいじょーぶ! だいぶコツ掴んだよー」


 笛持ち、雑魚敵を狩っているとたまに出現する通常とは少し違うレア敵。

 他にも旗持ち、角持ち等の様々なタイプが存在する。

 レア敵の特徴として、【○○持ち】と付いた部分によって共通した強化効果を持っている。

 笛持ちの効果、それは仲間を呼ぶ。


 ランダムエンカウント式のRPGであるペンタスシリーズだが、【○○持ち】はシンボルエンカウントとしてフィールド上に突然出現する。

 そのシンボルはプレイヤーに触れようと近寄ってくる。そしてそれに触れることで戦闘が始まる。


 だが、笛持ちはプレイヤーへは攻撃を仕掛けてこない。

 その代わり持っている笛(太鼓等の打楽器を持っている場合もある)を鳴らし同族モンスターを呼び続ける。

 そしてプレイヤーに一定距離まで近づかれると逃げ出す。


 倒して得られるものも通常種より希少価値がある事が多い。

 討伐報酬目当てで追いかけようとする、笛持ちが呼び出す雑魚敵の大軍に阻まれ逃げられる。

 そういう作りの敵だ。


 ただしそれも全部、追いかけた場合、だ。

 近づき過ぎなければ、プレイヤーが飽きるまで雑魚敵を高頻度で出し続けてくれるお助けキャラになる。

 もちろんこの方法は万能ではない。

 雑魚敵の方がプレイヤーよりレベルが高くなければ効率的に美味しくない。

 しかし高レベルの雑魚敵を狙うと周りの別の敵に邪魔される。

 相手のレベルが高く、そしてその種類だけで孤立している。この二つの条件は絶対必要なのだ。


 その点で今回の場合はどうか。

 敵のレベルは当然始めたばかりのルーリー達より高い。

 他の敵から邪魔は入るか? ゲーム始めたての初心者がすぐ遊べる場所なので敵の種類は多くない。

 どちらの条件も中々に良いレベルで揃っている。

 そういう意味でこの場所はレプティリアンで始めたプレイヤーのテンプレレベリングスポットになるかもしれない。


「おお! ぞろぞろ来るぞ! 基本的には先ほどまでと同じでいくぞ。ワシが敵を惹きつける。キュータルは敵が固まっているところに弾をばら撒け。カノエはキュータルの補佐じゃ、カメ子が落ち着いて狙えるよう近づき過ぎた敵の処理を頼む」

「オーケー! あれだけ居るなら外さないよ!」

「承知した、でござる。忍法、【影潜り】」


 キュータルは元気に、カノエはアーツを発動させ初対面時と同じく影に隠れながらルーリーに返事をする。

 これまでは数分に一体のペースで敵が現れていた。だが、敵が笛を吹き始めると同時に沼がボコボコと泡立し始め数体のマーマンの腕が現れる。

 最初から複数同時。レベルもマーマン達の方が高い。どこまで持ちこたえられるか。


 コマンドバトル式のゲームでなら一戦ごとに休める。そもそもオフラインゲームなら戦闘中だって放置して休める。

 だが今彼女らが遊んでいるこれはリアルタイムバトルのオンラインゲーム。

 こちらが全滅するまで休むことはできない。


 それから十数分。三人は順調にレベルアップを重ねながら戦闘を続けていた。

 既にマーマンが同時に出現する数は十にまで増えている。

 十体出現し、その数秒後にまた十体だ。

 三人も成長しマーマンを一、二発で倒せるようになっている。

 だがそれでも相手が多い。


「そろそろ潮時かの? 全員レベルも追いついたろう?」

「かもねーMPエーテル無くなりそー」

「……拙者はまだ余裕があるでござる。キューちゃん分けようか?」

「じゃあ三個くらい欲しいかも」


 エメラルドマーマンのレベルは6。三人はキュータルとカノエが6でルーリーは7になっていた。

 いくら敵が多くてもそろそろ経験値が減り始めるころ。

 それに序盤のエリアで戦える敵なのでドロップアイテムに希少品もない。装備に使う程度なら既に十分な量がある。

 つまり旨味がもうないのだ。


 敵を突破し笛持ちを叩こうか。三人がそのことを相談し始めた瞬間、ピロリン! とシステム音が鳴り、彼女らの画面にデカデカとした文字が横切った。

【限定神託・怒るマーマン軍を滅ぼせ!】


「神託!? ここの事か? 合ってる。ここじゃ」


【限定神託】

 戦闘フィールドにて特殊なイベントが発生した際に近隣のプレイヤーに告知するシステム。

 基本的には同じルームにいるプレイヤーにのみ伝わり、発生場所がマップに表示される。

 戦闘イベントの場合、発生させたプレイヤーもしくはPTに占有権が発生し、ルーム外へとメンバー募集チャットを送ることができる。

 基本的には発生した時点で占有権保持者への特別クリア報酬が確約されるので他のPTを締め出すことのメリットは薄い。

 むしろ野良でもなんでもプレイヤーを集めてさっさと手伝ってもらう方が良いし運営もそれを推奨している。


「神託ってなに? なんかはじまるん?」


 キュータルがぽかんとした顔でカメの顔をキョロキョロ動かす。

 神託が告知された時点で5分のカウントダウンが始まっており、マーマンも遠巻きに三人を眺めるだけで動いてこない。

 ただし出現する頻度は変わっていない。襲ってこないだけで増えてはいる。


「……たしか、みんなで協力するイベント! どうする? でござる」

「せっかく発生したんじゃからクリアを目指すべきであろう。だが三人で挑むのは阿呆じゃ。流石にあの数は始まった瞬間押しつぶされるわ」

「襲ってこないけどわたしの攻撃もとどかんねー」

「二人とも、チャット画面を開くのじゃ。そして救援募集ボタンじゃ。早う!」


【神託・ルーム24にて救援依頼を受理。依頼内容・マーマンアクアマリン及びマーマンレッドベリル軍団の討伐】


「エメラルドではない!? いやそこにエメラルドの群れが……いるー! 青いのも赤いのもいるー! 馬鹿じゃないの!? こんなもの初日に発生させるな!」


 流れていくテキストを見てルーリーが慌ててマーマンの群れを見た。

 そしてそこには緑のマーマンに交じって一回り体の大きな青いマーマンと一回り体が小さい赤いマーマンがちらほら。

 思わずロールプレイも忘れてルーリーが絶叫する。


【マーマンアクアマリン、マーマンレッドベリル】


 どちらもエメラルドマーマンの進化した姿。

 エメラルドより一回り体が大きくなり、短槍と大盾を持った青い体のマーマンがマーマンアクアマリン。

 エメラルドより一回り体が小さくなり、貝殻を縦に繋げた杖を持った赤い体のマーマンがマーマンレッドベリル。



夕方頃にも投稿します

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