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幸せ

絶命した名称不明生物をリーセルさんが軽々と担いで帰路を進みながら、大興奮なアルとぱーちゃんの相手をしている。


「お父さん凄い!あの、おっきいやつがきて、バーンってなって、倒しちゃうの!かっこいい!」

「それに一撃だもんな!ドン!ってな!」

「アルタもパンも、成長したら同じようにできるとおもうぞー」

「そうなの?ぱーちゃんもバーンってやりたい!」

「俺は絶対お父さんよりも強くなって、もっと大きいやつ倒すもんねー!」

「そうかそうか、成長が楽しみだなぁ」


と、幸せそうな親子の会話をしている後ろで、俺はあの一瞬の出来事について頭を悩ませていた。


(よくよく考えてみたら、異常すぎないか・・・・?)


(確かに、俺たち子どもとリーセルさんの体は一回りどころか四、五回りくらい差がある。だからといって俺たちよりも何倍も身体能力が高くて何倍も速く動けて、目にもとまらぬ速度で拳を突き出しその風圧で目が開けられないなんて、実際ありえるのか?いや、ありえてるのか。)


(もしかして、リーセルさんの身体能力の高さは魔法の影響なんじゃ?本当に一瞬すぎて何も見えなかったけれど、リーセルさんが光った様に見えなくないかもしれないかも?今度いろいろ聞いてみるか・・・・)


俺がうつむいて考え込んでいるのを心配したのか、リーセルさんが話しかけてくれた。


「リュウ、どうかしたか?」

「え?あぁ、なんでもないよ」

「そうかそうか、じゃあお父さんの狩り、どうだった?」

「それは・・・めちゃくちゃすごかったというか、早すぎてほとんど何も見えなかったって言うか」


「そうだろう!お父さん実は、村一番の力持ちだからなぁ!」

「えっそうなの?一番なの?」

(そうなるとやっぱり、リーセルさんは特別な方法で体を強化してたり・・・・)


「え!お父さん一番だったの!?」

「すっげー!!じゃあ、あのバンおじさんよりも強いってこと!?」


ぱーちゃんとアルが目を輝かせながらリーセルさんに迫る。


「あ、いや、一番というか、まぁ・・・・そう、だいたい一番だな!」

(あぁ、子供にかっこいい姿を見せたかっただけか。)



などと話している間に、洞穴の傍の、トンさんが調理の準備をして待っている場所に到着した。

到着するや否やトンさんの元にぱーちゃんが駆け寄り、お父さんのかっこよさを必死に伝えようとしていた。


「それでね、お父さんね!手でばーんってしてドーンってなったの!」

「そうね、お父さん凄いねーかっこいいねー?」

「うん!かっこいい!」


(ぱーちゃんあれからずっと喋ってるよな、疲れを知らないのか?・・・子供って元気だなぁ。俺も今子供だけど。)



それから数分後、先程までずっとお父さんすごいモードだったぱーちゃんは何処へ行ったのか、唐突に遊びたいモードとなった自由奔放なぱーちゃんと遊ぶこと数十分、夕飯が出来上がったと知らされ、四人で一斉に元の場所へと走って戻る。


夕飯はいつもの肉を直火で焼いただけの物ではなく、いつもより工夫が施されていた。

具体的には、平らな石を熱してそれで肉を焼いたり肉に切れ込みがあったり、いい匂いなハーブのようなものが乗っていたり、その他にも肉が丸めてあったり等々、ピクニックの時はいつもと違う特別な料理をふるまおうと準備していたのだろう。トンさんの努力が見て取れた。


「何これ!みどりのが乗ってる!」

「なんかすごい!これまん丸だよ!」

「この草、いい匂いだね」


きゃっきゃとはしゃぐ子供たちを見て、トンさんは心底嬉しそうだった。



新鮮で楽しい夕飯も早々に過ぎ、食休みとして見晴らしの良い崖に座り、星空を家族みんなで見上げていた。


(そういえば、この世界の天文学はどんなものなんだろうか、月や太陽はどういう認識何だろう?)


(あっ、目の前に当然のごとく月のようなものがあるから忘れてたけど、世界が違うからあれは月ではないのか。太陽も月も、前の世界と一緒だな・・・・何か理由があるんだろうか。)


そんなことを考えていると、横にいるぱーちゃんがうとうとしだし、こてりと俺の方へ体重をかけてきた。

ぱーちゃんは、目を閉じたまま独り言のように言う。

「りっくん・・・・きれいだね・・・・・」

「うん、そうだね」


ぱーちゃんの、心底幸せそうな表情を見ていると、天文学だとかなんだとか、そんな小難しい事がどうでもよくなってくる。


(まぁ、今は別に考えなくていいか・・・・星が綺麗だなぁ・・・・・・)






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