突然、現れた人達
「じゃあ、いってくるね」
「いってらっしゃい」
朝ごはんの後、出掛けるために玄関に集まったアカリ達。家に残るルカがバタバタと忙しそうに準備をするヒカリとリリを見て微笑みながらアカリに返事をする
「掃除とか色々お願いね！」
「はいはい」
「おやつの用意もしててね」
二人の会話にヒカリが割って入るとの言葉にサクラが呆れたように、はぁ。とため息ついた
「いってきます」
一番最後に靴を履いたアカリが玄関の扉を閉めながらルカに手を振ると、ルカも手を振り返し、それを見てパタンと扉を閉じた。扉の向こうからヒカリとリリが何やら言い合う声が聞こえてきて、またサクラが、はぁ。とため息をついていると、ルカがサクラをぎゅっと抱きしめた
「さてと、キッチンのお片付けから始めようか。みんなが帰ってくるまでに、お掃除終わらしちゃお」
「それでね、お兄ちゃんとミナモ君がね……」
「何か言ったか？」
家から出た後、ユイとアカリの周りに忙しそうに歩く人達の中、楽しそうにのんびりと歩いて会話をしていると、二人の後ろから、突然声が聞こえて驚き振り向くと、疲れた顔をしたミツキがいた
「えっ、なんで……」
「お仕事終わりですか？」
「ああ。父さんは家にいるか？」
ミツキを見て苦笑いをしながら少し後退りをするアカリ。その側でニコニコと微笑みながらミツキに話しかけるユイに少し不機嫌そうな顔で返事をしながら二人に問いかけた
「いるけど眠っていると思うよ。お兄ちゃんもここの家で泊まるの？」
「いや、一旦戻る」
「そっか……」
ミツキとの会話でアカリが少し困った顔で返事をすると、ミツキが不思議そうに少し首をかしげた
「ミナモとモナカがまだ寝ているから、様子を見てほしいなって。ルカとサクラも家にいるけど一応心配だし……」
「それなら、一旦寄ってみる」
「ありがとー」
「じゃあな、二人とも気をつけてな」
「うん。気を付けるー」
「そうだ。アカリ」
アカリが元気よく答えて歩きだそうとした時、ミツキがアカリを呼び止めた
「あまり、今は本棚に無理はさせるなよ」
「えっ、なんで？」
「今、色々と忙しいからな」
そう言われて、ふと周りを見ると、さっきよりも人々が慌ただしく移動していた
「うん、わかった……」
と、アカリが言うと、ミツキが二人から背を向け歩きだし、すぐ人混みの中に姿が紛れ見えなくなった
「ヒカリ、しばらく本は書けないね」
「……嬉しそうね」
エヘヘと笑って言うアカリに不満そうなヒカリ。そんな二人の会話を聞ていたユイが、ちょっと困ったようにリリやアカリ達を見た
「でも、どうする？本棚に行く？」
「そうねぇ、受付が忙しいなら止めてといた方がいいかもね」
そうリリが言うと、アカリが何か思いついた顔をしてパンッと両手を叩いた
「じゃあ私達もお家戻りましょ。お菓子まだ残っていたし食べましょう」
「そうしよー。みんなでお菓子食べよう」
アカリの提案に、ユイがご機嫌で答える。そんな二人を少し呆れて見ているヒカリとリリ。すると、そんな四人を見つけた一人の女性が、少し申し訳なさそうな顔をして駆け寄ってきた
「お二人とも、これから予定が空いていますか？お手伝いお願いをお願いしたいのですが……」
