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アルとアルマ

おはようございます。

朝晩すっかり冷え込んできました。お身体に気をつけましょうね。

「とりあえずガンツォの親分んと行こうとおもうけど何からやりゃあいいんだ?」


「は?何も考えてないのかアル兄?」


「しょうがねぇだろ。考えるのはJとアサヒさんの仕事だぜ。俺は肉体労働派だ!」


 基本、勢いのアルは閃きはするものの細かく計画を立てる事は苦手なのだ。


「はぁ、脳味噌まで筋肉かよ。まぁいいや、頭んとこ行ったら、考えようぜ。」


「とは言え、Jからの指示がねぇ事にはしばらく具体的な事はできないんだよな。」


「まぁ、なにかしら出来る事はあるんじゃないの?それはそおと、ちゃんと稽古してんのか?アル兄」


「おう、もちろんだぜ!それよりそろそろ俺用の武器決めようぜ!!」


「そうだねぇ、頭にそれも相談すっか。」


 拠点作りを行う事にしたアルとアルマだったが、具体案はJからの指示を待つしかない事に気付き話題は別の方向になる二人だった。



 時を遡る事、魔族襲来直後、アルはアルマにある頼み事をしていた。


「おはようございます。アサヒさん」


「あれ?アルマ君どおしたの、こんな朝から」


「いえ、今回の件で頭をはじめ色々とアサヒさんにはご迷惑をかけてしまった事と、お力を貸して頂いたお礼に来ました。本来なら頭が来るのがスジですが、なにぶんあの怪我ですので、自分が代理で来ました。」


「そんなかしこまらなくていいよ。それにあれは俺達の件でもあったんだし。」


「いえ、そうゆう訳にはいきません。頭もそうですが、アサヒさんのお力添えが無かったら怪我人や下手をすれば死者も出ていたと思います。本当にありがとうございました。」


 アルマは子供達救出の翌日にチェン運送の店に朝早くに来ていた。そしてアサヒに礼をするのだった。


「頭からの言伝ですが、自分らでお役に立てる事があれば手伝わせて下さい。」


「いやいや、大丈夫だって。」


「それではこちらの気が収まりませんし、自分も頭に合わせる顔がありません。」


 アルマは何でもよいので手伝うと申し出るのだ。


「まぁ、いいんじゃないスか。人手は欲しいわけだし、力仕事なら大丈夫じゃないんスか?」


 顔を腫らしたアルが困惑するアサヒに告げる。


「う〜ん、そおだねぇ。街の修理やらの資材をあちこち配らないといけないからなぁ。それじゃあお願いしようかな。」


「ありがとうございます。お役に立って見せます。」


 両手をひざにつき、あたまを下げるアルマ、その姿は任侠の挨拶そのものだった。


「おいおい、ヤ○ザかよ。」


 そしてアルマはチェン運送に出入りする様になったのだ。ラノが居なくなり市場の作業の人材が不足していた為、アルマはピーターに連れられ市場での資材等の荷役作業を担当してもらう事になったのだ。


「まぁ、こんな感じで積み込みをお願いしたいっス。」


「了解だ、まかしときな。」


 アルマは要領がよく一日で作業を覚え、一週間たって即戦力として働けるのだった。


「すっかり運送業が板についてきたっスね!」


「だろ!結構向いてるかも俺。さてと、これで完了っと!」


「自分まだやる事あるんで、ここはもういいっスよ。」


「んじゃ店に戻るよ。」


 アルマは朝の仕事を終え積荷を乗せた鳥車で店に戻る。


「おつかれさまです。今日は東街でしたよね。」


「あぁ、頼むよ。」


「はい。」


「なぁ、ガンツォはまだ動けないみたいだね。」


「瓦礫の下敷きになってたんで、しょーがないですよ。」


「普通なら死んでると思うけどな。」


 アルマは毎日恒例になったニコルへの訪問に店に来る。そして復興祭の話題の後、アルはアルマとともに資材の配送に出掛ける。


「なぁアルマ、お前って剣術とか出来るのか?」


「そりゃあな。これでもガンツォ一家のナンバー2だぞ。なんでそんな事聞くんだ?」


「あぁ、今回の件は元はといえばうちの不手際が原因だ。というかアサヒさんが留守の時に俺がしっかりしてなかったのが悪い。しかも俺は一人で乗り込んで、心配と迷惑をかけただけで何も出来なかった。」


「よく分かってんじゃん。」


「うっせぇよ!だから、お前に頼みがあんだ!」


「だから何だよ。」


「俺はもっと強くなりてぇんだ。アサヒさんが居ない時でも皆んなを守れるくれぇに。」


「…そおか、確かにアサヒさんは強いよな。うちの頭と同じくらいにな…。何か任された時に代わりが務まる様にって事か。」


「そおゆう事だ。お前なんかに頼みたくはねぇけど、騎士団のマルコさんは忙しいし、お前しかいねぇからしょうがねぇだろ?」


「おいおい、人に物を頼む態度じゃないぞ。けど、嫌いじゃないよ、そおゆうの。」

「…よし分かった。仕事終わりに一緒に稽古するか!俺ももっと強くならないといけないからな。」


 アルマはマゼンダのアジトで情けない態度をした自分とアルを重ね合わせたのだった。

 そして、あの時のアサヒとガンツォを思い出し強い大人の男になりたいと願うアルと共に自分も強くなりたいと願うのだった。


「今日からアル兄って呼ばせてもらうよ。よろしくなアル兄!!」


「なんだよ、女にだけ馴れ馴れしいのかと思ってたが男にもかよ。好きにしろっ!」


 そしてこの日以来、二人の稽古が始まったのだった。



「アルマです、戻りました。」


「ちわっす!運送屋のアルでーす!」


「おう、どおした二人して?」


 珍しい二人組に少し驚いたガンツォが出迎える。


「昨日アサヒさんから話したとおりなんですけど、ガンツォの親分に折り入って相談がありまして。」


 今朝の話し合いで決まった方針をガンツォに話し、そして自分はフェイロン修理の為に拠点を作る事にしたのだが、その手伝いを頼むアルであった。


閲覧ありがとうございます。


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