復興そして
お盆でなかなか投稿できずすみません。
新しい章の復興祭編スタートです。ほのぼのが続きますのでしばらくお付き合いお願いします。
魔族襲来から一週間、町は未だ大きな傷跡を晒していた。
「ガンツォはまだ動けないみたいだね。」
「瓦礫の下敷きになってたんで、しょーがないですよ。」
「普通なら死んでると思うけどな。」
朝、チェン運送の店で、アサヒとアルそしてアルマが話しをしている。
「で、なんでお前はここにいるんだ?」
眉尻に絆創膏を貼ったアルが怪訝そうな顔でアルマに尋ねた。
「店の手伝いに来てんだよ!なんか文句あんのか?」
そこへニコルとネェルが飲み物を運んで来た。
「はい、どーぞ。」
「ニコルちゃ〜ん、おはよぉ♡」
「馴れ馴れしいんだよ、テメェ!!」
「うるせーよ!兄ちゃんにゃあ用はねーんだよ!!」
どうやら今回の件以来アルマはニコルにご執心の様で、この一週間、毎日店に足を運んでいたのだ。
始めはガンツォの近況報告と、アサヒに対してお礼として店の手伝いをすると言い、通って来ていたが、明らかにニコル目当てだったのだ。
「ところで、屋敷の方はいいのか?それにポルコだっけ?弟の具合も」
「屋敷は手下がやってますし、ポルコは次の日には目が覚めて、腕は折れてますけどピンピンしてますよ、頭と一緒で頑丈なんスよ。」
「そっか、なら良かったよ。」
「子供達も全員無事だったしね。」
「ほんとアサヒさんのおかげです、感謝しきれないっスよ。」
「誰かと違って頼りになります!!」
「あぁん!そりゃ誰の事言ってんだ!!」
「まぁまぁ、ケンカしないで二人とも。」
「はーい。」
ニコルが見かねて口を挟むと、アルマは素直に返事をするが、アルはアルマに噛み付く勢いで睨みつけている。
「私ねアルが帰って来てくれてホッとしたんだよ。」
アルを見つめそう言うと、
「アルマ君本当にありがとう。」
アルマの方に向き、その手を握り感謝を伝えるニコル。
「とんでもない!ニコルちゃんの為なら、お安い御用ってヤツ」
満面の笑みで返すアルマ、その向こうには先程と打って変わって、切ない様な申し訳ない様な顔でニコルを見つめるアル、忙しい男だ。
終わった事はもうよしと、アルマの手を離しニコルは次の話題を持ち出した。
「そーいえば、ゴメスさんの店はどーするんですかねー?」
その向こうでは男同士の睨み合いが続いているが、そんな事は放って置いて話しは進む
「腕をやられたからなぁ、しばらく店は開けられないって言ってたよ」
マゼンダの件が無事に終わりクバルに戻ったアサヒはアコやミゲルと共にゴメスのお見舞いに行ったのだった。
ゴメスは命に別状はなかったのだが、獣に噛まれた腕の傷は深く、完治には時間がかかる様であった。
「それならアサヒさんがお手伝いしてはどうですか?」
「そーっスよ、アサヒさんならよゆーで出来ますよ。」
店の入り口からJとピーターがやってきた。
「荷役作業は終わった?」
「OKっス。」
「んじゃ、今日も張り切って仕事するかね。」
それぞれ、自分の荷物をチェックし、配送に出かけるチェン運送の面々
「なぁアルちょっといいか?」
「はい?」
あの日地下のアジトでの出来事をアルはアサヒに話していた、しかしラノのその後は彼らには知る術はなかったのだ。
そしてあの現場にいたアルはラノを案じずにはいられなかった。
「ラノの事だけど、あいつはマゼンダとか言う組織に入ったのは間違いないんだよな?」
「えぇ、アイツらの会話じゃあ、そんな感じでした、ただ…」
「そーだな、アルの見た感じだと今頃どーなってるんだか…」
「だがそれもアイツが選んだ道、今更俺達にはどうにも出来ない事だ」
「そーっスけど…」
「皆で無事コロニーに帰ろうと言ったけど、仕方ないと思うしかないよ。冷たい言い方だが、俺たちはもう大人で自分で決める権利と責任がある、だからこれ以上ラノを探すのは辞める、アルもこれ以上探すのは辞めてくれ。」
「これは上司の俺の決定だ、俺は今一緒にいる仲間を優先したい。」
「……はい」
「すまん、全ての責任は俺にある。だが俺一人では何もできない。だからこれからもついて来てくれるか?」
「そりゃあもちろんです!俺はアサヒさんを責めようなんて思ってないっスから!!」
「ありがとう。これからもよろしく頼む」
アルに頭を下げるアサヒ、そんなアサヒにこれ以上心配を掛けさせないとアルは強く心に誓う。
そしてアサヒはこれ以上仲間を失わない様にと決意を新たにするのだった。
「さぁ、仕事だ。俺達の本来の目的を忘れるなよ。」
今回の件はクバルにとって非常に大きな出来事であった、それはアサヒ達にも同じでこの世界の現実をまざまざと突き付けられた思いであった、それと同時に彼らに強い決意と団結をもたらしたのだ。
ーーーーーーーー
「今回の魔族襲撃の件、騎士団並びに自警団の皆様大変ご苦労様でした、そしてありがとうございました。」
「まだまだしばらくは町の復興の為にご尽力をお願い致します。」
「騎士団として当然の事をしたまでです、これからは各門の警備を増やして町中への侵入を防げる様努力いたします。」
サマンサの言葉に騎士団団長オズワルドが答える。
「我々も自警団の人数を増やす方向で今話しを進めています、騎士団と協力して町の平和を守っていきます。」
自警団代表ブルーノも答える。
「いやぁ、今回は騎士団並びに自警団の見事な働きに私は感動致しました。元を正せば、私が標的でありましたし、私としましては復興のお手伝いをさせて頂きたいのですが、皆さんよろしいでしょうか?」
「よろしいも何も、ありがたいお話でございますよ、のう皆さん。」
その場の全員が頷く、役場の広間には町の有力者と騎士団並びに自警団の代表者、そしてレイモンドが集まって会合を行っていた。
それは町の復興計画を立てる為の会合で今後のクバル防衛も視野に入れた話し合いであった。
そんな中レイモンドからある提案が出されたのだ。
「今すぐにとは行きませんが、復興の暁には祭りを開催しては如何でしょうか?」
「いや、亡くなった方も居ますし、お祭り騒ぎはどうでしょうか?」
町の貴族の一人が意見を述べる。
「もちろんただの祭りではありません、期間は一週間で、近隣の町や村、もちろんキルマーの貴族も招待してはいかがでしょう。」
「開催中は色々なイベントを行い、たくさんの人々に復興のアピールをするのです。」
「チャリティーを行うのもよいでしょう、その寄付金を遺族や被害者への補償に充てさせて頂き、さらに開催期間中に訪れて頂く方々による宿泊業や商業への経済効果も期待できると思いませんか?」
「すばらしいアイデアですぞ!復興のアピールも合わせてより一層商業の発展に繋げるとは、さすがレイモンド卿ですなぁ。」
「もちろん、祭りの開催費用は一部ではありますが私が負担致します。」
レイモンドの提案は理にかなっていた、祭りの開催による経済効果は期待でき、落ち込みが危惧される商業への歯止めと対外へのアピールは効果的で、なにより直接被害にあった住民への補償は、常に財政難の行政には喉から手が出るメリットであった。
とは言え準備と宣伝費用や、何と言っても住民の賛同が得られるか等問題点はあるのだ。
「確かに、復興祭りのメリットはクバルにとって非常に大きいですね…」
「分かりました、その件は前向きに検討致しましょう。」
サマンサは祭りの開催を承諾するのだった、そして会合はレイモンドの提案を中心に進んでいく。
それは思わぬ方向へと向かい、彼らの予想を大きく上回り盛り上がっていくのだが、まだ誰も微塵も感じてはいなかった。
明日も投稿できたらしますんで、続けた閲覧いただけると幸いです。




