緊急会議
修正版です。
「「………。」」
サマンサの答えにアサヒ達は沈黙する他になかった。
「えっと…。」
アサヒ達は何を聞けば良いか分からず言い淀んでいるとピーターが口を開くのだった。
「あの、僕地球って初めてなんスけど国とかが名前を変えたんスかね?」
「はぁ?」
アルがつい間の抜けた声を出す。まるで見当違いな発言をするピーターにアサヒたちは苦笑いをするのだったが、サマンサは真面目な表情でそれに答えるのだった。
「あの、なんと申しましょうか…、私どもの国の歴史は少なくとも四百年はございますし、その間に国名も変わったという事はこざいませんよ。」
「ですよね〜。」
ニコルが仕方なく答えるが困り顔のサマンサにアサヒ達は苦笑いを返すしかなかった。だが先程までの深刻な空気がピーターのボケのおかげで若干ではあるが和むのだった。
「まぁとにかくご迷惑をお掛けしたのは事実でございますので、しばらくはゴメスの宿にお泊りください。お身体が回復して落ち着きましたら詳しいお話しをいたしましょう。」
「ありがとうございます。ご厚意に甘えさせて頂きます。」
今は体調の回復と現状把握が最優先と判断したアサヒはサマンサの申し出を受ける事にしたのだ。
「何か出来る事があればお手伝いさせていただきますので、ご遠慮なさらずにゴメスにおっしゃって下さいませ。」
そして一通りのあいさつを終えたサマンサ達が立ち去ったあと、部屋ではアサヒたちの話し合いが始まるのだった。
「えっとそれではチェン運送第一貨物課、緊急会議を始めたいと思います。先程のサマンサさんからのお話を伺って今後の方針を考えたいと思います。まずはアルバート君の意見から聞こうかな。」
アサヒは、いつもの会社での朝礼の様にその場を取り仕切っていく。
「いやぁ、まだなんとも言えないかなぁ…。」
「では、ジョセフ君。」
「そうですね。あまりにも現状の不明な点が多いので、まだ今後については今の時点では決めるのは早計でしょうね。」
「うん。確かに、とは言え何もしないわけにはいかないよな。」
「その通りですね。我々が今やれる事はこの場所の特定ですかね。」
「地球に降りたのはフェイロンの位置情報で間違いないはずだから、この場所の正確な位置だな。」
Jの発言に一同が納得するのだった。
しかし、その時ピーターが何か思いついた様な顔で皆に話しだす。
「あのちょっといいっスか!僕アニメで見てたんスけど、これって異世界召喚じゃないんスかね!?」
「うん、そーだね!!」
冷めた笑顔のニコルのツッコミが見事に決まるのだった。しかしピーターの発言に反応する人物がもう一人いたのだ。
「いやいや、一概に否定は出来んよ。」
Jが神妙な面持ちで呟くと、一同はJに注目するのだった。
「おい、どおゆう事だよ?」
アルがたまらずJに先を促す。
「我々のいる世界の物理法則は全てが解明されてるわけではないのですよ。そしてマルチバースと言ってこの世界は多元的だとも考えている研究者もいます。要するにピーターの言った異世界があっても不思議じゃないって事です。あくまで仮説ですが…、」
一同が固唾を飲んでJの話しを聞くのだが……、
「であるならばっ!!転生もののお約束のチートスキル的なものがあるはず!!」
「陰キャのキミにもオレtueeeeeー的なスキル付与、からのエルフ!半魔!妖精!メイド!銀髪!桃髪!青髪!まさに神!!そしてぇぇ憧れの魔法!!!!めくるめく異世界ライフ!ビバ異世界!ウェルカムトゥー異世界!あえて言おう異世界転生であるとォォォ!!!」
「えぇっまじっスか!?僕も魔法つかいたいっス!!」
『すごーい、私もまほうつかいたーい!でもまほうって何?』
完全に自分の世界に入り込んでしまったJとそれを間に受けたピーター、そしてネェル。馬鹿は放っておいてアサヒ、アル、ニコルは話を続けるのだった。
「まぁとにかく情報収集するしかないか。」
「そおですね。まずはこの街や国の事からですよね。」
「フェイロンのナビもGPSが使えないからなぁ……、あのゴメスっておっさんに色々聞いてみるか。」
「ついでに町の案内も頼んでみよう。」
アサヒとアル、ニコルにより今後の方針が決まり、今だ興奮しているJたちも連れてゴメスの元に向かう事になった。
「あ、ラノさん忘れてた。」
ニコルが思い出した様に呟く。
「いいよ、ほっとけば。」
「でも可哀想だから、ごはん持っていきますね。先に行って下さい。」
ニコルは朝食で出されたパンと飲み物を持ってラノの部屋に行く。そしてアサヒ達はゴメスを訪ね支配人室に向かう。
しばらく、こんな感じが続く予定です
そして、クバル編が終わったら、ちょっとだけ冒険感のあるストーリーを書く予定でおります
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