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そこは地球?②

修正版です


 アサヒは使い慣れたライドスーツを駆り、周囲を警戒しながら木々の合間を行く。


「それにしてもすごい森だな。北アメリカにこんな森がまだあったなんて……、地球の環境汚染は回復してるのか?」


 北に進路をとり目の前の森を進むアサヒははじめての大自然に感動と疑問を持つのだった。

 アサヒ達の時代の地球圏の状況では、地球には特権階級の一部の人間しか暮らしておらず、総人口の九割以上は宇宙空間にあるコロニーと呼ばれる人工物の島で暮らしていた。

 そのコロニーでは農業や工業等の生産活動を一手に引き受け、地球での生産活動は一切行われてはいなかったのだ。そのおかげで環境汚染や破壊は一応の終焉をみてはいたものの、目の前に広がる森林が復活し豊かな自然環境を取り戻しているなどとはいえなかったのだ。


 しばらく進むと高台になり、アサヒはそこにある大きな樹木に登るのだった。

 ライドスーツのスラスターをふかし、高さ20mはあろう木の枝に飛び乗ると、木々の向こうに大きな山脈が見えた。

 周囲の3Dデータをとり、彼方に見える山脈のデータを手持ちのマップと照らし合わせると、アサヒ達が居る場所のおおよその位置が把握できた。ちょうどその時アルから連絡が入るのだった。


「アサヒさん聴こえてます?とりあえず東に向かって進んでるですけど、地球って暑いんですね。それに虫や生き物がいっぱいで気持ち悪くて参っちゃいますよ。ほんとに金持ちは何がよくてこんなとこに住んでんですかね?」


「たしかに、コロニーのほうがよっぽど快適だよね。こっちは山脈を見つけておおよその位置はわかった。もう少しデータを集めたら戻るよ。帰ったらデータの分析して詳細の洗い出しをしよう。ところでラノからは連絡はあった?」


「いや、なんもないです。あの人バイクもまともに乗れないから、サボってんじゃないスか?」


「そだね。」


 時間になり、それぞれ貨物船にに戻って来た彼らはデータの分析を始めた。


「ラノ、お前全然データを取ってないじゃんか。なにやってんだよ?」


「おっさんに期待しても無駄っスよ」


「足場が悪くてなかなか…。」


「はぁまったく。もういいや、とにかく地図だな。アルは東ラノは西でオレが北と…。」

「現在地はここか。あれ?ここらは砂漠じゃないのか…、こんな森は無いはずだけど、」


 手持ちの地球のマップと集めたデータから詳細な位置の割り出しは出来たのだが、彼らの持つマップにある地理と実際は異なっていたのだ。


「お〜い、Jちょっと来てくれ。」


「はい、なんですか?」


 アサヒはクルーの中で一番知識のあるJにフェイロンの状態と地形データの意見を求めた。


「フェイロンの修理はどお?」


「ハード的に通信機とナビ系統は直しました。しかし機体制御系統はかなり傷んいるので手持ちの部品ではなんともなりませんね。それとおかしいのがGPSの反応がない事とネットワークがどれも繋がらない事ですかね。」


「まじか!フェイロン飛べないのかよ。」


 Jの返事にアルが残念な顔をするのだった。


「フェイロンはダメか。しかもネットワークが繋がらない…、森の中だし場所が悪いのかもね。まぁ仕方ないな。ところで、ちょっとこれ見てくれないか。Jはどう思う?」


「うん、着陸地点ですか?北アメリカ西部のこの地点…、ここら辺一体砂漠のはずです、おかしいですよ。」


「やっぱり、Jも同じ意見だね。」


 やはり彼らの知識にある地球の地理と現状のデータはかけ離れて違っていたのだ。

 そして彼らは話し合いの結果、一番近くの都市に向かうことを決める。まずは移動の準備と、これまでの疲れを癒す為にこの場所で休息をとり、明日出発することにしたのだった。


 焚き火を囲み簡易食料を食べながら、一同は今日の出来事を話していた。


「今日は散々だったよな。てか襲ってきたヤツらはなんだったんだ?テロリストにしちゃアームズの新型いたし。それにあの兵器の所為でこんなとこに飛ばされたってことだよな?」


 彼らがこの地球に不時着する事になったのは、仕事中に紛争に巻き込まれてしまい、そこでアームズと呼ばれる全高10m程の人型兵器に襲われ、戦闘宙域から離脱していた最中に新型兵器の暴威に晒されたのが原因だったのだ。


「そうですね。襲撃の規模はかなり大きそうでしたしテロではなく戦争が始まったという感じでしたね。逃げるときに見た彼らの船やアームズは軍隊規模のものでしたね。」


「あのバリバリ、ギューンってエネルギー砲も何だったんスかね?」


「とりあえず分かってるのは、この何年かで世界情勢はかなり危うい事になってたってのと、どこぞのアホが引き鉄を引いたって事。それと俺たちの荷物が兵器とヒューマノイドだったって事くらいだな。」


「もしかして、ネェルちゃんを運んでたって事っスか?」


「そもそもアサヒさんとネェルちゃんて、どういう関係なんスか?」


「う〜んと、みんなオレが元アームズパイロットなのは知ってるよな。で、そのアームズの管制AIがネェルで、簡単に説明すると色々あって今、このボディに入ってるわけなんだよね。」


「いやいや、その色々が重要じゃないっスか!」


「だよね。えっと、どこから話せばいいんだろ?」



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