光の先へ
修正版です。
宇宙編最後となります。
二体のアームズは高速で移動しながら戦場を駆け巡る。ときに彼らの軌道付近の機体や艦艇を巻き込みながら激しい戦闘を繰り返すのだった。
そして二体は連合軍旗艦ラングレーに近づく。
「敵機及び友軍機が接近、継戦中!」
「おい!防衛隊は何をしている!?あの新型もたった一機のアームズに何を手こずっておるのだ!さっさと追い払えっ!!」
左右のカタパルトにそれぞれ降り立った二機はマシンガンを放ちながら飛び立つ。マナートはラングレーを盾に使い、焔の死角から攻撃を仕掛ける。
「対空防御は何をしている!とにかく撃ちまくって追い払えっ!!」
「ですが味方機にも被弾しますっ!」
「構うなっ!ラングレーが墜されたら連合は終わるぞっ!!」
旗艦ラングレーの付近で攻防を繰り広げる二機。撃ち放たれる弾幕を気にせず避け剣戟を交わし、二機が撃つマシンガンの弾幕がラングレーのブリッジを掠める。
先程の戦闘で僚艦やアームズが墜とされていく情景と、ブリッジの目前で繰り広げられる二機の戦闘はあまりにも激しく、ドナルドは常識を著しく外れた二機の戦いに戦慄を覚えるのだった。そして、それは彼を凶行に走らせる。彼は通信士にケラウノスとの通信を繋がせる。
「おいっ!ブラックホールキャノンの準備はどうなっている!?」
「制御が不安定で稼働させるのは危険だと言っております!」
「構わん!こんなところでやられるわけにはいかん!!発射準備を進めろ!!」
「はっ!」
その少し前、連合部隊に監視され身動きが取れなかったチェン運送のクルーたちも異変を感じていた。
「なぁ、なんか連合ヤバくないか?」
「そうですね。先程まで監視で居たアームズも彼方に行ってしまいましたし、戦況は随分と変わったと見てよいでしょうね。」
アルとJは連合の動きを感じとり状況の変化に何やら考え出していた。
そしてニコルはアサヒの無事を祈るのだった。
「アサヒさん大丈夫ですかねぇ?」
「戦闘正面はもうこっちじゃないみたいだな。連合の監視はもう無いし、アサヒさん探してさっさと逃げたほうが良さそうだな。」
連合が不利になりつつある状況を感じとったアルはこの隙に離脱するつもりだったのだ。それにJも同意する。
「ですね。まぁなんにせよ、まずはアサヒさんを見つけなければいけませんがね。」
「そっスよ。多分まだ戦ってんスよね。」
「アサヒさんを置いてけるわけにはいかねぇな。サクッと見つけて逃げよぉぜ。」
「大人しくこんなとこに居ても仕方ありませんからね〜。そおと決まったら行きましょう!」
ニコルの掛け声にクルー達は動き出す。そしてアサヒを探す為にアルはフェイロンのスロットルレバーを引くのだった。
一方、ケラウノスではBH砲の準備が進んでいた。弾頭となる反物質の生成と共にフィールドの展開も不安定ながら形成されつつあったのだ。
「おい、まだ発射準備はできんのか!?」
ラングレーのドナルドはケラウノスからの連絡が遅い事に苛立ちを露わにしていた。
「はっ!現在フィールド展開50%、反物質60%生成、あと3分程で発射可能になります。」
「よし!ヤツらの旗艦の座標を測定しろっ!ACF共め、我が艦隊の力を見せつけてくれるわ!!」
アサヒを探すアル達は戦場をフェイロンで疾る。そしてレーダーに高速で移動する機体を捕捉するのだった。
「アサヒさんの識別見つけました。高速で移動中、多分戦闘してます!」
「通信は繋がるか?」
「早すぎてこの距離じゃ無理です。もっと近付かないとっ!」
フェイロンは戦闘が続くラングレーとケラウノスの二艦の間をすり抜けるとその先で戦う焔とマナートを目指す。そしてジンのマナートとの苛烈な戦闘の最中、焔のコクピットに通信が入るのだった。
『ねぇアサヒさん。フェイロンから通信だよ。』
「アサヒさんっ聞こえますか!?隙を見て離脱しますよ!」
「お前たち無事だったか!だが今は余裕がない、お前たちだけでも逃げろ!!」
「アサヒさんを置いてくわけにはいかないっスよ!信号弾をありったけ撃ち込むんで、その隙に離脱してください!」
アル達の申し出に胸が熱くなる感覚を感じながら、レーダーに映るフェイロンの光点を見たアサヒは作戦を思い付くのだった。
「わかった!!俺に考えがある!お前たちは最大スピードで俺たちに向かって来てくれ。合図を送るからそれに合わせて撃ってくれ!」
「了解!!」
焔とマナートはラングレーと離れた場所で戦っていた。焔は自分達の戦闘に味方を巻き込まない様に距離をとっていたのだ。しかしアサヒふ機体を再びラングレー方面に転進させ猛スピードで逃げる。マナートはピタリと追尾してくるのだった。
方やフェイロンは向かってくる二体の座標に合わせ最大スピードで焔とマナートに突っ込んでいくのだった。
「今だ!撃て!!」
接触する寸前にアサヒから通信がフェイロンに入る。それに合わせアルは合計6発の信号弾を発射した。
高速で移動する二体のアームズの鼻先に信号弾の爆発と共に色鮮やかな閃光が漆黒の空間に広がっていく。
突然の閃光にマナートは急制動をする他なかった。
「うおぅっ!!くっそ、なんだ!?」
マナートのモニターはハレーションをおこし瞬間視界を失ってしまうのだった。防眩処理の施されたバイザーではあったがもろに光を捉えたジンもモニター同様に数秒ではあるが視力を奪われていた。それは焔を見失う結果となったのだった。
「タイミングばっちりだ!アル、このまま全速で逃げるぞ!!」
信号弾の閃光の中、焔は急ターンしフェイロンと共に、その場を離脱していくのだった。
ジンがアサヒを見失っている頃、ケラウノスは最新兵器の発射準備に追われていた。
「おい!BHキャノンはまだか!?」
「反物質100%生成完了、フィールド未だ60%です」
「何を手間取っている!?構わん、発射するぞ!!」
「ですが、まだ準備がっ…」
「うるさいっ!さっさと撃つんだ!!」
すでに敵艦隊の座標を捕捉したBHキャノンがフィールド未展開のまま発射段階に入る。
その身の内に膨大なエネルギーを蓄えた凶暴な兵器が咆哮をあげるのを今や遅しと待ち構えるのだった。
「ガッハッハッハー!!連合、いや我が艦隊の恐ろしさを思い知らせてやる!!」
「照準座標よし!エネルギー充填臨界、発射準備よし!!」
「いよぉし!発射だ!!」
反物質を撃ち出すエネルギーが砲身を震わせる。そして生成された亜光速の弾頭が敵旗艦に向かって疾る。その解放による対消滅は中心の物質は跡形無くその存在を消し、そのエネルギーは周りの物体をことごとく瓦礫と化すはずだった。
しかし発射と同時に不完全なフィールドは崩壊し、暴走したエネルギーと光の放流は砲身とケラウノスの存在を一瞬で消し飛ばすのだった。
「なんだ!?何がーー」
最後の言葉を発することも出来ずにドナルドをはじめクルー達は跡形なく消える。そして爆発し瓦解するラングレーに追い討ちをかける様に更なるエネルギーがその存在を消し去っていく。
それでもなお衰えない破壊のエネルギーがアサヒたちに襲い掛かろうと背後から迫る。
『超高エネルギー感知、反物質フィールド最大出力で展開するよっ!』
「うわっ!?」
白く眩い光に飲み込まれた焔とフェイロン。その時アサヒとクルー達が知覚できたのは完全なる闇。それは宇宙とはまったく異なり星の瞬きも自分の鼓動すら感じられない閉ざされた空間であった。
『超高エネルギー量測定不能、解析、フィールド周波数調整、対消滅完了時間測定不能、外部リンク途絶、演算、フィールド維持の為学習モード停止、省エネ状態ニ移行シマス………。』
どれだけの時間が経過したのか。
それとも刹那の出来事だったのか。
唐突に闇が終わる。
「えっ!?何が起きた?」
コクピットのアルが訳も分からず、周囲をキョロキョロと見渡す。
「アル、前見てアサヒさんの機体っ!」
「アサヒさん無事だったんスねっ!」
「とにかくあの機体とアサヒさんを回収しないといけませんね。」
「てか、アレはなんだ?」
焔の漂う宇宙空間の先には、青と緑に彩られた綺麗に輝く惑星が灰色の衛星と共に目前に雄大な姿を表しているのだった。
宇宙編修正版いかがでしたか?
SF色を強くしましたがお好みになりましたでしょうか?
皆様閲覧ありがとうございます。
今後も修正をする予定でおりますので、引き続きお付き合いよろしくお願いいたします。




