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そこは地球?①

修正版です

 


1 そこは地球?


 科学技術が進歩した未来、人類は古い神々の時代に別れをつげ、新しい歴史の主人公となるべく広大な宇宙にその生活圏を広げていった。

 彼らは苛酷な環境に耐え抜く為、自らの身体を進化させ、より強固な生物となって未知なる領域に飛び出して行ったのである。

 しかし新たな時代を迎えた彼らだったが抱える幾多の問題は変わらず、依然根深く人類の中にその影を落としていた。



 命を拒絶する虚空、そこに散らばる無数の星の煌めき、宇宙はいつもと変わらず淡々と時を刻んでいた。

 刹那、空間の歪みと共に走る放電の光、その瞬間彼らは現れた。

 眼下に広がる深い紺色と濃密な緑に覆われた惑星、彼らが初めて目にしたそれは地球という。



 アサヒは連合軍パイロットとして闘う日々を過ごしていた。そんな中、彼の妻がテロに巻き込まれ死亡してしまう。

 失意の中、軍をやめ民間企業に就職した彼は戦いとは無縁な日々を送るのだった。

 しかし、アサヒはその経歴を買われ荷物の運送や、それに伴う護衛を務める事もあり多忙な毎日を過ごしていた。

 運送業務に携わり十年、ベテランのアサヒはいつもと同様、会社の仲間達と業務をこなしていたのだ。しかし様々な出来事に巻き込まれ、予期せぬ問題に対応した結果、現在にいたるのだった。



 激しい揺れと、けたたましく鳴り響くアラーム、そしてあちこち悲鳴をあげる船体。


「よっしゃ!大気圏を抜けたぜ。着陸態勢にはいるぞ!」


 灼熱の見えない壁を抜けた貨物船は、白い雲を突き破り空に降りてくる。

 その眼下の大地は所々茶色の土と果てなく続く緑の森林に覆われていた。そしてその光景は彼らを優しく包み込む様な錯覚を起こすのだった。


「もうすぐ地表だ!」

「スラスターリバース!衝撃来るぞっ!!」


 プラズマエンジンが唸りを上げ、逆噴射の制動が船体を軋ませる。

 過度の負荷による圧力は、戦闘によるダメージを船体により深く刻みつけていく。


「正面向かって一時の方向に空き地確認っ!」


 幸いな事に、進行方向に縦に長く続く草原地帯を見つけると、あちこちガタが来た機体をなんとか接地体勢にする。

 そして貨物船の巨体は地表を抉り取りながら、大地に長い着陸痕を付けるのだった。


「く〜痛った、お〜い皆んな無事かぁ?」


 貨物船のキャプテンを務めるアサヒがクルー達に訊ねる。


「なんとか〜。」


「本気でやばかった。ネェルちゃんのサポートなかったらどうなってたかわかんなかったぜ。」


『役に立ってよかった。アルさんもとっても上手でしたよ。』


「うっす!」

「それより、なんだここ?」


 パイロットのアルはコクピットからの眺めを見て疑問を口にした。なぜなら彼らは地球に降りたはずであった。

 コロニー育ちの彼らからすると、地球は教科書に載っている遠い惑星で、我々人類が誕生した場所、そして今は金持ちのみが暮らしている高級な土地くらいの認識だったのだ。

 そう、彼らの中に本当の地球を知る者はいないのだ。彼らの知識の中の地球は環境破壊が進み、自然はごく少なくなっており緑と共

に暮らせる土地は限られていた。それ故に一部の資産家や為政者が自身のステータス誇示の為に数少ない自然の残る土地に暮らすだけの惑星となっていたのだ。

 彼らが地球に降下する際に足下に広がっていた豊かな森などは、そこにあるはずがなかったのだ。


「俺達はどこらへんに着陸したんだ?」


 アルの問いに、アサヒも外の風景を見てつい独り言ちてしまうのだった。


「……どこなんスかね?」


『えっと、ここは北アメリカ大陸西部だよ。』


 ヒューマノイドのネェルがコクピットの計器類を操作して着陸地点の座標を答えた。


「アメリカか……、う〜ん。まぁとりあえず降りてみるか?」


「大気チェック…、有害物質無し、OKっス。少し酸素濃度が高いけど問題は無いっスね。」


 不時着の衝撃で船首を地面にめり込ませた貨物船フェイロンの船尾のカーゴハッチが開くと、アサヒ達は初めての地球に降り立った。


「なんか匂うっスね…。」


「うおっ、すっげぇデカい木だぜ!こんなのコロニーじゃ見たことないよなぁ!」


「空気が重い、湿度が高い様ですね。身体にまとわりついてくる感じがします」


「わ〜、すご〜い!植物いっぱいですよぉ。」


「……。」


 アサヒ達は一様に感動するのだった。

 コロニーの造られた環境からすれば、ありのままの自然と無造作の景観はある種の神秘性を彼らに見せるのだった。


 思い起こすこと二時間前、死を覚悟させる出来事の後、気が付いたら地球付近に飛ばされた彼らは貨物船の不具合により不時着を余儀なくされたのだった。

 しかし、彼らは自分達に何が起こったのか皆目理解できないでいたのだ。

 だが、何もせずに時間が過ぎるのをただ待っていても仕方がなく、彼らは今できる事をするべく行動に移るのだ。


「まじかぁ、フェイロンボロボロだなぁ。とりあえずエンジンは動くけど、ナビと通信機は反応しないか……。」


「エンジン生きてるなら救難信号は出せるよな。どっかの軍が見つけてくれればありがたいんだけどな。とにかくJは船体の確認と修理を頼む、やるだけやってくれ。」


「はい、やってみます。」


「ニコルとピーター、それにネェルはJのサポートしてくれ、俺たちは辺りを探索してくる。」


「「はいっ。」」


 アサヒは貨物船クルーのJ、ニコル、ピーターそしてネェルに船体の状況確認、修理を頼む。


「アル、ラノ、とりあえず手分けしてこの周辺の調査するぞ。着陸地点をセットして、データどりな。オレは高台からここら辺を探ってくるから、二人は一時間後に戻って来てくれ。」


 そしてアサヒは、パイロットのアル、貨物船クルーのラノと共に周囲の探索に行くのだった。彼らはサバイバルキットに現在地のセットをすることで移動時のログを記録し、それと高所から地形の3Dデータを集め簡易の地図を作成するつもりなのだ。


「ライドスーツを出すぞ。」


「はい。俺とアサヒさんですよね。おっさんはどうするんスか?」


「ラノはバイクくらい乗れるよね?」


「あ〜、いちおう…。」


 フェイロンの貨物室にライドスーツと呼ばれる作業用ロボットが二体あり、普段の彼らはこのライドスーツを使って荷役作業を行っていた。

 無重力はもちろん重力下でも使えるライドスーツは、彼らの時代ではごく一般的な道具で生活のいたるところで使われていたのだ。

 アサヒとアルはライドスーツのハンガーフックを外しエンジンをかける。モーターが駆動の音をあげ全高3mの人型が動きだす。


「アルは東、ラノは西、俺は北と高いとこから目標物と3Dデータをとってくる。で、一時間後にここに集合な。二人ともくれぐれも気をつけるんだぞ。」


「おっす!」


「はい。」


 貨物室から出た彼らはそれぞれ東、西、北と別れて探索を始める。


「さてと、俺も行くとするか。」


 アルとラノを見送ったアサヒも北を目指し動きだすのだった。


 

はじめまして、覚醒おやじSと申します

処女作初投稿となります、皆様に楽しんでいただけたら幸いです

誤字脱字、乱文などあると思いますが、生暖かく見守っていただけるとありがたいです

しばらくはSFロボット風味ですが、そのうちファンタジー要素が出ますので、ジャンル違いじゃねーか!!と憤慨されずにお付き合いをお願いいたします


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