生きることが死ぬほど辛い人へ
生きることが死ぬほど辛い人へ
著 大和田大和
私たちはみんな自分が成功できると思っていた。
特別で代替できない唯一の誰かになれると頑張っていた。
私たちはみんな自分が大好きだった。
みんな自分が誇らしかった。
だけどもうそんな気持ちどこかへ消えてしまった。
大人になった今、私たちが考えることといえば、ネガティブなことだけ。
育った環境と辛かった過去を憎み続け
どうにもならないことで苦しみ続けて
自分を傷つけたあいつのことを許せず
自分の至らない点を減点方式で数え
生きていても幸福を感じられない。
毎日毎日我慢と、辛抱の連続。
人生がまるで仕事のよう。
ちっとも楽しくない勉強をして、
行きたくもない学校に行って、
やりたくない仕事をやらされる。
あんまり好きでもない相手と妥協して結婚し、
大して欲しくもない子供を、親に見せるためだけに作る。
一緒にいたくないような嫌な奴と一緒に過ごし、
世間体を保つためだけに生活をする。
そんなことをしないと、私たちは誰からも認めてもらえなかった。誰からも愛してもらえなかった。
ありのままの私ではダメなんだ。
『もっと頑張らないと! もっと努力しないと! あいつに勝たないと!
頑張らない私はダメなんだ。頑張らないと価値がないんだ。頑張るしかないんだ』
私たちはいつも心をすり減らし、自分を騙し騙し生きている。
ボロボロになりながら心を殺し、感情を踏み潰し、悲鳴を喉の奥に閉じ込める。
そんな時私たちは、いつもいつも自分に言い聞かせる。
「これが普通だ」「辛いのが人生だ」「苦しむのは当たり前だ」「私なら頑張れる」「私なら耐えられる」「泣くな! 泣くな! 泣くな! 泣くな!」
だけど、涙を止めることは簡単なことではなかった。
「泣くのは弱い人間だ! 苦しくても泣くな! 泣いたらダメだ! 泣くな……」
そう言いながら、何度泣いたかもう覚えていない。
笑顔なんて数えるほどしかなかった。なのに、泣き顔なんて数え切れないほど見た。
もう生きるのをやめたい。もう前に進みたくない。もう辛い思いはしたくない。
私たちがそんなことを言うと、
『甘えるな』、『逃げるな』
と、容赦無い怒号が飛んでくる。弱り切ったボロボロの人間に対して、手加減も慈悲も一切ない。
私だって頑張っている。こんなに一生懸命頑張っているのに。こんなに苦しんでいるのに。
私だって誰かの役に立ちたい。私だって人に感謝されたい。こんな私にだってできることがあると感じたい。
ただ一言、『君は頑張っている』そう言ってもらえたらいい。それなのに、そんなことを言ってくれる人は、ただの一人もいなかった。
「こんなはずじゃなかったんだ……」
考えても無駄だとわかっていながら、自分の人生を自分で呪ってしまう。
気づけば自分のことが大嫌いになってしまっていた。
頑張りを認めてくれない世の中も大嫌い。
どいつもこいつも憎くて、嫉妬が止まらない。
やめたほうがいいとわかっているのに、自分とネットの中の誰かを比べずにはいられない。
他人の幸せそうな人生を見て、自分が惨めでちっぽけな存在に見えてしまう。
「やり直したい……やり直したい……」
何度も何度も心の中で呟いた。
でもどうしても勇気を出すことができない。
私たちが勇気を出して一歩を踏み出せないのは、失敗するのが怖いから。
一歩を永遠に踏み出さなければ、永遠にチャンスがあるような気がするから。
失敗してしまうのが、怖く(・)て(・)怖く(・)て(・)仕方が(・)な(・)い(・)。
『一歩を踏み出さないから、成功していないだけ。一歩を踏み出せば、すぐに成功できる』
そんな言い訳をするために……ずっと一歩を踏み出せない………………
もしあなたが今、辛くて辛くて仕方がないなら、ちょっと肩の重りを減らしましょう。
これだけ頑張って来たんですから、ちょっとくらい背負っているモノを道端に捨てても大丈夫です。
あなたが、
親からの期待・ライバルとの比較癖に悩み、人生をリセットしたいと考えているのなら、
少し考え方を変えてみませんか?
あなたが応えるべきなのは、親からの期待ではありません。
応えるべきのは……あなた自身への期待にだけ。
あなたが比べるべきなのは、会ったこともないネット上の誰かではありません。
比べるべきのは……過去の自分だけ。
あなたがまず最初に幸福にすべきなのは、親でも配偶者でも子供でもありません。
最初に幸福にする相手は……あなた自身。
あなたが持つべきは、苦痛を耐え抜く勇気じゃありません。
持つべきは……幸せになる勇気。
あなたがやるべきことは、人生のリセットではありません。
今からその人生を変えることです。
断言します、今からでも間に合います。
一切の例外はありません。
絶対に輪をかけて、百パーセント言い切れます。
作家生命を全部賭けていいです。
命を賭けても構いません。
あなたは変われます。
今からでも遅くないです。