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コンビニの店員さんは私と同じく、マスクを買いに来たと言っていた。大方、美琴から聞いた話に興味を持って……と言ったところだろうか。
マスクを買いに行くという名目で件の魔法少女とやらの探索も兼ねていたのかもしれない。流石にこの時間の外出は許されていないだろうし、恐らくはこっそり抜け出して来たんだろう。
全く、困ったおてんば娘だ。実在する筈のない魔法少女なんかよりも、人間の悪意の方がよっぽど怖いと思うが。何でそれがわからないんだろうか……。
少しの苛立ちを感じながら、見付けたらお説教でもしてやろうかと足を早めた。
しばらく進むと、車両が通れるか通れないかぐらいの狭い路地裏があり、街灯に照らされた二つの人影を見付けた。あれはいつもの見慣れた車椅子。藤花だ。
もう一人は、誰だ?
「藤花、こんなとこで何してんの」
「…………」
「藤花!!」
近付きながら声をかけるが、反応がない。様子がおかしい。何か、良くない事が起こっている。
二人の近くまで辿り着き、もう片方の人影を見据えた。
それは黒いフードを被っていて、はっきりと顔は見えなかったが、確かにその風貌は少女だった。そして、理解する。
考え得る中でも最悪のカードを引き当ててしまったのだと。
魔法少女……。あの噂は本当だったのか?