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___放課後
「夜は危ないから出歩いちゃ駄目だよ~。魔法少女に襲われるかも」なんてふざけたていで軽口を叩く美琴と別れ、藤花と二人帰路につく。
「魔法少女、かぁ……」
ぽつりと藤花が口を開く。
あの話を聞いてからなんだか上の空だったようだが、やはり惹かれるものがあったのだろうか。
「美琴の妄言も困ったもんだよ」
「夢があっていいじゃないの」
「人を襲う魔法少女に夢もへったくれもないと思うけど」
「まぁ、そうよね……」
そうなのだ。魔法少女だかなんだか知らないが、人様に迷惑をかけてはならない。魔法少女だって広義では人間の筈だ。人間であるなら、人間界の常識やルールは守るべきだ。
暫しの沈黙の後、また藤花が口を開いた。
「ねぇ、玖音」
「ん」
「玖音はもし魔法が使えるとしたら、何を願う?」
それは答えるまでもないけれど。
「決まってるでしょ。藤花の足を治すよ」
「……そっか」
「藤花も同じでしょ」
「まぁ、それもあるけど」
「えっ?」
それ以外に何があるのか。
「じゃあ、……なんなの」
「秘密」
抑揚の無い声で彼女はそう言った。藤花とは小さい頃からの幼馴染みだけど、彼女が何を思い何を考えているのか、私は未だにわからない。