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昼食を食べ終え、気になってる事をまた質問する事にする。
「三日月が魔法少女になったのはいつから?そもそも、この戦いがいつから始まったのか知らないんだけど」
「2週間前です。戦いが始まったのは……」
「『マギア・オルター』が始まったのも同時期だ」
ジェノが言葉を引き継ぐ
「『マギア・オルター』、つまり魔の祭壇という意味だが、この戦いの事をそう呼称している。後で聞かれるのも面倒だから今説明しとくぞ」
私は頷く。
「マギア・オルターの開催地はその時々の情勢で質が高い魔法少女が生まれやすい場所が選ばれるんだが、今回はここ日本がそうだった。お前らみたいな現代社会の闇がうじゃうじゃいるから選ばれたんだろうな」
どうやらこの妖精は皮肉を言わないと気が済まない性格らしい。また三日月に躾られそうだが……。
「妖精は魔力の素質が高そうな人間を魔法で大体見分ける事が出来る。それで使えそうな奴を発見したら、交渉して魔法少女になってもらう訳だ。数は厳密に決まっている訳じゃないが、一回のマギア・オルターで約30人程度の魔法少女が生まれる。期限は決まってる訳じゃないが、妖精界のマナの事もあるからなるべく早い方がいい。よって、選定が完了するのは開始から一週間ぐらいが目安になる。勿論例外もあるが……玖音、お前と雨宮はそのパターンだな」
「最初の一週間で藤花が選ばれなかったのは何で?私は元々素質無かったみたいだからわかるけど、藤花は魔法少女として凄いんでしょ?」
「魔法も広範囲で探せるほど万能じゃないし、妖精の数にも限りはあるからな。見逃してても不思議じゃないさ。ククク、それでも最終的には選定されてるんだから、やはりそういう運命だったんだろうよ」
運命……その言葉は嫌いだ。何でもかんでも運命という簡単な言葉で済まされたくない。藤花の事故だって、運命の一言で片付けるには軽すぎるから。
「マギア・オルターが開始したら魔法少女は魔力探知の魔法を使って他の魔法少女探し出し、見付けたら殺し合いが始まる。さっきも言った通り、探知魔法は広範囲では効き目が薄いから結局移動しながらという感じになるのが基本なんだがな」
「それで私も探知されたのか……」
嫌な記憶が脳裏を過る。
「なんだ……探知魔法についてはもっと早く説明しとけば良かったな。すまん」
どうやらジェノは母さんが殺された事を気にしているらしかった。そういう一面も持ってるのが意外だった。
「いいよ。結果論に過ぎないと思う。母さんの顔を見てから出発したかったのも事実だし、私が悪いんだ」
「玖音さん……」
「もう大丈夫。落ち込んでても仕方ない。私は今出来る事をやりたい」
虚勢かもしれないが、今はそれで良かった。落ち込んでる暇など、無いと思うから。
「これからどうしますか?」
「ジェノ、まだ藤花の追跡は出来る?」
「………………あぁ、出来るな。あいつの魔力がデカいからだ。ここから遠いが、東の方から感じる。ドンパチやってやがるんじゃねーか?」
あのお嬢様は、人が落ち込んでる時に……。藤花らしいと言えば、らしいか。彼女に会いたい。会ってどうなるのか分からないが、無性に会いたい。大切な人をもう失いたくない。
「わかった。私は行くけど……三日月はどうする?」
「私も一緒に行きますよ。玖音さんが死なないように監視しないといけないから」
「……心強いよ」
監視というワードに多少の不穏さを感じずにはいられないが。後ろに道は無くなった。少し怖いが可憐な、謎めいた仲間が出来て、死ねなくなった。真の魔法を手に入れて、母さんを生き返らせる為、死ねなくなった。未だ癒えない心の傷を無理矢理押し込め、拳を握り再度決心する。
「よし、行こう。馬鹿やってる親友の目を覚ましにいく」
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