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「今まで搬送された人が倒れていたのは全部屋外で、時間帯は夜。ネットの書き込みによると倒れた人の傍らには少女らしき人影が。シルエットや体格が少女だったんだって。勿論夜だからはっきりとは見えなかったみたいなんだけど」
「何でそれが魔法少女?」
「その少女は宙に浮いたらしいんだよ」
「……は?」
「で、そのまま飛んで去ってしまったと。そういう訳」
「…………」
「それとは別に、少女が男性に手をかざしたら、辺り一体が光ってその男性がそのまま倒れてしまった、なんて目撃情報もある」
「……馬鹿馬鹿しい」
「確かに、ネットの情報だから全部信用は出来ないんだけどさ。でも、現在の時点で運ばれた人の数は6人。それなのに事件性はないって報道になってるのはいくらなんでもおかしいと思わない?政府の方にも同じ情報が回っていて、だけど魔法少女なんて非現実的なものを認める事は出来ないし、混乱を防ぐ為にも今みたいな報道になってるって訳。大々的に報じられてないのが情報規制されてる証拠なの」
「美琴探偵のオカルト名推理もここまでくると大したもんだね」
「ちょっと!オカルトじゃないかもしれないじゃーん!」
「真面目に聞いて損したよ、私は」
「せっかく話したのに酷いなおい!」
お弁当を食べながら横目でちらっと藤花の方を見てみると、何やら考えこんでいるようだった。
美琴のこんな与太話に付き合う必要なんてないのに……。
昼休みが終わり、気だるい午後の授業を受けながら微睡んでいる。美琴のようにあからさまに堂々と寝たりはしないが、やはりお昼を食べ終わった後のこの時間帯は眠いのだ。
しかし、魔法少女、か……。ぼんやりとした頭で考える。
あの噂の真偽は別にして、魔法少女って人を襲うものなのかな。漫画やアニメで見るそれのイメージとはかけ離れていて、なんだかそれだけが腑に落ちなかった。