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「父さんは居なくなった。母さんも死んだ。大切な友達も足を奪われ、母さんを殺した奴も、私が殺して死んで逝った。私に関わったから。私のせいだから。だからもう、生きたくないんだ」
「それでも……それでも死なないで。私はあなたに死んで欲しくない……」
「次は君まで巻き込むかもしれない。それは……嫌だよ」
「死にません。約束します。だから、玖音さんも死んじゃ駄目です。お母様が死んだのは玖音さんのせいなんかじゃない。そんなの詭弁です、逃げです。お願いだから、自分を卑下しないで。あなたはそんな人間じゃない。どんな時だって前を向いて諦めない、心の強い人です」
いつの間にか、自分でも気付かない内に涙が零れていた。何の涙だろうか。何で泣いているんだろう。どこから溢れて出てくるんだろう。私はもう、空っぽの筈なのに。
「君に……私の何がわかるの」
「……わかりますよ。あなたが、他人の為に命を投げ出せる優しい人だという事を」
「私は、私は…………」
「まだ、やり残した事があるんですよね?じゃあ、立ち止まったら駄目なはずです」
彼女が私から離れ、視線が交錯する。透き通るような黒紫の瞳は、吸い込まれそうな程に綺麗だった。
「生きていても、いいのかな」
「例え世界中の人が駄目だと言っても、私だけは生きて下さい、と言います」
「……何でそんなに庇ってくれるの」
「さぁ……何ででしょうね?」
三日月に出会ってから、初めて彼女は微笑んだ。小悪魔のように悪戯っぽく。私は涙を拭う。
「まだ死にたいって言ったら……?」
「そこのベッドに拘束して文字通り死ぬまで監禁します」
「それは……勘弁だな」
彼女は微笑む。天使なんかじゃない、やはり小悪魔だ。だって、こんな私にまだ生きろと言うのだから。




