表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法少女BLOOD  作者: 佐月雨
第5夜 月蝕
45/50

5

「そういや、妖精は知らない? 一緒に居たと思うんだけど」


「あぁ……玖音さんが目覚めるまで暇だからとか言って何処かへ去っていきましたけど」


「本当、適当だなあいつら……。三日月には付いてないの? 妖精」


「前はいたんですが……。魔法少女になってから一定期間はルールのサポートなどの観点から一緒に行動するみたいですが、ある程度経つと離れるみたいですね。妖精さん、可愛かったのに……」


「そうなのか……」


可愛いか、あれ……? 見た目は確かに可愛らしいかもしれないが、今まで見てきた二匹の中身は性悪だったぞ……。


「あの……」


おずおずと、三日月が何か言いたそうにしている。


「大丈夫ですか……?」


「んー……別に痛い所はないかな。左手もちゃんと動くし」


「そうじゃなくて…………心です」


「え……」


……………………。

あぁ…………そうか…………。拘束していたのは私自身の身を案じてだったのか……。確かに、目が覚めて、あの状態だったからこそ逆に冷静になれたのかもしれない。もし体が自由だったらどうしていただろう。この子の言う通り、暴れていたのかな。舌を噛み切って、自殺していたのかな。今からでも、今からでもまだ遅くないんじゃないか……。そうだ……私は、死ななければならない。生きていては駄目な人間だから。でも、ここでは出来ない。折角助けてくれた彼女に迷惑だろう。これ以上は面倒をかけられない。何処か、ここではない何処かに行って今度こそちゃんと、母さんに償いを……。

泣きたい。大声を出して泣きたいのに、胸が引き裂かれそうな程悲しいはずなのに、涙は流れてくれない。ただ、虚無で、虚ろで、虚しくて、心にぽっかりと穴が空いている。お腹は塞がっているが、心の穴は塞がらない。真っ黒な闇だけが心の中に渦巻いて。


ふいに、項垂れている私を柔らかいものがそっと包んだ。それが、三日月からの抱擁だと理解するまでに数秒を要した。シャンプーの、良い匂いが漂う。どれぐらいの間ここにいたのかわからないが、自分は臭くはないのだろうか。ぼんやりと、そんな事を考える。


「死なないで下さい。死なないで」


「無理だよ。私が生きてると、周りが不幸になるから」


彼女の胸の中で呟く。死が私を離そうとはしない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ