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何か説明してくれるのかと思いきや、椅子に座り、ただこちらを眺めているだけでだんまりな銀髪美少女。私から質問していくしかないみたいだ。
「あの、身体のこれは外してもらえない?」
「暴れないと、約束してもらえるなら……」
「暴れない。約束する」
「……それなら」
彼女が指をぱちん、と鳴らすと、私を拘束していた物が消えていく。どうやら、銀色の鎖によって捕縛されていたらしかった。つまり、この銀髪美少女も魔法少女だという事になる。本来なら、魔法少女同士は敵対関係にあるはずだが、この状況は一体何だろう。拘束をしていた癖に、やけにあっさりと解放してくれた。暴れないと約束した以上、私から攻撃する気はないが。そもそも自分を助けてくれた……のであろう相手に対して敵愾心は無かった。
今の今まで気付かなかったが、身体を見てみると、驚いた事に切断された左手は再生しているし、お腹の穴も塞がっている。塞がっていないと生きてはいなかっただろうから、それが当然と言えば当然なのだが。
いきなり立つと倒れそうだったので、さっきまで寝ていたベッドに腰掛けて座ってみる。相変わらず彼女は自分から喋ろうとしない。しかし、自己紹介ぐらいはした方が良いだろう。
「私の名前は九杖玖音。君の名前は?」
「……御影。御影、三日月」
御影三日月……?一瞬、奇妙な違和感のような何かを覚える。何だろう、変わった名前だが、聞き覚えはないはずだ。
「三日月……いい名前だね」
「ありがとう……。九杖さんも……」
「玖音でいいよ。私も三日月って呼んでいい?」
何故か、そう呼びたくなったのだ。初対面の相手に。自分でも理由は、わからない。三日月は少し驚いたような顔をしたが、すぐに「いいですよ」と答えた。彼女の黒紫のグラデーションがかかった瞳が細くなった気がした。
「さっきも聞いたけど、私のこと助けてくれたんだよね?傷も治ってるし」
「それは……そうですね」
「何で助けてくれたの?魔法少女って殺し合いしてるんでしょ?」
「だって……その為に来ましたから」
「……?」
三日月はいまいち歯切れが悪く、何が言いたいのか分かりにくい。その為に来た。つまり、助ける為に来たという事?その理由が分からない。いや…………心当たりがあるとすれば、一つだけだ。
「もしかして、藤花に頼まれたからとか」
「いいえ。自分の意思です」
違ったようだった。本当に彼女が何者なのか見当がつかない。
「……私、君に会った事あったっけ? 助けて貰うような事した覚えがない」
「……どうでしょうね」
んん……?ますます難解だ。記憶力は良くはないが、悪くもないんだけど……。なんだが歯痒い気分だった。




