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魔法少女BLOOD  作者: 佐月雨
第5夜 月蝕
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4

何か説明してくれるのかと思いきや、椅子に座り、ただこちらを眺めているだけでだんまりな銀髪美少女。私から質問していくしかないみたいだ。


「あの、身体のこれは外してもらえない?」


「暴れないと、約束してもらえるなら……」


「暴れない。約束する」


「……それなら」


彼女が指をぱちん、と鳴らすと、私を拘束していた物が消えていく。どうやら、銀色の鎖によって捕縛されていたらしかった。つまり、この銀髪美少女も魔法少女だという事になる。本来なら、魔法少女同士は敵対関係にあるはずだが、この状況は一体何だろう。拘束をしていた癖に、やけにあっさりと解放してくれた。暴れないと約束した以上、私から攻撃する気はないが。そもそも自分を助けてくれた……のであろう相手に対して敵愾心は無かった。

今の今まで気付かなかったが、身体を見てみると、驚いた事に切断された左手は再生しているし、お腹の穴も塞がっている。塞がっていないと生きてはいなかっただろうから、それが当然と言えば当然なのだが。

いきなり立つと倒れそうだったので、さっきまで寝ていたベッドに腰掛けて座ってみる。相変わらず彼女は自分から喋ろうとしない。しかし、自己紹介ぐらいはした方が良いだろう。


「私の名前は九杖玖音。君の名前は?」


「……御影。御影、三日月(みかげみかづき)


御影三日月……?一瞬、奇妙な違和感のような何かを覚える。何だろう、変わった名前だが、聞き覚えはないはずだ。


「三日月……いい名前だね」


「ありがとう……。九杖さんも……」


「玖音でいいよ。私も三日月って呼んでいい?」


何故か、そう呼びたくなったのだ。初対面の相手に。自分でも理由は、わからない。三日月は少し驚いたような顔をしたが、すぐに「いいですよ」と答えた。彼女の黒紫のグラデーションがかかった瞳が細くなった気がした。


「さっきも聞いたけど、私のこと助けてくれたんだよね?傷も治ってるし」


「それは……そうですね」


「何で助けてくれたの?魔法少女って殺し合いしてるんでしょ?」


「だって……その為に来ましたから」


「……?」


三日月はいまいち歯切れが悪く、何が言いたいのか分かりにくい。その為に来た。つまり、助ける為に来たという事?その理由が分からない。いや…………心当たりがあるとすれば、一つだけだ。


「もしかして、藤花に頼まれたからとか」


「いいえ。自分の意思です」


違ったようだった。本当に彼女が何者なのか見当がつかない。


「……私、君に会った事あったっけ? 助けて貰うような事した覚えがない」


「……どうでしょうね」


んん……?ますます難解だ。記憶力は良くはないが、悪くもないんだけど……。なんだが歯痒い気分だった。

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