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「やるじゃないか、玖音」
「黙ってて」
「おぉ、コワいコワい。ところでお前、その眼は魔法か?」
「眼……?」
立て鏡を見てみると、赤く、深紅に変色した瞳が私を見つめていた。なんだ、これ……。もしかしてさっきの不思議な現象はこれの力……?
これならば勝てるかもしれない。そう思った直後、鏡の中の瞳から深紅の光彩が消えていった。
「魔力切れだな。クク、連続しては使えないみたいだぜ」
魔力切れ……。なんだ、数秒しか持たないのか。魔力の消費なんて聞いていなかったが、今更どうしようもない。慎重にいかなければ。
ザンッ、という音と共に扉が縦一文字に切り裂かれ、古神が姿を表す。
「あの一太刀は間違いなく君の胴体を真っ二つに切断しているはずだった。それなのに君はまだ生きている……。一体どんな魔法を使ったんだろう」
「お前と喋る事はない」
「そうかい。私は教えてあげるよ?分かったところでこの魔法は防ぎようがないから。私の魔法はこの何でも斬れる刀。この刀に斬れないモノは文字通り、何一つないんだ。能力を教えても教えなくても結果は変わらない。さぁ……受けてみよ、『神楽』」
そう言い終わった直後に古神は再び刀を振るう。
視ろ、視ろ、視ろ! 今度は時は止まらない。魔法は使わない。己の動体視力を信じ、相手の動きを見定める。独特の動きから繰り出されるその軌道は、まるで剣術というよりは演舞の様だ。
先の一閃とは違い高速の連撃、なのだろうと思われるそれを後方へとステップを踏みながら、ギリギリで避けていく。直撃はしていないものの、剣圧により顔や身体、そこら中が切り傷で出血していた。
辛うじてだが躱せてはいる、だが、反撃の手段を持ち合わせていない。さっきの様な大振りの攻撃に対してのカウンターなら発動出来るが、今度は相手も警戒している為中々放ってはこない。この状況の中で新しい魔法を生み出す余裕も知恵もない。じゃあ、どうする。




