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夜____
仕事から帰ってきた母さんと一緒に夕飯を食べている。暫く家に戻ってこれないと思うと少し寂しいが、私の事を認識出来なくなる事だけがまだ救いだった。
「浮かない顔してる。何かあったの?」
「なんでもないよ」
「そう……?」
母さんは何でもお見通しか。
「強いて言えば、馬鹿な友達が悪い遊びを覚えたって事ぐらい」
「年頃の女の子だもの、そういう事もあるわ」
「お母さんもそうだった?」
「そりゃお母さんも、ちょっとはね」
「えー、気になる」
微笑む母さんの顔。束の間でも、落ち着く穏やかな時間。
「また今度、ね」
そう、母さんが言い終わった瞬間、ごとり。と、音がした。首。首、が床に転がり。転がった母さん、だったもの、と目が合った。また今度。永遠に訪れる事のなくなった、また今度。テーブルの上や、床、壁、私の顔、などなど辺り一面、私の視界全てが朱く染まって。
「え、かあ、さん」
はっ、はっ。
何が起きたのか理解出来ず、上手く、呼吸が出来ない。
「私の名前は古神雫。さぁ、開始めようか?」
巫女装束を纏い、日本刀を携えた少女がそこにいた。




