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「待ってて、荷物まとめるから」
「今日出るのか?」
「うん。早い方がいいでしょ」
足踏みはしていられない。こうしている間にも藤花は遠くへ行ってしまうかもしれないのだ。
「まぁ、そうだな。動くのは夜の方が都合がいい。これもルールの一つだが、魔法少女同士の戦いは夜に限定されるって決まりもあってな。単純に昼間は人目に付くからって理由なんだが」
「もし人に見られた場合は?」
「戦闘が行われる場合、監視役の妖精が人払いの結界を張るから見つかる事はあまりないんだが、仮に見つかったら魔法で催眠をかける。見つかった事自体に気付けなかったらそれまでだが」
それで噂になったりしてるのか……。結構杜撰なんだな。しかし、催眠……?何気ない朝のシーンが脳内で蘇る。藤花のお母さん、藤花は体調不良で休みと言っていたがつまりあれもそういう訳か。
待てよ、つまり、という事は……。
「私が家を出るなら母さんにも催眠かけないと駄目?」
「そういう事になるな。急に娘がいなくなったと分かったら面倒くさい事になるだろうが。極力人間界で騒ぎを起こしたくないのだ」
「うわぁ……、ちょっと気が引けるなぁ……」
「俺様がやってやるからお前は黙って見ていろ」
「当たり前でしょ……。まだ魔法の使い方もよくわかってないし」
「お前センスなさそうだもんな、ククク」
「魔法は分からないけどアンタをコレで刺す事は出来るよ」
「やめろやめろ」
「ねぇ、魔法って何でも出来るの?私の貯金じゃ家出ても数日が限界だと思うんだけど。例えば、お金を生み出したりとか……」




