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「万全の状態なら無理だがな。ちなみに、殺したとしても死んだ魔法少女の魔核は残る。そういう意味で殺し合いって言ったんだ。事実、この争い……『マギア・オルター』で競いあった魔法少女は大体が死んでいる。殺す必要はないが、必然そうなるんだよ。他に質問はあるか?」
……殺し合いとか、世界がどうとか、なんだ、それ。魔法なんか使いたくないし、地球がどうなろうが他の人たちで勝手にやればいい。私は藤花さえ取り戻せたらそれでいい。そしたら魔法少女なんか、やめてやる。
「藤花は。藤花はどこにいるの」
「雨宮藤花、先輩が付いていったあの女か。一目しか見てないがアレはバケモンだぞ。魔法少女の格は、生まれながらの素質、そして本人が抱えるトラウマや心の闇によって決まる。霧江の魔法少女としてのランクがCだとすると、アレはS級だな……あそこまで質の高いのは俺様も久しぶりに見た。どうやったらあんなバケモンが生まれるんだか。ちなみにお前はDぐらいだ。それで、奴が今どこにいるかは俺様も知らない。先輩に聞けば分かると思うが、あの妖精は教えてくれないと思うぜ」
「どいつもこいつも自分勝手な……」
藤花が魔法少女になるきっかけになった霧江かなみにも腹が立つし、元凶の妖精どもにも腹が立つし、何を唆されたのか知らないが私を置いてどこかに行ってしまった藤花にも多少の苛立ちを覚える自分がいた。
「待てよ……玖音、お前の体から雨宮の魔力の残滓を微かに感じる。霧江程度の弱い魔力ならとっくに消えているんだが。雨宮から何か魔法を受けなかったか?」
「いや、何もされてないはずだけど…………あっ」
「ん?」
思い当たる節はあった。
あんなに致命傷のダメージを受けたのに、朝起きた時には体に傷一つ残っていなかった。だからこそ昨夜の出来事は夢なんじゃないかと思ったけど……。
つまり、アレは。あの口付けは………………。
「どうしたんだ? 顔が赤いぞ」
「何でもないっ!!」
「そうか……まぁ、なんだ、その魔力の残滓が残っているうちは雨宮を追跡する事が可能だぜ」
……!
「追いかけよう。何が何でも、絶対に連れ戻す」
「お前にそれが出来たらな……」
軽口を叩くジェノを睨み付ける。
バケモン?S級?関係あるか。藤花は私の大切な親友だ。それ以上でも以下でもない。世界が滅ぶとか、本当にどうでもいい。私は自分の日常を取り戻す、ただそれだけだ。ただその為の戦いを、始めよう。決意を固くし、拳を握り締めた。




