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「……眠ってもらおうと思ったが、気が変わった。私を侮辱する奴は誰であろうと許さない。お前は、殺す」
怒らせちゃったか。でも、怒りたいのは私の方だ。何の罪もない藤花をこんな目に合わせやがって。
私も、お前だけは許さない。ここで死んでもいい。だけど、一発。せめて一発、殴ってやらないと気が済まない。
少女の右手が青白く発光する。さっき私のスマホを弾いた攻撃から察するに、間合い、恐らく間合いを開けたら、殺られるだろう。勝機があるとすれば、一撃で仕留めるしかない。ビビるな、ビビったら負けだ。
「消えろ…!」
長めの溜めから、一目で喰らえば致命傷だと分かるぐらいの高エネルギー体が私に向かって放たれた。
早い……!
もう着弾する…………だけど、来ると分かっているなら……視える。
「舐めんなあッ!」
左サイドステップで被弾直前に躱し、その勢いのまま二歩で一気に詰め寄る。少女の愕然とした表情。
三歩目。
低い姿勢で勢いを殺さず、躊躇もなく、狙いの下顎を、得意の右上段突きで振り抜いた。
鈍い音がする。それと同時に少女は後ろに倒れ込んだ。
カウンターでこれが入ると、脳震盪を起こし暫くは意識が飛ぶ。狙い通りだった。
動体視力。才能の無い自分が空手の大会で勝ち上がる事が出来た唯一の武器。技術で劣る私が自分よりも強かった藤花と渡り合えていたのはこれがあるから。
あの間合い、あの距離なら例え相手が魔法少女だろうがなんだろうが負けないと思った。
さて……こいつが起きないうちに藤花を連れていかないと。
病院ってこの時間開いているのか、それとも警察か。
とりあえず家に連れ帰って事情を話した方がいいのか。私は、藤花の車椅子を掴もうとした。
「どこに行くんだ?」




