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「藤花から離れて下さい。警察呼びますよ」
「……」
そこで初めてこちらを認識したかのように一瞥を向けられる。暗く、冷たい視線が私を貫く。息が苦しい。本能でわかる、こいつは私なんかよりもずっとずっと、強い。
今自分に出来る事は何か。考えろ。
近くで見ると藤花は目を閉じてぐったりとしており、こいつに何かをされたという事だけは明白だった。
スマホを手に取り、助けを呼ぼうと警察の番号を入力する。
その瞬間、黒いフードの少女はこちらに向かって手を翳し__
パンッ。
強い衝撃を受け、スマホは私の指先を離れて後方に吹っ飛んだ。
「っ痛……!?」
何が起こった?
衝撃を受けた右手を見ると、手の甲から血が流れていた。スマホも無事では済んでいないんだろうな。
アイツ……!少女を睨み付けると、彼女は再び私に手を翳していた。……不味い。
死ぬのか、はたまた横に転がっている親友のように昏睡させられてしまうのか。自分がそうなってしまうのは構わないが、何で藤花ばかりがこんな目に合うんだろう。許せなかった。何もかも理不尽なこの世界が許せなかった。
だから、何の意味も成さないと知りながら、勇気と声を振り絞る。
「魔法少女ってのは、希望を、夢を与えてくれる存在じゃないのか?」
彼女は答える。
「…………違うね。魔法少女は絶望を振り撒くだけだ。希望も夢も未来も、全てを奪う」
「……そうかい。悲しい奴なんだね、お前」
純粋に、そう感じた。
そして。
「おまけに、卑怯者か」
「何……?」
「あんな車椅子に乗ってるような子をわざわざ狙うなんて、卑怯者の弱い奴がやることだよ」




